エルピーダ倒産(会社更生法)だがキャッシュフローで分かることとは
エルピーダメモリの倒産は、年間キャッシュフロー計算書より四半期キャッシュフローの激変
倒産と言うのは通俗的な表現だが、その当たりは帝国データバンクの解説がよい。
エルピーダのIR情報サイトをみていたら、さぞかしここ数年危ないキャッシュフローなのかと思いきや、年度のキャッシュフローは良好だ。フリーキャッシュフローは黒字である。
設備投資額も大きいが、財務の教科書通りのように減価償却費の範囲内で済ませている。
見かけ上、2010年度の損益計算書(P/L)上は薄利ながらも最終利益を出している(ただしキャッシュフローとはあまり関係ない)。
だからキャッシュフローが大事だと言っても、倒産の兆候が見えないとその重要性も薄れるなーと思った。
最近、「格付け」そのものの是非が問われることが多いが、格付けにはキャッシュフローがとても重要視される。
なのに、どうして急に資金繰りに窮したのか不思議だった・・・
でも四半期ベースのキャッシュフロー推移をみれば一目瞭然。
まるで昨2010年度とは打って変わったような四半期キャッシュフローだった。
営業キャッシュフローの1-3四半期累計額は昨年度比ではたった14%に落ちた。3四半期累計のフリーキャッシュフローは2010年は848億円の黒字、同2011年が-361億円の赤字転落だ。もっとも昨年第四四半期からキャッシュフローは悪化している。それでいてカネが借りられなくなったら終わりだ。それに加えて4月には返済が迫っているようだ(第三四半期決算短信: 継続企業の前提に関する重要事象等の概要)。
あらためて売り上げの四半期推移をみれば、2011年度の惨状が分かった。
三四半期累計での前年比売上高は52%しかない。つまり、
売上半減。
大企業ほど、固定費の大きい会社ほどやりきれないだろうと思う。
でもいつか見た景色だ。
最初はITバブル崩壊時の電子部品業界、それからリーマンショック後の不動産業界。
それにしても変化の激しい時代になったものだ。
一番の理由は円高なのだろうか・・・
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