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2018年11月16日 (金)

上尾事件-2 騒乱の朝のドキュメンタリー

13日の夕刊  (写真は前記事に)

一時は一万人電車止め上尾駅占拠

ガラス割り投石 積残された六千人

(リード)  動労による第二波順法闘争二日目の十三日、首都圏では来客の怒りがついに爆発、順法闘争始まって以来の大混乱となった。高崎線上尾駅や大宮駅では満員のため乗車できなかった乗客が、電車のガラス声を破って運転席にはいったり、駅長事務室などに乱入して、鉄道電話機をこわすなど同駅は一時収拾のつかない状態となり、同線は一時不通となった。このほか乗客が洋ガサで電車五両の窓ガラスをめちゃめちゃに破る事件もあり、国電各駅でも前日を上回る混雑が続いた・・・・

(本文)  同日午前七時二十五分ごろ、高崎線籠原駅発上野行普通電車(M運転士、十二両編成)と前橋発上野行列車の二本が三十分以上遅れて上尾駅に入った。ホームに黒山となって待っていた乗客が二本の列車になだれこんだため、ドアが閉まらなくなった。

このため同駅では『両列車とも大宮どまりにする』とアナウンスしたところ、ホームにあふれていた乗客約六千人が騒きだし、駅長事務室になだれ込んで、電話機、信号機器類をこわした.さらに運転士を運転台から引きずり出してなぐりかかって、運転席や電車の窓ガラス数枚を割った。

運転士は同駅員と一緒に近所の家にあわてて逃げこんだ。・・・・乗客の一部は線路へおりて歩き始めこの騒ぎで同駅にはいれず、約三百メートル手前でストップしていた下り特急新潟行「とき2号」に石を投けつけ、運転席の前面ガラスをこわすなどの騒ぎになった。
また駅長は乗客にこづかれて病院に収容され・・・駅員四人も乗客にとりまかれ、こづかれた。

・・・午前十時すぎには約一万人にもふくれあがった。線路を歩きはじめた乗客は宮原、北本、吹上、鴻巣、大宮、東北線東大宮、運田駅にまで散らばり、そこでも駅員に抗議したり、投石した。

埼玉県警は・・・同署員と機動隊員約六百人を出動させ、駅長室などに乱入した乗客に向って「立ちのいて下さい」とメガホンなどで説得にあたった。しかし、乗客の興奮は年後一時ごろになってもいっこうにおさまらず、ホームいっぱいになって警官隊とにらみあっており、同線の開通の見通しはついていない。

また、上屋駅長事務等の電話線もズタズタに切断され、外部との連絡がいっさい断たれた。

上尾駅の話では、この上野行き電車は12両編成で、上尾駅には三十分以上遅れて到着したが、都内へ通う通勤の一番電車なので、順法闘争による遅れを予想した乗客が各駅でいつもより早めに乗ってきて、上尾駅に着いた時はほぼ満員。ホームに着いた約六千人の乗客がほとんど乗れない状態だったため、乗客たちが「誰も乗せずに発車するのか」「運転手がノロノロ運転するからだ」と興奮、一部が我先に運転席に殺到したという。

この騒ぎで高崎線は上下線とも不通になり、待ちくたびれた乗客が線路を歩いて次の駅に向かうなど、ダイヤは大混乱となった。さらに切符自動販売機の二つが壊され、現金が強奪された。

また隣の宮原駅まで線路伝いに歩いた乗客が今度は同駅で「東北線を大宮から宮原まで伸ばせ」と要求して駅員に抗議「お前も一緒に大宮駅まで歩け」と駅員を線路上を歩かせる騒ぎも起こった。
さらに桶川、東大宮、北本、吹上駅などもホームに溢れた乗客が、駅員との間で小競り合いを演じる場面があった。

乗客七人逮捕  埼玉県警は13日朝の上尾駅の騒ぎで、上尾市A、同市B、北本市C、上尾市 D 、行田市Eら七人を建造物侵入、公務執行妨害、窃盗などの容疑で逮捕した。(この詳報は前記事後半)

上野-高崎間 全線ストップ 夜七時まで  国鉄は上尾駅での騒ぎのため、上野発午前8時から午後7時までの高崎線を全面運休・・・上信越線も特急、急行を全面運休・・・。

大宮駅も一時緊迫 ・・・

政府が緊急協議 労使に解決要請 ・・・


 (同、社会面)

電車襲い、駅舎乱入

2 

(リード) 「もう許せない」--ホームにあふれる数千人の怒声、ガラスの割れる音、電車の上には煙を上げる発煙筒、その中を血走った目の駅員や乗務員が逃げまどった。・・・上尾駅でラッシュと順法闘争でもみくちゃにされ続けた通勤サラリーマンの怒りがついに爆発し、駅は一時、無法状態となった。・・・黙って耐えてきた乗客の凄まじいまでの実力行使だった。順法闘争史上初めてという大混乱を引起してそれでもなお順法という名の乗客無視ダイヤは続くのだろうか--。

(本文)  上尾駅周辺には電車に乗れない乗客が黒山のようにあふれ、駅長事務室の窓からホームに真新しい切符がばらまかれた。・・・乗客が乱入した駅長室と駅の事務室は、書類が足の踏み場もないほどに散乱し、ガラスが割られ、机が倒され、切符や定期券が片っ端に捨てられた。

同駅に七時前に着いたという会社員風の乗客は時間経っても電車は全然動かない。これでは家に戻ることもできない」と怒りをぶちまけていた。・・・電話の前は、会社に欠勤の報告をする人たちが行列・・・バス停にも人があふれた。

午前十時十分県警機動隊が駅構内に入ったが、駅長室などにいた乗客は「機動隊だ」の声に一斉に甲高い声を上げ「電車を動かすのが先だ。機動隊帰れ」と口々に詰め寄った。中には慌てて駅から持ち出した定期券の束などをポケットに突っ込み人ごみに紛れ込む乗客もあった。

乗客はホームに止まっていた特急電車の運転席の窓にも石を投げた。「ガチャン」と割れるガラス。不気味な音が上尾駅に再び混乱の口火を切った。「いつまで迷惑をかけるんだ」「早く電車を出せ」---うわーという喚声が一斉に運転士に浴びせられた。運転手はホームに飛び降り、線路伝いに逃げた。

「なんと無責任」 雲隠れ駅員へ怒号

・・・駅員らは身の危険を感じてどこかへ隠れ、これを知った乗客から「何という無責任な」と激しい怒号が飛んだ。午前十一時過ぎには約千人の乗客が事務室に押し寄せ「駅長に会わせろ」と叫びながら機動隊に向かって投石した。

上尾から都心に通勤する乗客の一人は・・・次のように語った。「午前8時頃でした。駅ホームに止まっていた二本の電車がめちゃくちゃに破壊されていた。ガラスというガラスは次々に割られていた。乗客の一人は運転席の発煙筒を持ち出して屋根の上に登った。やがて発煙筒は煙を吹く。車内の椅子のクッションがやけくそのように窓から外へ放り出された。 群衆は駅から50メートルほど離れて停車していた特急列車にも群がった。口々にわめき声をあげた。厚いフロントガラスが割られた。ライトのガラスも壊された。群衆が数千人もいただろうか。駅2階の事務室はスクエアロッカーがひっくり返り切符や定期券が散乱していた。電話コードも全部引きちぎられていた。駅員はほとんど逃げたのか、50歳ぐらいの駅員がたった一人で、激高する乗客を相手に、必死の顔で応対していた」

駅を占拠した乗客の一部は午前十一時過ぎやっと約三百人に減った。事情説明に姿を見せた国鉄当局側や動労の幹部を捕まえてはつるし上げ罵声を浴びせていた。

駅を捨て、逃げる駅員 

上尾駅騒動で最も象徴的だったのは、駅員たちの大半が・・・駅を捨てて逃げてしまったことである。・・・・怒り狂う乗客と警官隊の姿だけが駅構内を埋め尽くした。
 騒ぎが始まって間もなくは、駅員の姿もチラホラし、怒る乗客の応対や電話連絡に大わらわだった。しかし駅長室のガラスが壊れ・・・・二階事務室から椅子や書類や電話機などが物凄い音を立てて投出され始めたころ、約五十人の駅員の姿は当局、労組側の別なくかき消すように消え・・・中には国鉄職員の制服をかなぐり捨てて、私服に変装して、乗客のようなふりをしながら逃げ出す姿も見られたという。

このため、 駅構内は全くの無法状態となり、校内放送も警察官がようやく続けるほど。「駅員はどこへ行ったのだ」「客を置いて逃げてしまったのか」そんな声があちこちに飛んだ。駅前の熊谷通運上尾支店には、高崎から応援に駆けつけた当局側の職員たちがコソコソと入り込んだ。・・・

駅員たちは一体どこへ逃げてしまったのだ--。駅前周辺の商店の人達は「さっさと逃げてしまったんですよ」と嘲笑うように言う。身に危険が迫ったとはいえ、当局、労組側とも駅を捨て、乗客の騒ぎから逃げてしまった姿こそ、順法闘争という名の闘争を象徴的に示しているように見えた。

数十人の騒ぎが発端 電車のドア閉めさせず 上尾駅長談 

上尾駅近くの病院に収容された駅長は次のように話した。
 七時十分頃定時より三十分以上遅れて電車が入った。乗り切れない乗客がドアを閉めさせず、口々に「今日は発車させないぞ」「毎日こんなことしてなんだ」「国鉄総裁と動労の委員長を呼べ」と騒ぎ出した。中心になっていたのは約四、五十人の同駅からの乗客で、駅事務室や電車の運転席に次々と入り込み、あばれ始めた。説得を続けたが聞いてもらえず、私は八時頃、乗客の一人にけとばされて倒れ、意識がなくなった。職務を遂行できなかったのは申訳ない。

 (朝日新聞 昭和48/3/13夕刊より引用)

上尾事件-3へ続く

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  • はるかさん
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