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2015年9月11日 (金)

2-上尾市は団地で人口急増し、団地から人口減少が加速

時代の先端と憧れた郊外大規模団地が、人口減少の最先端へ転じる

前記事: 1-上尾市の地域別人口変化(30年間)から見えてくる増加減少の景色

2016/12 シラコバト団地の空き室率は推定28%がピッタリでした(9月議会答弁より)

前記事では上尾市の各地区別の人口推移をみましたが、今回は人口減少の著しい団地についてです。市では団地別に統計調査しているので、10団地の明細をみます。統計元は前記事参照。

(1) 10団地の30年間の人口推移と変化率 (クリックで拡大)

 Photo_3

前記事では10年ごとに市内各地区は人口が増えていましたが、団地群は人口減少がなんと30年以上前から始まっていました。

棒グラフは10年ごとの団地人口です (データの一部は(2)参照)。 赤棒が最近値。折れ線グラフは30年間の減少率。 富士見を除く9団地が減少し、その値は45%前後という凄いものです。シラコバト団地は57%も減り、最盛期の半分以下です。

10団地合計では1985(昭和60)年前後が団地の黄金期かもしれません。ピーク人口で約41,000人と推定し、上尾市人口の23%を占めます。西上尾第一と第二だけで二万人、市人口の12%とは凄いです。『上尾団地市』と呼ばれても不思議はありません。

四人に一人は団地住民ですから上尾市行政にとって非常に大きな存在感(市民税、教育や福祉)があったと思います。そして30年後の2015年では23,000人、43%減です。

このような時間軸の長い30年間対比なら減少幅が大きくなるのは当たり前、過剰な見せ方では?、っと思われますが、実態はもっと深刻です。(3)に書きました。

(2) 昭和40年代の建設から、そろそろ築50年団地へ

1985年と2015年のデータと各団地の簡単なプロフィールです(95年と05年は省略)。データ元は市統計やWebですが正確さを保証するものではありません・・・まぁ、当らずとも遠からずってことで・・・

  1985年 2015年   人口減少率 人口減少率  
団地名 世帯数 人口 世帯数 人口 世帯人数 10年前比 30年前比 建築年 築年数 事業主体 .空室率
原市 1,550 5,073 1,557 2,857 1.8 -18.5% -44% 1966(S41) 49 UR賃貸 2%
尾山台 1,743 5,737 1,759 3,100 1.8 -16.3% -46% 1967(S42) 48 UR賃貸 -
西上尾第一 3,150 10,729 3,179 5,980 1.9 -18.6% -44% 1968(S43) 47 UR賃貸 -
西上尾第二 2,950 10,057 2,877 5,425 1.9 -21.1% -46% 1970(S45) 45 UR賃貸 5%
しらこばと 835 2919 606 1,256 2.1 -39.2% -57% 1967-1968 48 埼玉県住宅供給公社 28%
富士見 552 1827 841 1,826 2.2 -4.7% 0% 1967(S42) 48 ? 52%増
根貝戸 300 972 275 504 1.8 -24.0% -48% 1970(S45) 45 今は分譲?,徒歩圏 9%
平塚 215 697 169 323 1.9 -27.3% -54%     ? 21%
上尾東 231 888 229 554 2.4 -18.6% -38% 1979 36 埼玉県公社? 5%
ソフィア上尾 450 1367 496 1,096 2.2 -12.2% -20% 1983 32 民間マンション  
団地合計 11,976 40,266 11,988 22,921 1.9 -19.4% -43%        

世帯数はあまり減っていませんから、一世帯当たり人数が1.9人と二人を割れています。

主に昭和40年代前半に建てられています。高度経済成長期の後期です。住宅公団(今のUR賃貸住宅)がこぞって大都市近郊に大規模団地を造成したようです。建物や内装(風呂付)も当時としては先端的と言われていた(らしい)。住宅ローン制度も未熟な時代ですから、賃貸の新しい団地は庶民の「あこがれの的」だったかもしれません。

しかし5階建ての団地はエレベータ無しです。間取り面積も狭いです。これらが今では致命的です。景気予想とは違い、もしもこの二つの将来的な問題点を「見通せなかった」としたらプロとしては無責任です。

さて郊外団地はJR上尾駅から遠いけど、今よりはバス便がバンバンあったのでしょうか。都心へ通う勤労者用だったのか否かは分かりませんが、当時なら近郊に雇用の受け皿となる製造業も多くあったことでしょう。

昭和60年の上尾市の平均年齢は30代前半です(30代が多数派ではなく、子供が多かった)。昭和の時代が良かったなどと懐古する気はありませんが、社会インフラが未熟でも、非常に若々しく活気に満ちていたと思われます。 しかし建物は競い合うようにもうじき築50年です。鉄筋コンクリートは税法耐用年数が50年ですから、それを超します。当時20代の若さで入居した人なら70歳を超します。

表の空き室率は適当です。オフィスビルのような正しい空き室率ではありません。真値は開示されていませんから、現世帯数と1985年までの間の最大世帯数との差の比率で求めた推計です。

●団地の人口減少はかなり昔から始まっていた

人口減少には前半と後半がありそうです。前半の減少は団地内部的なものの反動から生じており、駅近マンション人気の高まりや住宅ローン商品の充実による持家志向が強まったことではないかと思います。

既に30年前から団地人口減少が起きていたと(1)で書きましたが、遡り1980年(昭和55年)の統計をみてみました(それ以前は不ぞろいのためデータ比較は不可)。またソフィア上尾建築前のため9団地となります。それによると、

9団地合計で1980年~85年の比較は-3.7%の人口減です。市全体は人口増加期に拘らず、35年前の昭和55年前後(つまり築10年頃)には既に団地人口は静かに減り始めていたことになります。持ち家志向の強まりや子供世代が巣立っていったのでしょうか。

●同時進行する二つの高齢化

その後の減少は、人口減少により周辺商店街の閉店(生活利便性の低下)がさらなる地域人口の減少(自然減と転出のみで転入増がない)を招くという負のスパイラルと思われます。

その結果が団地の「高齢化」です。年齢統計の詳細は次記事ですが、団地住民の平均年齢は50歳から55歳の間です。上尾市平均が44歳ですから、一世代上のイメージ。

また高齢化すると車を手放しますから買い物の足が無くなり、買い物難民化しやすくなります。

景気の良い時に大規模供給された政策的な住宅は入居者が狭い年齢層に集中します。結果、似たようなライフサイクルを体験しながら高齢化します。二世帯住宅化もできないので周辺部よりも高齢化が進みます。

かくして国策的に作られた憧れの団地ですが、今は建物と住民の高齢化が同時進行し、人口減少の最先端へと転じています。これは上尾市に限ったことでもなく、公共団地に限った問題でもありませんが、団地は目で見て分かりやすく先鋭的です。
 

(3) 団地人口の減少はもっと加速するという誤読予測

統計上尾(平成26年版)の第二章p19に地区別の人口推計があります。平成33年(2021年)の1/1日時点では16,033人です(団地明細はなし)。

Photo

市の全体人口は微減予想ですが、団地に限っては2015年比で30%の大幅減少です。10年間隔で20%減少なのに、これから6年間で三割減少と言うのです。

●実は上記リンク先の推計データ表(p19の第11表)は、データの表示方法が間違っています。行政は間違いとは認めないかもしれませんが・・・長くなるので別記事にします。

結論から言うと上のグラフの「2021推計」の部分は間違いです。こんなに減るわけありません。本当の値はp19推計表では分かりませんから、使えないデータを作っているという点では税金の無駄使いです。なお誤読を招く表示に責任がありますから、象徴としてグラフは直しません…

(4) その他

郊外団地は広い敷地のため建物(棟)はゆったりした配置です。全室南向きで陽当たり良好。駐車場も比較的余裕ありそう。。。家賃も安い。部屋は狭いけど単身者や少人数世帯にはまあまあかもしれません。

3-4棟壊して一棟高層化する、なんて事は素人目にもできそうに想うのですが、やはりおカネですね。建て替えの予算順番が回ってこないと難しいのでしょうか。それができないから団地リフォームという改善策もあるようですが・・決め手にならないみたいです。同じ悩みを抱える民間マンションもあるようです(これは限界マンションとか言われます)。

テーマとしては続きます。

本記事で、ブログ記事通算999本目です・・・弁慶気分です 

 

次記事: 上尾市の地区別(地域別)と団地の高齢化率や平均年齢

 

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