●2021年までの最新グラフのみ次に掲載。本文は過去のまま。
--以下は2014年の元記事-----------------
上尾市中央図書館基本構想はまだ未発表ですが、「23万人都市にふさわしい」という表現をネットで見かけたので本当に23万人になるのか、ちょっくら調べてみました。
「上尾市の人口23万人は未達成で終り人口減少へと予測します。仮に届いてもタッチ後の折り返しは先の見えない下り坂へ」。
現在の上尾市人口統計グラフです(クリック拡大)。あなたは、0歳児の下に隠れている未来の棒グラフを想像できますか… (
最新2017年は
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(1) 市と県のそれぞれの推計と人口減少
統計あげお平成25年版の人口推計では、人口ピークが2019年、230,782人です。
埼玉県庁サイトにはExcelで使う人口推計ツールがあります。それによると2015年、224,163人(下図、クリックで拡大)。 同じコーホート法を用いてもパラメーター値で変わるから何とも言えません。しかし現人口は県庁の標準予測値を既に4,000人超えているので、市の推計の方が近い可能性があります。
この
埼玉県の人口推計ツールは良くできています(Excel2007以降ファイル。リンク先は2015年用、本稿作成時よりも質的に充実してます)。
単純な年齢三区分ではなく、老年人口を前期と後期に分けているのも実用的です。関心のある方は、ぜひ、ダウンロードして遊んでください。下はデータをもとにオリジナルに加工したものです。P点の意味は下の方に書いてあります。
(2) 現実の上尾市人口
下記のように、年4回の人口統計では、4月の228176人をピークに、7月10月と二期連続減少しています(2015年からは毎月発表するようだ)。
毎年、微増を続けていたのですから、初めての現象です。←シャレです。 ふり返ったら2014年が人口のピークだった、なんていう可能性があります。としたら人口減少は行政が考えるよりも早く進んでいるのかもしれません。
2013/1/1 227,525
2013/10/1 228,064
2014/1/1 228,155
2014/4/1 228,176 ・・・ピーク人口
2014/7/1 228,100
2014/10/1 228,040
2015/1/1 227,897 ・・・前年同期比 -258人
2015/2/1 227,851 -46 前月比
2015/4/1 227,995 +246 〃・・・春の転入増加により+反転だが、前年同期比-181人、
2015/5/1 228,014 +19 〃 ・・・半年ぶりに228,000人台回復。
2015/6/1 227,984 -30
2015/7/1 228,017 +33
現在人口=前回の人口+自然動態(出生-死亡)+社会動態(転入-転出) です。
●上尾市の自然動態
市統計によれば、赤ん坊は減る一方なのに死者は増加の一途、差引は去年一年間でたったの純増10人。つまり今は損益分岐点ならぬ「生死分岐点」です。22万人もいながらたった10人とは、まるで過疎地? ちなみに生と死は共に1750人位です。
●上尾市の社会動態
もう一つの頼みの綱の「転入-転出」も減少傾
向です。この値は住宅開発の影響を強く受けます。郊外に大規模団地開発があった昭和時代は凄かったです(その団地も今は高齢化)。下図の85-90年はバブル期です。
最近は、コンニチハ上尾市、バイバ上尾市という人が共に一年間9000人位でバランス。そんなにいるのかヨ、って驚きます。去年は消費増税前の駆け込み住宅需要が奏功したのか、過去3年分に匹敵する+620人と大幅転入増です(下グラフ右端の赤のトンガリ)。
駅前タワーマンションも貢献したでしょう。
二つの要因を別々に表示したのが次グラフ。社会動態は景気や住宅政策の波を受けるためかマイナスに転じた年もあります。
つまり、市の人口増を目指す=他市からの転入者獲得 (この式は他市も同じ)
2014年は反動で大幅に住宅販売が減りました。郊外には売れ残り物件も目につきます。まだ駅周辺に開発用地は残ってますか?。目ぼしい空き地も開発完了?。強いて上町にマンション凍結物件が一つ野ざらしです。
●まとめると
今年は「出生<死亡」となりついに上尾市の自然動態がマイナスゾーンへ突入したかもしれない・・・。住宅需要も反動期だし、結局2000人ほど足りぬまま上尾市の人口は天井を打った、と考えるわけです。2000人増やすというは大変なことです、目標達成派が親戚を動員してもムリ。赤ちゃん製造には10か月かかります・・・。
「23万人都市あげお」は寸でのところで実現しません。仮に達成しても持続するわけではなく、下のグラフのように数年でリセットされそうです(元データは県ツールより、クリックで拡大)。
ところで、冒頭グラフのP点は、各年齢層のピーク年を示しています。社会を支える予備軍たる年少層はなんとショーワ末期に、現役の生産年齢層はミレニアムから減少に転じています。 いくら人口23万人といっても高齢化によって達成されるわけですから成長期の市政とは異なります。実態として人口はすでにピークアウトしていることを示しています。
(3) 周辺市と埼玉県の人口減少
上のことは上尾市に限ったことではありません。県北と県南では少し違いますが、周辺市町村の2015年から2030年への変化率を「人口推計ツール」で見たものです。なお、既に人口減少に入っている市町もあります。
久喜市 |
▲11% |
蓮田市 |
▲13% |
さいたま市 |
2% |
伊奈町 |
24% |
上尾市 |
▲7% |
桶川市 |
▲7% |
北本市 |
▲17% |
鴻巣市 |
▲10% |
行田市 |
▲20% |
熊谷市 |
▲12% |
深谷市 |
▲13% |
川島町 |
▲19% |
川越市 |
▲2% |
隣の伊奈町の人口(35000人)はどうなっているのでしょうか!。基数が小さいのも好影響ですが、今後に大規模宅地開発でもあるのでしょうか?。子だくさん家庭しか住めないのでしょうか?まるで昭和時代?、新興国みたい。
埼玉県全体では3%減らしいです(意外と少ない)。ピークは2015年に725万人、その後2030年まで22万人減ると予測されます。つまり上尾市人口分が15年で消えます。
とかく話は暗くなりがちですが、マクロではそうであっても個々の市町村レベルでは少し違うと思います。
これからは、住民が市町を選ぶ時代になればよいと思います(実は起きていますが・・・)。それに気づいた行政側も『隣りマチから住民を奪う』、そんなことを真顔で検討しているでしょう。質の高い行政サービス、低コストな住環境等々、相反することでも行政がその努力をすることで転入が増えるなら結構な話です。
その点では、23万都市は実現可能性があるかもしれません。
また、近年深刻化する台風や大雨被害、地滑り・地震等の災害発生頻度も関東南部圏からの人口移動をもたらすでしょうか?。こればっかりは予想できませんが、関東圏の中では相対的には埼玉県南部は好立地と思うし、人口流入にはプラス要因と思うのですが・・・。
(4) 中と小が一緒になれ
そもそも図書館建設構想の関係で人口推移を見始めたので、それにからめてこう思います。既に広域利用(上尾、さいたま、桶川、蓮田、伊奈)で本を借りられます。いっそのこと、(さいたま市は除外し)他の3市1町で図書館運営を共同事業化したらどうですか。すでに図書館のカウンター業務は民間委託という「外注化」済みです。
他市では館長ごと丸投げ委託もあるようです。民間委託の方が市役所のローテーション人事よりもプロ化する期待もありますが・・・
さほど高度技能が必要とも思えないし、正職員の数は人口に比例しません、相当なコストダウンが期待できます。まあ2市だけでも良いからスタートしたら・・・
エ?ダメですか。
俺のイスがなくなる?
今まで座れたことを感謝しましょう。 人口減だもの・・・
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●追記 2015.6/21
出生 死亡 自然動態 転入 転出 社会動態 期間増減
1,742 1,871 -129 8,627 8,756 -129 -258
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自然動態は-129人、社会動態は-129人、合わせて期間増減は-258人。2014年に初めて上尾市は人口減少となりました。分水嶺となる年に、二つの動態値が同じというのは統計のイタズラですか。
全体の減少は予想通り。一番は自然動態のマイナスですが、昨年がたった10人ですからこれも予想通り。今後も死亡者数は増加一途でしょう。
社会動態は小幅増を予想してたのでビックリ。転入が900人位減!。またプラスに転じる可能性もあり暫くは綱引き状態です。
高崎線の東京駅直通やショッピングセンター開業相次ぐなど有利なイベントもありますが、そんな簡単なものではないようですね。かくなるうえは、近隣市町よりも魅力ある街づくりが必要です。
まあ自然動態にカウントされるまでは毎年更新してみようかな・・・

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