ヘップバーンが端役の映画「素晴らしき遺産」の暖かいユーモア感
上質なユーモアと洒落・人情が織りなす隠れた名作映画、そして二つの意味
聞いたことのないタイトルですが、オードリーヘップバーンの名前を冠した映画らしく、しかもオードリーの珍しいセクシー姿がDVDケースに使われています。図書館から借りてきました。


「見たことのないヘップバーンに会える」なんて書いてあるけど、嘘。いつまで経ってもオードリーヘップバーンは出てきません。もちろん上のような姿はありません。ファンには噴飯もの、誇大広告かも・・・

やっと出てきたと思ったらタバコ売りの娘役で1分ほど(確かに見たことないね・・・)。ストーリー展開からは婚約者になるはずが、違いました。でもどんな衣装でも素敵です、少ないセリフでも表情がとても豊か。

二回ほど出てきます。

ストーリーとは関係のない端役ですが、本当は別役で出る予定だったのが都合つかなくてこうなったって解説にあります。エンドロールでも下から三番目の扱いです。
映画は1951年のイギリス作、原題が「LAUGHTER IN PARADISE」とあるから、オードリーヘップバーンの名前を頭に付けたのはDVDを売るためのあざとい商法でしょうか。しかも日本国内向けかな?。
まっ、決して不快ではありません・・・
、それは彼女が出てこないことなど忘れてしまうほど良く練られた物語だからです。

イタズラ好きの大富豪は遺言状で、性格的な問題を抱えている4人の相続人に対し、それぞれの歪んだ性格を矯正するような無理難題を突き付けたのです。
・人を見下す性分の妹アグネス・ラッセルには、一か月間の・・・
・銀行勤めの気弱な青年の従弟ハーハード・ラッセルには、拳銃・・・
・結婚を控えた、三文犯罪小説家の従弟デニストン・ラッセル大尉には、本当の・・・
・カネと女にルーズな従弟のサイモン・ラッセルには、有無を言わせず・・・
4人が大金を夢見てそれぞれの難題をこなすために奮闘する様がオムニバス風に描かれます。四苦八苦する過程で彼らの人となりが変って行く姿が、謎解きのような面白さと上質なユーモアや人情味を織り交ぜて描かれます。
それだけではありません。ラストのオチも見事です。
映画の中の彼らといっしょに声を出して笑ってしまいました。
これくらい上質なユーモアで脚本を書ける人はそうははいなように思います。

ラストの爽快感は「テキサスの五人の仲間」を思い出しました。

解説によれば、「本作は1950年代のイギリス喜劇界、演劇界の大物が集結した、コメディ映画の隠れた名作である」、とあります。出てくる役者はとても演技力が優れています。特にデニストン・ラッセル大尉役のアリスティア・シムは文句なく素晴らしいです。実際、解説には主役であり、イギリス喜劇界の重鎮と紹介されています。
しかし、よくよく考えてみれば映画の題名が「素晴らしき遺産」とあるのは映画の内容から来るものだけではありません。
『オードリー・ヘップバーン』の初期の出演作として、彼女が映画史に残る大スターへの階段を上る直前の作品として、まさしく今は亡き『オードリー・ヘップバーンの遺産』である、という意味になるのです。そこに価値を見つけることができる人には、このタイトルは誇大広告でもなんでもないのでしょう。
まさか、時空を超えた大富豪ラッセルの洒落たイタズラだったりして・・・


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