グループ内討議を円滑にする編成事例(ビジネスゲーム/経営シミュレーション研修)
この間、終わったある企業での長期新人研修の一環で行われたビジネスゲーム研修でのこと(写真なし)。
グループ編成を思い切って変えてみた。講師としては予備知識(つまりは事前テスト)ベースで変えたかったのだがそこまでは準備できないために、事務局と打ち合わせをして出身学部別にしてみた。 長い研修期間中なので、たまには異なった組み合わせでやることもマンネリ防止に役立つ。
入門レベルのビジネスゲームコースでは1チーム当り5人から6人が最適だ。と言っても、同一学部生が5人ずつ採用されているわけではないので、学部編成をするとでこぼこができるのは仕方ない。出身大学を見ると、かなり幅広く採用されているのに驚く。早慶とMARCH出身者が多いけど、日東駒専、関西系・その他いろいろ。
1.法学部チーム
2.商学部チーム
3.経済・商学・ビジネス系チーム
4.経営・社会系チーム
5.文学部チーム(全員女性)
狙いはチーム内でのディスカッションを円滑にするため。
反転授業と言う目的で事前学習をしてもらっており、その時点でグループ編成をすませていた。
彼らはどんな意図で組まれたチームなのか、ということには関心が無かったようだ。入社したら「お前は何学部?」なんて気にならないのだろうね。
事前学習の段階では法学部チームが優秀だ、と事務局氏が言っていた。
文学部出身の新人には、研修内容がかなり敷居が高いのは当然だ。初耳の用語ばかりだろう。事前学習をしてもらったけれど難しかったようだ。でも難しいことを互いに気楽に会話できる雰囲気を優先したのだ。分かっている人に依存しないで、分からない者同士で解決することを試させている。
グループ学習の欠点は、特定の人に依存したり、発言しない人が現れることだ。知識レベルのギャップが大きいと議論が偏ることもある。
一見したら、学部対抗型のビジネスゲーム研修と言うのはお遊び、邪道と思われるだろう。事実、昔は私もそう考えていたのでやらなかった…。
しかし若手向けのビジネスゲーム研修がお遊びになるか否かは、そのようなチーム運営方式がもたらすものではない。元のシミュレーションモデルの巧拙にあるのだ。 意思決定変数が三つ程度とか、単純で緊張感に欠けるモデルは、勝った負けたの「会社ごっこ」になる。
また形式に依存するカードゲーム風では『ゲーム』そのものになる。 「楽しければいい」というゲーム研修なのか、知識習得とマインド切替(学生から企業人へ)を目的とした研修なのかは、経営モデルそのものに依存している。今回の顧客企業も、「楽しければイイ」には組しない考えなので、採用されている。
本コース(PRIMO-1)は計数概念を重視するのでカード形式では表現できない。強いて言えばケーススタディ風である。 経営数字の流れと基本用語を学びながら決算まで作りこむという負荷の高いことをするので、お遊びになることは無い。 皆、真剣にならざるを得ない。例えば、一般ビジネスパーソンでも「減価償却」や「売上原価」の意味(経理的ではなく経営視点で)分かりやすく説明できる人はほとんどいない。それを新人が学ぶのだ。
感想には「今まで一番頭を使った」なんてのがあった。「じゃあ今までは・・・」とツッコみたくなるけれど、実際この経営モデルで一日5サイクルをやる(やらせる)のだから、集中しないとできない。
記憶に残る日になるだけでなく、配属先の業務フロー理解にも役立つ(過去のフォローアップ時での意見収集で得ている)。
大切なことは経営全体観とビジネスの標準語である種々の用語や数字への理解なのだが、気になるのはシミュレーションの競争結果、つまりは業績だ。上の図。
やはり大学で学んだテーマと相関はあった。
利益トップは経営学部チームだった。勉強してきたことが間違いではなかったね・・・
文学部チームは弱かった。でも結構楽しんでキャーキャー言っていた。カネ勘定が合わなくて・・・
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ビジネスゲーム研修、経営シミュレーション研修、新入社員、若手フォローアップ研修、大学学部
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