上尾市図書館の世代別貸出数の分析と図書館の風景-4
勝手版の上尾市図書館白書 ・・・世代別男女別利用から見えるもの
2016/8/3 顔文字削除、文短縮化。
2016/1/10 (2)などを全面書き換え。一人当り貸出数のグラフ追加。
「上尾市中央図書館基本構想」なるものが浮上してますが、箱もの公共事業という不純な建設動機が無ければ良いですね。
その前に、「文教型の投資だから良い」という単純なものではなく、構想案の中に現行の利用実態からみた説得力ある視点があるのでしょうか。下記は2013年度の貸出統計によるものです。
2013年度 | 男 | 女 |
---|---|---|
人口比率 | 50% | 50% |
登録者比率 | 41% | 59% |
貸出数 | 38% | 62% |
一人当り貸出数 | 12冊 | 13冊 |
人口は男女半々ですが、利用者登録は女性6対男性4、結果としての貸出冊数シェアも女性が62%で圧勝。主要顧客は女性である、という認識は新館を検討する上で重要です。しかし滞在型利用は男性が多いように見受けます。
なお、カード登録者人数は市人口の44%。図書館が無くても困らないという人も56%いるわけです。
(1) 年間133万冊の世代別・男女別の棒グラフと円グラフ
円グラフのYA(ヤングアダルト)とは図書館界で使われるセグメントのこと、子供でもなく大人でもないという発達心理学における見方です。12歳から19歳までと定義されます。
でも実態はyomanai アンタ達です。
統計や図書館風景から見えることは・・・
・30歳から49歳層で41%を占め、その多くは女性です。つまり図書館に滞在している利用層である児童や男性(中高年齢層)ではないのです。
女性の社会進出が加速して男並みの責任ある仕事につく女性が増えると、読書量は減ると思います(男性のグラフに近づく)。
・20歳未満は12%。30歳未満としても17%です。つまり利用者は30歳以上がほとんどです。
・男性は高齢化すると増えるのは退職が契機でしょう。しかし女性が高齢化すると読書が減る理由は何でしょうか。お爺さんは見かけても、お婆さんは見ません。
・YA層は極端に少なく、たった2%なので無視してもよいくらいです。
中高生は受験勉強の姿としてしか見かけません(その点で机数は重要です)。図書館がどんなにYAセグメントへの啓発をしても、彼らは見向きもしません。通塾、部活、受験、校内図書館などの絶対的な制約に加えて、スマホ普及も本離れ要因でしょう。
下記では、読書が大切な時期を10代と答える人が多いのですが・・・
・小学生は健闘しています。小さい頃に濃い読書体験をしておくことで、YA世代の谷間を抜けた20代からの回復に期待しましょう。
・児童は一人当たり32冊/年借りており、大人世代の15冊を圧倒するヘビーユーザーです(これは下のグラフ)。分館のさらなる充実が必要です。
(2) 利用者属性の特徴(読書習慣)
●一人当たり貸出数のグラフ
年齢階層と男女別の一人当たり平均貸出数を示します。この値は「貸出数÷登録者数」ですが、登録者とはたんなるカード登録者という名目人数です。「年に一冊以上借りた人」という実質人数ではないので、実質人数で割るともっと増えます(個人的には一人平均35冊と推定)。
・多くの世代で女性が圧倒していますが、高齢化すると男性の読書量が増えます。
・大人は一人当たり10-15冊、月一冊のペース(あくまでも統計上の平均値)。
・幼児はヘビーユーザーです。特に女の子は年39冊でダントツ。
・小学生は親世代と差がありません。校内図書を使うためでしょうか。
・YA時代から20代まではごらんのありさまです・・・
・30、40、50代の男女は10~16冊、月一冊のペースです。男性の読書量が増えていますが、絶対数は女性が2~3倍多いので、世代平均は14-15冊となります。 三世代が近似値になっていることから、30代で読書をする人は40代、50代になっても同じ読書習慣を継続するのかもしれません・・・・。
なお上尾市人口の平均年齢は44歳です。カッコよく言うと団塊Jr世代、ようするにオジサン&オバサン市です。もちろん今後若返ることはありません、個々人の若作りは別として・・・ (次記事へ)
・60代男性の読書力が凄いです。
(3) 世代別貸出数と登録率の相関関係
縦軸は貸出数、横軸はその世代の登録者数の人口比率です。
例えばYA世代は80%が図書カード持っているが、ほとんど借りない、ということです。一番の利用者層である30-40代の登録率は60%弱、登録率の開拓余地がありそうです。しかし、上尾市の登録率は見かけの数字でした。休眠会員カードのようなものです。その証拠がグラフのYA層の位置に見て取れます。ということで、あまり役に立たないグラフでした・・・
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