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2015年10月10日 (土)

大げさでも他人事でもなく増えている「ニッポンの貧困」

慈善よりも投資という視点だが、普遍的救済と選別的救済のジレンマ
 
ニッポンの貧困 日経BP社 中川雅之著 
 
Photo_2 日経からでた貧困問題の本ということで、朝日や毎日とは違った視点で扱っている。 日経ビジネスオンライン上でも読めるが、8月に出版されたばかりで図書館にリクエストしたら蔵書として買ってくれた。
 
相対的貧困率で2000万人、2014/4月消費増税時に一万円の特別給付対象となった人は2400万人いるという。
 
慈善よりも投資」というように、可哀想だから助けてあげる、ではなく貧困対策へ投資をすることで、社会全体として経済的メリットがあるという事を訴えていた。でも、それは最後の方にゴールドマンサックスや西友など外資企業のCSR活動として出ているだけでやや物足りない。ちなみに、日本企業ではあまりやらないらしい。
 
目についたのは首都大学東京、阿部彩教授の話。「貧困投資は一人当たり、7000万円から一億円の社会的利益を生む」という試算。
例えば、高校中退の18才の人が、職に就けず20歳から65歳まで生活保護を受給した場合5000万から6000万くらいのコストになる。
しかし2年間の職業訓練(460万円)を経て、20から60歳まで働き続けられれれば、納付する税金や社会保険料は非正規なら2400~2700万円、正規雇用なら4500~5100万円になるという。
つまり支えられる側から支える側(納税者)へ転換することが重要だという。メリットは医療費削減や犯罪抑止にもつながる。
 
なるほどと思ったのは、シングルマザーの子育てや進学等々の事例は良く扱われる可哀想な例だ。つまりマスコミが取り上げる貧困問題のルポルタージュ記事は読者の共感を呼びやすい例に限られるという指摘。
実際に子供の貧困は子供に過失が無いことが明瞭だから福祉で無条件に救済すべきだろう。だが大人の場合は選別されるかも、と言う見方だ。たしかに酒、借金、暴力で貧困に陥る例は記事にしないらしい。普遍主義と選別主義と言う考えがあることを知った。
 
2章「教育ゲームが将来を奪う」や足立区の教育支援の取り組みも良い内容だった。
 年間一兆二千億円の奨学金という数字は、裏返せば学生が背負う借金のこと。しかし1980年と2014年比較で国立大学(18万円が54万円)、東京の私立大学で30万円が74万円へ。実際は施設費等もあるから文系では100万円強位だが、大学授業料が2-3倍高くなったという。この間の物価上昇と比べても際立つ。
しかし現実はもっと増えそうだ。都内の私大ではグローバル化対応で入学後に留学を必須化する動きがあり、ますます学費負担は重くなる。
そしてなによりも、そんな高い学費を投じても卒業後にきちんと回収できるような職業に就ける人は3割程度しかいないという。つまり大学卒に期待するものは人々の幻想だと言う。
 
奨学金の延滞率(いわば不良債権比率)を大学別に公表する動きがあるらしい。是非やってほしい。 延滞率が高い→就職率が低いとか経営不安な求人会社が多い→この大学を出ても稼げない、という評価につながる。淘汰されるか、自己革新を迫られるだろう。
ついで言えば、個人的には塾ほど無駄で不要なものは無いと思う(まあ塾講師の教えるスキルは評価するけど)。
 
安定雇用が崩れ、核家族化が進み、財政も悪化しすぎて支援余力が限られる、そういう時代に入っている。
アベノミクスは脱デフレを目指す円安誘導に偏った金融政策でしかないため国民生活レベルでは功よりも罪のが多いだろう。もはや輸出製造業の国ではない。消費増税や円安による輸入商材の値上げがインフレ的にマイナス作用している。しかも日銀は自分のメンツのために金融緩和継続をして、物価上昇を目論んでいる。
 
賃上げも政府が口先介入して大企業は応じたが、中小企業への広がりは薄そうだ。雇用拡大といっても低賃金の派遣や非正規労働者が急増しただけで、最近も派遣の恒常化を目指す法案が通ったばかり。
 
話しはそれるが、小泉元総理は3.11以後に原発推進は間違いだったとして(謝罪したのかは知らないが)脱原発に転じた。理由の一つが、御用学者や業界専門家に安全だ低コストだと騙されてきたためと言うもの。その潔さは立派だと思うが、彼はもう一度転向し謝らなくてはならないだろう。派遣の自由化・拡大は小泉・竹中政治からだ。
 
そんな時代に入っているのに、「一億総活躍社会」という浮いた言葉で「三本の矢」の総括もしないで話しをそらそうとしている。前後の話しがつながらない漫画を見せられているようだから、政治の力はもっと貧困化している。
まさか一億総貧困社会ですか・・・

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