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2016年4月 9日 (土)

海老名市立中央、ツタヤ図書館の見物記と貸出統計

貸出や蔵書よりも集客重視の見た目に拘る中途半端な書店兼図書館
 
先日、商用ついでに海老名市中央図書館へ立ち寄りました。佐賀県の武雄市についで有名なツタヤ運営図書館ですが、ずさんな運営ぶりも話題になってました。果たしてどんなものか、と見物してきました。
 
海老名市の委託管理者は(株)図書館流通センター(TRC)とCCCの共同事業体。丸善とCCCの共同は公共事業のジョイントベンチャーみたいですが違和感あります。民営委託の目的には低コスト化やサービス向上がありますが、この分野の二大資本が結託したら競争原理は働かないと思うのです・・・
 
以下、夕暮れ前の1時間半程度の探訪記。
Img_9104
アクセスは、海老名駅歩7分と近そうですが、小田急線とJR線の中間にある公共施設が集積する殺風景なエリア。住宅地や商業施設からはやや離れており、暇つぶしに立ち寄るというよりも、図書館に行くという強い目的が無いと行かないような立地に見えます。
 Img_9106
古い建物をリフォームし、元のプラネタリウムのドームや階段がデザイン的にあか抜けしています。吹き抜けは解放感がありますが、騒音が共有されるという点が気になりました。
 
中の写真撮影は禁止、なので当図書館Webからの引用画像。
S1
一階は図書館、ツタヤ書店とスターバックスが混在、それこそ施設の顔ですが、やや詰め込み風な印象です。 高そうな文具陳列もあります(インテリア効果に見えます・・・)。スターバックスは賑わっていて、読書や勉強をしている若い人が多く、ドリンクは館内で自由に飲めるそうです。
 
●図書館ホームページ内の「アクセス・MAP」ページ内に館内ストリートビューがあり、各階を内覧できます。
S4_2
 
S3
 
 地下一階から最上4階の児童書の各フロアーにはお洒落な椅子があります。閲覧や机には仕切板がないため、正面の他人が丸見え。凝ったスタンド照明を付ける一方で、この程度のコストを削ったのが不思議です(実用性よりも見た目重視かな・・・)。
2
しかし利用者の少ない時の大きなテーブルは見栄えがします。カーペットが敷いて無い1階では、椅子をずらした時や歩く音が気になりました。
 
 問題視されたのはNDC図書館分類法ではなくツタヤ独自の本屋式分類です。個人的には、Amazonと図書館Webサイトで検索して借りることが身についているために分類の良否は分かりませんが、図書館としての互換性は欠けます。
 
 書棚には空きが目立ちましすが蔵書に特徴がありました。
 試に自著を検索したら使われるはずの無い(PowerPoint2002本)が有り、PC本コーナーにはWindows98やホームページビルダー7の本がありました。ブックオフかよって、幻滅。 武雄市図書館でも古本を処分的に並べて問題となりました。たんに棚を埋めたいがためでしょうか・・・
 
手の届くはずの無い最上段はダミー本。映画シーンを思わせるように壁一面を飾るのは見栄っ張り屋さんの背伸びみたい。「圧縮陳列のドンキホーテを連想」は言い過ぎでしょうか。
 
書棚に特注の検索端末がハメ込まれています。入力は50音配列のみ(?)、画面は垂直のためにタッチするのも見るのも使い勝手が悪いです。プリンターから出てきたのはスーパーのレシートを超えるデカく長い紙でした。
 
貸出は、日本国在住者ならだれでもよい、と言っても次に来る当てもなく、一見の客です。
 Img_9109
 
●そもそもの目的は何
 座って読める場所が多く、PCが持ち込める机、タブレット貸出、Wifiもあります。これらは真似できるレベルなので、上尾市でも実現してほしいです。
 
図書館で人気があるのは新聞や雑誌コーナー。その雑誌類が奥まったところに直線配置でした。 たまたまか利用者は少なく、平日午後の遅い時間、高齢男性が多いと予想しましたが、若い層が1階に多く見えただけ。立地が悪いのでしょうか。
 
なお蔦屋書店側の本を、立ち読みではなく「座り読み可」にはビックリ。商品販売の収益性はあまり気にしていないのでしょうか。
4階の児童書フロアは立派ですが、子供だけでは来られないでしょうから平日の稼働率は低いと思います。むしろ上尾市のように市内の主要地域に児童図書館を分散配置した方が子供や母親には実用的と思います。
 
海老名市のツタヤ委託図書館は一体どんな行政目的で作られたのでしょうか。投資額や年間費用と効果見積もりはどうなっているのでしょうか? 民営化として指定管理者を募集すると、時にはトンデモ会社が名乗りを上げる事があります。行政側に目利き能力が無いと、やられちゃいます。図書館なら「住民委託」でもイイじゃないかって想うのですが・・・
 
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●海老名市図書館年報
 受付で「図書館要覧を見せて」と頼んだら、意味が通じません。店員さんがバックヤードに行き、待たされました。市担当者に電話したらしく、図書館年報と言い、有馬図書館にあるとのこと。旗艦図書館に要覧が置いてないのです。
本当は、「Webで見られますからこの端末でどうぞ」と答えられても良かった気がしますが、4月からは置くでしょうかね。
 
●年報よりの貸出統計データ(市全体)
海老名市人口は13万人。人口規模の割には大型施設と思います。
・H23に貸出数が13%も急伸したのは、一人当たりの貸出制限を5から10冊に変更した効果と思う。
・H26は11月までの値*。12月から工事休館。ツタヤ効果はH27年後半から。
   
海老名市図書館年報より H22 H23 H24 H25 H26/11
人口 127,493 128,157 128,531 129,193 129,397
登録者 87,884 90,328 92,780 87,907 90,216
(うち市民) (73,099) (75,172) (76,684) (73,206) (76,618)
貸出冊数  553,843  627,514  629,208  603,927  575,317
前年比伸び率   13% 0% -4% -5% *
蔵書数 387,059 393,675 395,197 398,458 393,295
年間購入冊数 10,364 10,112 9,205 7,392 8,502
蔵書回転率 1.4回 1.6回 1.6回 1.5回 1.5回
人口当り貸出数 4.3冊 4.9冊 4.9冊 4.7冊 4.4冊
人口当り蔵書数 3.0冊 3.1冊 3.1冊 3.1冊 3.0冊
登録者当り貸出数 6.3冊 6.9冊 6.8冊 6.9冊 6.4冊
 
・人口当たり蔵書数は近隣(ブログ主の市町)と比べてやや多いかもと思うが、反して人口当たり貸出数は少ない。6冊~7冊位あっても良いと思う。
・従って蔵書回転率(貸出数÷蔵書数)は1.5と低い。せめて2.0まで上げるには、H25年値では貸出数約80万冊となり、20万冊足りない。
・登録者には休眠利用者も含まれているだろう。実態を示す実利用者(一年に一度以上借りた人)の人数は不明。
・実利用者数を人口20%と仮定したときの図書館利用指標のURB値を推定。
 実利用者数U=25839人、年間利用回数R=6.8回、一回当たり貸出数=3.5冊
 図書館指標URBの意味は、こちらへ
 
意外でした。貸出数が少ないことにつきると思いますが、多分その詳細データを分析してもツタヤ図書館にすることとは無関係な気がします・・・。
 
4/18追記
●海老名市中央図書館の貸出統計の分析
貸出の利用にはAV利用を除く。H26年度は11月まで稼働*。
 
中央図書館 H22 H23 H24 H25 H26*
貸出数 434,635 485,313 489,951 474,359 (365,830)
蔵書数 253,806 258,360 262,325 264,751 263,918
回転率 1.71回 1.88回 1.87回 1.79回 1.39回
貸出者数 148,278 145,252 149,503 144,397 (122,159)
前年比伸び率   -2.0% 2.9% -3.4%  

・蔵書回転率は1.8レベルまであり、市全体が1.5と低いのは、有馬図書館の利用度が低い(回転率1.2)ため。
・利用データ(貸出数や人数)は概ね横ばい。利用者数が増えているわけではない。
・仮に蔵書回転率2.0を達成するには、H25年比で55,000冊貸出増が必要。
・平成27年秋からツタヤ図書館が開館したため初年度の成果が見もの(通常は開館効果が出る)だが、3-5年位の中期で見ないと分からない。
・蔦屋効果として蔵書回転率が2.5位まで上がれば政策的合理性があったと思うが、2に近い程度なら、改装費用を全額蔵書に充てた方が市民には喜ばれたのではないか・・・
 
なお図書館の評価は貸出数と利用者人数であり、入館人数は民業ツタヤ側の経営指標と思う。
 

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