1885年から2015年の30年間で見る地区別人口と世帯数の推移
上尾市人口は2014年にピークを打ち、228,000人台で横ばいです。それでも人口減少が著しい他市町からすればうらやましい限りです。
しかし、マクロ的な全体数字では生活実感とは異なります。もう少し身近な数字に落としてみようと思い、かつ上尾に住んで節目を迎えたこと、五年ごとに行われる国勢調査の年であること、去年書いた人口記事(注)では物足りないこと等々の理由で、今度は地区・地域別の人口変化を調べてみました。
実はデータを見ていたら10年余計に昭和60年(1985年)まで戻ってしまいました・・・キリが有りません。1985年はプラザ合意の年、バブル景気のとば口です。
上尾市人口統計の調査月日は1/1や10/1のように複数ありますが、1月1日の値を使いました。今回は住所地域区分としての人口と世帯数を見ます。似たものに事務区分があります。事務区分とは行政と市民との連絡網の単位みたいなものらしいです。殆ど地域区分と重複しているのムダな管理区分という気もしますが、慣習ですかね・・・。
(1) 対象年度と地区概念(6地区と団地地区)
30年間の毎年ごとの変化は小さいので、10年間隔の変化で見ます。
対象年は、1985(昭和60)年、1995(平成7)年、2005(平成17)年、2015(平成27)年。
地域は上尾市統計で使われる、上尾、平方、原市、大石、上平、大谷の6地区。
さらに別枠で団地地区という集計区分があります。
原市団地
尾山台団地
西上尾第一団地
西上尾第二団地
しらこばと団地
富士見団地
根貝戸団地
平塚団地
上尾東団地
ソフィア上尾
この団地区分は、歴史的に上尾市行政において団地の存在が非常に大きかったためと思われます。なお、本記事では「10団地」と表現します。往時を知るわけではありませんが、データからはとても感慨深いものが見えてきました。むしろ一番の発見ですが、その詳細は次のブログ記事にします。
ちなみにソフィア上尾は団地とは違うように思いますが、統計表では団地区分に入ってました。データの連続性でしょうかね。なお、10団地の値は各地区から抽出されたものであり、正味は6地区の値のみです。元データの一部は文末掲載。
参考に市役所HPからの図を貼ります。
実は、6地区の境界地図がありませんので、本当は良く知らないまま書いてます。
団地の場所も調べながら書いているというよそ者レベルです・・・。
(2) グラフ、10年おきの地区別人口推移 (各グラフはクリックで拡大)
各地域の4本の年度人口を並べています。地域により急な右肩上がりでも、既に市全体人口は横ばいのため、2015年以後はこのトレンドが続くことはありません。
特徴は、上尾地区への集中です。大石地区も人口が多いですが、団地があることと他地区の二倍の面積があるためと思われます。
10団地人口の激減ぶりが目を引きますがこれは別途。
(3) 直近10年間の地区別人口と世帯数の変化
グラフの種類を訂正・・・2016/4/29
2005年から2015年への増減率です。青は世帯数、赤は人口の伸び率です。大きな変化のように見えますが、概ねその前の10年間と比べて増加ペースは半減してます。
各10年間区分でみたら、人口伸び率×2~3倍=世帯数の増加率という相関でした。
上尾地区は上尾駅中心のマンション建設で人口集積が進んでいるのは実感通りですが開発用地がなくなれば終わりです。多くは工場跡地だったと思います・・・
大谷地区は元の人口は少ないものの伸び率はトップです。宅地開発が進んだのでしょうか。
注目すべきは、平方と大石地区では既に人口減少に入っています。大石地区は小敷谷にある西上尾第一、第二団地の人口減少によるものです。
右端の「10団地」はその前の10年ともに20%人口減少を連続し、歯止めがかからないようです。
(4) 人口は減っても世帯数は増える(上尾市全体統計)
(3)のグラフから分かるように人口よりも増加率が高いのが世帯数です。30年間で人口は30%増えましたが、世帯数は80%増えています。
子供が巣立って近所に家を持つ、というのはムカーシの話。晩婚化による単身者の増加、高齢化による一人暮らし老人などの増加と想像できますか、成熟した社会では個人主義が強くなり単身化が進むのだと思います。単身世帯の比率は25%(H22年国勢調査より)、4世帯に一軒が単身世帯です。
その結果が
平均世帯人数の減少に現れます。上尾市全体では30年前は3.3人/世帯ですが、今は2.4人。一人分減った感じです・・・
。この値は6地区では2.3人~2.5人でほぼ類似です。
上尾市のプロフィール |
1985年
|
1995年
|
2005年
|
2015年
|
世帯数
|
52,805
|
69,833
|
84,698
|
96,136
|
人口
|
176,749
|
206,889
|
222,189
|
227,897
|
平均世帯人数
|
3.3
|
3.0
|
2.6
|
2.4
|
平均年齢
|
32
|
37
|
42
|
45
|
10団地人口シェア
|
23%
|
17%
|
13%
|
10%
|
平均年齢は2015年は市統計、他は国勢調査より。1980年代(昭和60年前後)の市民の平均年齢
32歳とは、信じられない若さです。今より人や車が少なくても活気があったことでしょう・・・
。 ちなみに昭和50年代は29歳くらいです。
(5) その他
住宅が増える原因には税制や景気対策が大きいです。
消費税値上げ前の駆け込み特需。
住宅ローン減税による借入奨励による政策的な需要喚起。
相続の前倒し的な贈与税改定による政策的な重要喚起。
過度に新築重視な政策。
持ち家志向の低年齢化傾向、等々。
しかし団地やマンションや分譲住宅区画にしても、ある程度
似た世代がどっとそのエリアに押し寄せるので、隣近所が同時に高齢化していきます。規模を問わず、身近に良く見られる光景です。年齢幅のある世代が集まるほうが街としての持続性が保てると思うので、これも合成の誤謬ですね・・・
まあ住宅政策は政権や政治家の人気取り政策であったり官僚のその場しのぎの経済対策に過ぎません。民間デベロッパーはその流れに乗ります。
過度な新築奨励策だから空き家が増えるわけです。そういえば、最近は住宅着工の風景は少なく、むしろ空き家解体現場を見る機会が増えた気がします・・・
元となるデータ表
|
1985年
|
1995年
|
|
2005年
|
|
2015年
|
上尾市
|
世帯数
|
人口
|
世帯数
|
人口
|
世帯数
|
人口
|
世帯数
|
人口
|
世帯人数
|
人口密度/km2
|
上尾地区 |
14,962
|
47,552
|
19,890
|
55,883
|
24,366
|
61,773
|
27,574
|
64,196
|
2.3
|
8,261
|
平方地区 |
1,906
|
7,095
|
2,735
|
8,763
|
3,425
|
9,306
|
3,736
|
8,928
|
2.4
|
1,572
|
原市地区 |
9,168
|
30,965
|
12,059
|
35,702
|
14,517
|
37,260
|
16,761
|
38,804
|
2.3
|
6,658
|
大石地区 |
14,226
|
49,115
|
18,348
|
55,460
|
21,802
|
57,277
|
24,058
|
56,308
|
2.3
|
4,687
|
上平地区 |
6,776
|
23,473
|
8,606
|
26,675
|
10,514
|
29,286
|
12,173
|
30,524
|
2.5
|
4,163
|
大谷地区 |
5,767
|
18,549
|
8,195
|
24,406
|
10,074
|
27,287
|
11,834
|
29,137
|
2.5
|
4,176
|
(10団地)
|
11,976
|
40,266
|
12,347
|
35,717
|
12,438
|
28,454
|
11,988
|
22,921
|
1.9
|
合計
|
52,805
|
176,749
|
69,833
|
206,889
|
84,698
|
222,189
|
96,136
|
227,897
|
2.4
|
5,008
|
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