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2010年12月 6日 (月)

ある経営シミュレーション研修とキャッシュフロー分析の事例 -- 6

経営シミュレーション(ビジネスゲーム)研修の事例。経営戦略とキャッシュフロー分析について

ドメ・グロ社

 上期、R&Dで高価格を狙ったのか世間知らずなのか、硬直的な価格設定守り販売は低迷気味。にも拘わらず、社長は多忙な工場を見るのが快感とのこと、フル操業を続ける。結果、在庫の山築く。
 その後も誰も止めることなくフル生産の月日が続く。ほとんどビョーキ。低コスト化を狙って5月度には2000個の大量発注する。その支払いに窮し、7月にはB.Direct社へ300台納品。さらにはカモを見つけて100台の商売は見事。取引先からは腹黒と後ろ指差されるも、気にする様子なし。

 R&D投資に積極的でいち早い新製品化を実現する。
  8月には8000万円の手形決済迫り、信用不安も流れるも、JCN社からの300台特需入り窮余をしのぐ。
  この6-8月期はもらった手形は全額割引に出す自転車操業状態。社長は工場もカネもフル操業が快感と映る。ほとんどビョーキ。 \(◎o◎)/!

 マーケティング面では強者JCNとの正面対決を避け、西日本に特化が功を奏する。九州に続き大阪にも営業所かまえる。他社OEMの商売上手も特筆。R&D投資もそこそこに怠らず。ただし、大量発注のつけか、その後の部材発注にミスが生じ自慢の工場で生産200台という大失態、
 大量の機会損失を発生。直前に予測できたことなので、売価値上げ、マーケティングコスト削減等の利益管理を徹底すれば月次損益の被害を最小にできたはずです(粗利が赤字です)。機を見るに敏でなければなりません。社史に唯一の汚点を残す。そのため通期決算は凡庸に終わる。最終月の現預金の異様な積み上がり方は何を意図するのか。巷間、社長の退職金との噂たえぬ・・・
                  
●キャッシュフロー計算書の分析と経営実態
 
 棚卸資産の削減、とりわけ製品在庫は販売好調、部材は必要なだけの発注によりキャッシュフローが改善しています。しかし、売上債権回転期間31日の値は、たまたま最終月の販売不振(売掛金激減)の表れであり、ほめられたものではありません。
 利益は堅調です。棚卸資産の減少は最終月の販売によるものですが、それは生産計画混乱の裏返しです。売上債権の減少も売上急減によるものですから評価できません。

 つまりキャッシュフロー計算書では表面的には売上債権と棚卸資産の削減が営業キャッシュフローを大きく押し上げる要因になっています。これだけ見れば、高収益でキャッシュフローを潤沢に生む優良企業ですが、直近の経営次第で、キャッシュフロー計算書の内容も大きく変わるのです。キャッシュフローからの表面的な評価は禁物であるという良い見本です。大型投資をしていないので投資キャッシュフローの赤字はそれほど影響はありません。

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