なぜ上尾市の新中央図書館を不便な上平に建てるのですか
地元に公共事業を誘致する、という動機は今の時代にあるわけないね
追記 2016/10 本稿の(1)と(2)は下記へ結実します。
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そんな低レベルな動機ではないでしょう。ではなぜ上平地区に上尾市は大型図書館を建てたがるのだろう。
郊外に大型商業施設を建てるのは、広い商圏設定で車での来店を期待してのことですが、図書館利用者はむしろ車を持たない人も多いです。つまり子供(中高生)・高齢者・女性という利用統計上の切り口ではね。最近は若い人も・・・
Q. 立地性の悪い不便な上平に新図書館を建てる理由は何ですか?
Q. どうして、図書館へあまり本を借りに行かない人達が、建設計画を決めるのですか?
誰も正面からは言いませんが、うすうす答えは○○です。とりあえず公開資料が有りました。他にもあるかもしれませんが・・・
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(1)上尾議会だより 2015/5月号 より引用
問(井上茂議員)
新図書館について、一般財源や補助金の有無、借金など財政計画の観点からも総事業費を把握する必要があるが、どの位か伺いたい。また、よほど魅力的な図書館を建てない限り、市民は手間をかけて遠い図書館に足を運ばないと思う。候補地の選定において、なぜ第一に立地条件を据えなかったのか、上尾西口大駐車場と上平公園西側の比較検討の内容について伺いたい。
答
施設の概要は、基本設計により決まるため、現時点で事業費は報告できる状況でない。
新図書館の候補地は、延べ床面積5000㎡程度の建設が可能で、100台程度の平置き駐車場が確保できる土地を前提に選定した。
上尾西口大駐車場は、駅から近いが、市が所有している部分の面積は約2330㎡で、残りの約2050㎡については高額な土地の買収費用が想定される。また、面積の上でも建築制限により、前提条件を満たすことは難しい。
一方、上平公園西側は、JR北上尾駅から徒歩約18分の距離にあり、JR上尾駅からバスが運行している。面積は約7000㎡で、建築計画が容易で、土地の買収費用も比較的安価なことが想定される。これらを総合的に判断して、政策会議で決定した。
注、同号には他議員からも質問と回答があったが、稚拙で馴れ合い質問風なので除外。
「先に上平公園西側候補地ありき」が明らかに!
上平候補地の地権者とは候補地を決めた政策会議(平成26/1/22)後に買収交渉を始めたのか」との質問に「平成25年11月からお話をさせていただき、一定のご理解を得ていた」と政策会議前に候補地が決まっていたことが明らかになりました。
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(1)の答に対し、さらに突っ込んだ質問が無いのは残念です。
建設資金は分からないが建設地は決まった。こんな論理が通用する職場ってヘンです。「駅から遠い」と言えば「北上尾駅から近い」、こんな答弁は笑いもの。そして最終的な決定理由は「総合的」。真意を隠すために行政や政治家が好んで使う常套句です。
(2)は、なんとなく「決める前に決まっていた」となりそうです。本来は候補地に数十もの評価項目を設けて比較検討をして決めるはずです。
●上尾市議会議事録検索へ 検索語「候補地、政策会議」、H27年で検索可(糟谷氏質問)
候補地を決め、次にどんな図書館にしようか。こんな順番で仕事をするのは結果責任を負わないお役所だけ。広さと駐車場が建設地の条件とするのも本末転倒。フツーは利用人数や貸出数という需要を見積もり、それを達成するための適地は何処か、となります。
利用指標を目標にしないのは無責任(きつく言うと無能)です。具体的には、或る利用者数(市人口に占めるカバー率)が来て、どれだけ繰り返し来館し(リピート率)、そして多くの本を借りるか(利用頻度=貸出冊数、いわば買上点数)です。
一定期間(通常1年)におけるフロー情報こそ図書館行政の成果指標です。しかし今の行政と議員は、人口や施設面積とか蔵書数というストック情報でしか文教を語れません。典型が「23万人にふさわしい・・・」です。本館は365日開館という案もだせずに(他人の)カネで買える設備投資で、効果指標も持たないとは無責任の極みです。
ストックでしか語れないのは、時代錯誤の箱モノ行政か「立派な文教施設を作った」という為政者の功名心に過ぎない?と疑われます。「ストックは素人でも分かる、プロならフローを語れ」と言いたい。
利用指標を目標にしないのは未達の責任や政策の間違いが判明するからでしょう。かくして行政の行動は曖昧となり「結果無責任」が繰り返されます。
あらためて、上平案では車を持たない利用者や子供には遠い図書館になります。不便で高額な「上平中央図書館案」には反対です。上町の中央図書館でも雨天は休日でも閑散、駐車場が満杯なんて日は珍しいです。夏場は避暑目的で混みますが、それが遠くなると往復で汗かきそう。
賛成派は今の本館利用度×建設投資倍率(新図書館÷現本館)以上の貸出数や利用者数を見積もれる自信がありますか?それも20年間ベースで。
(3) ケンセツ的な提案・・・上尾市アマゾン図書館計画
新図書館では蔵書を増やしますが、不便な場所のために「Web予約で近隣図書館受渡し」の利用形態が必ず増えます。そうなると高額建設費の施設が本末転倒になります。駅前分館は今よりも高稼働になります。
文末 「その本図書館にあります/カーリル」記事参照
蔵書数を増やすなら、郊外に大型蔵書施設を作ればよいのです。新規物件ではなく、空き施設。例えば、上尾でも小学校の部屋が余るのは時間の問題・・・(年間500校が廃校する時代です)。
つまり図書館のAmazon化です。大きな倉庫(書庫)と配送により建設投資を抑えられます。毎年の運転資金は新施設を稼働するよりも安上がりと思います。なによりも図書館の存在が市民にとって(ネットと物流で)等距離となり、立地による不公平感が解消されます。
作業として増える配送仕訳と配送頻度や図書受渡し場所は雇用創出(NPO等)と地域安全に寄与します。貸出本の滞留日数が増える弊害もありますが、全体としては低コストです(それが目的です)から費用対効果は高いとみます。なお上図からは北上尾駅前に分館か受渡し場所があっても良いと思います。
学習机や閲覧スペース、くつろげる場所は増やす必要がありますが、蔵書を外部化することで空きスペースが生まれます。蔵書外部化を進めると図書館の万引き被害は確実に減ります(防犯タグの高額投資も不要?)。
「広い書棚空間を巡り本に触れ合う」という体験は児童書コーナーのみで良いでしょう。限られた予算で大図書館体験を望むのは、贅沢な懐古趣味かもしれません。蔵書数を増やすほど、人々は検索利用に依存するのです。 早く若い人に交代して下さい。
新時代にふさわしい、ツタヤ図書館とも違うからので注目されますヨ、上尾市長さん。なお、この計画には立派な図書館長室や革張りの椅子は有りません。だって倉庫だもん・・・
役人や市長・議員のカネではなく、建設資金は納税者のカネと将来世代への負債です。
国レベルでは新国立競技場問題がありますが、上尾市でも新図書館の高額な建設費や毎年の維持費がこれから明るみに出ると似た問題ですね・・・
追記:
Q. 建設計画を作った人達の、去年一年間の図書館利用回数と読書冊数を教えてください…
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