ビジネスゲームのモデル設計における市場別価格設定について
ネット研修の経営シミュレーション受講者からの要望(質問)
(1)価格設定が地域市場ごとにできると良い
そうしない理由は一物一価の考えを採っているため。消費財のように価格が目まぐるしく変わるものではない耐久財というのもある。
かつて地域価格も考えたことがあるが、欠点が多いと考え採用しなかった。
①例えば2商品5市場構造のビジネスゲーム・PRIMO-2では
M1 M2 M3 M4 M5
----------------------------
P1 ** ** ** ** 99
----------------------------
P2 ** ** ** ** 99
----------------------------
M5市場は契約顧客として存在し、その意味では既に各商品には二つの価格がある。現状でも、2×2の四マス使っている。
そこに市場別価格を採ると、計8マスの価格欄が必要になる。そして売上計算も8マス×8マスが追加。手計算ではやりきれない。
その結果は参加者もパソコンを使う方が良いとなる。つまり「経営モデルの複雑さ」と「研修スタイルの良さ」のトレードオフである。

②マーケティング上の価格機能が過剰になると考える。特定地域へのダンピング価格が採り易い。
③地域別価格なら取引条件も地域別が望ましくなるが、そこまでやると過剰だろう。PCならできるが、現実に似せて細かくしたから良いというものではない。エッセンスが重要なのだ。
④採用するなら基準価格があって地域(顧客)ごとに多少の±の差を設ける方式が良いだろう。値引きの範囲内という考え方なら現実的なモデルになる。一般には数量割引。
(2)±10%以内という制限がついていますが、どういう理由か。ない方がおもしろいのでは?
有って当然。
これは教育的な歯止めなのだ。

ない場合はどうなるか。損益に疎い参加者はとんでもない価格設定をする。損益度外視である。本人は薄利でもシェア取って意気揚揚だ。
問題は同業者である。分かった時は一斉に価格競争に突入する。こんなことがスタート直後に生じたら、研修として学ぶ意味が何も無い。会社ごっこのお遊びである。
そもそも、現実には短期間に価格を数10%も変更するわけがない(倒産前でもない限り)。それを面白いという感覚は結局はゲーム思考であり、経営マネジメントへの関心が希薄なのだろう。
いずれにしても、質問者の四社中の最優良企業ですら粗利率は23%程度、営業利益率も6%台ということで、現実的な企業モデルに収れんしている。これが他社の同類研修ならどうだったのか、手元にある古い研修資料を読み返せばよいだろう。そこには現実離れした利益率がないだろうか。
と、こう思っている。
だがR様の提言がなんとなく気になった・・・・

ヤラナイと決めていたことなのに、少しモデルに手を入れてみた。地域顧客別価格制を導入するモデル。
簡単にできる構造にはなっている。そりゃPCだから。配列計算使えば一発だ。
でも用紙レイアウトや手計算の負荷はどうにもならない。アナログな所が問題。できた暁にはルナバージョンとでもしようかナウ・・・・



« 額縁より薄い、ソニー世界最薄4.9mmの4KテレビBRAVIA X900C | トップページ | 原油価格下落は良いことだが、昔は9ドルのときもあった気がする »
「■ビジネスゲーム研修」カテゴリの記事
- 生産事業部と研究開発部門の合同、経営シミュレーション研修(2017.02.03)
- 教育テーマをよく理解できている受講感想例-ビジネスゲーム研修(2016.11.19)
- 工場停止損失の計上が発生したビジネスゲーム事例(2016.10.19)
- 難易度の高い経営シミュレーション研修と想定外の若さ(2016.09.01)
- 若手社員とビジネスゲーム研修事例(2016.08.11)
« 額縁より薄い、ソニー世界最薄4.9mmの4KテレビBRAVIA X900C | トップページ | 原油価格下落は良いことだが、昔は9ドルのときもあった気がする »
コメント