公共施設の今後40年間投資総額の情けないミス
上尾市公共施設等総合管理計画(H27/3)
ある条件下の試算と過去10年間実績の平均による見積もり
なんと40年先までの公共施設建物や道路インフラ等の更新や建て替え費用をどう見積もるか?。難題であっても試算しないわけにはいかないのだろう。
前提は30年で大規模改修、60年目で建替え、面積に対してある建設単価を使うなど。その結果が下の①40年予想額。
それに対して、過去10年間の平均値を使ったのが③の値
更新費用(億円) | ハコモノ | インフラ | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
40年間予想額 | ① | 1,792 | 2,546 | 4,338 | ||||
上記の平均/年 | ② | 45 | 64 | 108 | ||||
10年間平均実績額 | ③ | 29 | 59 | 89 | ||||
予想の実績倍率 | ②/③ | 1.5 | 1.1 | 1.2 | ||||
実績額ベースの総額 |
④ (③×40) |
1,172 | 2,368 | 3,540 | ||||
予想額対比 | ④/① | 65% | 93% | (798) | ||||
予想額からの減少率 | 35% | 7% | 18% |
施設課の主張は10年間実績方式でやれば、予想額よりも35%減りますから、それを目標にします、と言うことらしい。グラフにしたのが下(オリジナル)。
- そもそも納期40年後の目標など長すぎて意味が無い。40年後に誰が評価するのか、未知の領域。
- 削減という場合は、過去の事実と対比するものであり、未来の予想額と比較するには違和感ある(実績÷未来では次元が違う)。その意味で、単純予想額の65%程度しか予算投入できません。となる。
- 過去10年実績に対して20%削減で将来の更新計画を実施します、というのが民間の思想である。
- 予想額の精度は不明だから、これに対する比率は形式に過ぎない。
- 35%は非常に大きい削減率だが、分母となる40年予想額は機械的見積もり(非現実的)であり過剰な値になる。政治や社会情勢の政策的ブレーキが無いという前提で施設が更新されることはあり得ないので、予想を超えた空想である。
- 平たく言うと、「ない袖は振れない」を言いたいだけだろう。
●不思議なミス発見から見える、情けなさ ・・・ 追記3/12
計数面のまとめを記したP7にヘンな数字が2つもあった(下の取消線)。当然、概要版の元になる計画本書にも。
「更新費用予想額は、約4506億円 ・・・・ 投資総額3540億円を約966億円上回る・・・」の文。
それまでに出てきた数字と辻褄が合わないので仕方なく冒頭の表とグラフで検証したわけ。 正しくは4338と798となる。
施設課はミスを認めた(現在はpdfでは修正済み)。
不思議なのは、まとめの数字なのに誰も検証しなかったこと。作成者はミスを犯すものだが、管理者は少し電卓叩けばすぐわかるレベル。どんなに上尾市の将来を憂う立派なカラー版の計画書を作っても「作成元の管理職が見ていない」というご粗末さが明らかになると、羊頭狗肉であろう。

誰も、と書いたのは、本書は重要な計画だから、一年前に他部門にも配布済みと思う。上尾市役所の職員数百人の目に触れたはずが、誰も読んでねーなんてことはないよな
。

それとはともかく、引出しの奥に入れたままの君はそのカラー版、オレによこせ。猫に小判だろう 

●今日テレビで面白いのを見た。
建築家の青木茂氏による『リファイニング建築』という、“取り壊さない”再生建築技術。
震災で亀裂が入ったビルを直して長寿命化していた。費用は新築の2/3と言っていたようだ。ちょっと高い気もするが・・・こういう試みはイイね。

もったいない、と言う割には、日本人はそれほどモノを大切にしないからね・・・
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