100年前の女の子…遠い記憶に残る鄙びた風景
明治から大正、昭和と生き抜いた片田舎の名もなき女性の半生記。
図書館の棚に飾られていた本なのだけれど、表紙の絵が随分と古臭くて今風ではないのが、やけに気になった。中身を確かめることなく借りてきた。
(船曳由美作、講談社)
まだ読み終わってはいないけれど、読み始めて直ぐに「おしん」をほうふつさせるような感想を持った。
栃木県足利郡の高松村に生まれた、寺崎テイという女性の幼少から結婚あたりまでが描かれている物語である。
とりわけ、生い立ちから養子や里子をめぐる目まぐるしい流転は、いくら時代背景とはいえ小説ではなくノンフィクションであることを思うと胸が痛む。
今でこそ、農業は機械化されているが、自分の子供時代もそうであったように、ほとんどは人的労働のみに依存していた。それも母親が一手に引き受けていた。
そんな遠い昔の消えて行った風景が薄っすらとよみがえるような叙事的な物語として読んでいる。できれば、本文中に挿絵があれば良かったなと思う。
主人公の寺崎テイさんは著者船曳由美さんの母であり、母からの伝承を本にしたようです。
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