武雄市図書館の貸出統計にみる増加と減少の悩める姿

年度 |
2011 委託改装前 |
2013 CCC開業 |
2014 二年目 |
2015 三年目 |
---|---|---|---|---|
A来館者数 | 255,828 | 923,036 | 800,736 | 728,248 |
前年比 | -4% | 261% | -13% | -9% |
B 貸出利用者数 | 82,539 | 167,899 | 153,545 | 150,476 |
前年比 | -1% | 103% | -9% | -2% |
C 図書貸出数(団体含) | 352,312 | 555,104 | 480,153 | 460,931 |
前年比 | -2% | 58% | -14% | -4% |
D 市内 利用者 市外 〃 県外 〃 |
79.1%
20.5% 0.3% |
56.5% 32.1% 11.4% |
54.8% 32.0% 13.2% |
55.0% 31.7% 13.3% |
E 当市民の利用人数 B×D | 65,288 | 94,863 | 84,143 | 82,762 |
前年比
下段は2011年比 |
-0.6% (D79%仮定) |
45.3% | -11.3% |
-1.6%
27% |
F 一回当り貸出数 C/B | 4.3 | 3.3 | 3.1 | 3.1 |
G 蔵書数(視聴覚含) ※ | 190,142 | 212,304 | 220,512 | 仮225,000 |
蔵書回転率 C/G | 1.9 | 2.6 | 2.2 | 2.0 |
H 当市民の貸出数 C×D | 278,679 | 313,634 | 263,124 | 253,512 |
前年比
下段は2011年比 |
-2% | 12.5% |
-16.1%
-5.6% |
-3.7%
-9.0% |
当市民の蔵書回転率 H/G | 1.5 | 1.5 | 1.2 | 1.1 |
- 全体として、開業効果が薄れて二年連続で利用度は減少。それは予想通りと思います。開業年度の92万人来館と17万貸出人数を比較すると、いかに見物人が多いかが分かります。
- 来館者数は、ツタヤ書店やスターバックス等の商業施設利用のみの来館者も含まれるため、図書館の評価には使えません。ツタヤ側は最重要視していると思います。
- B貸出利用者数の減少幅(-2%)よりもC貸出数の減少(-4%)の方が大きいのは、一人で複数冊借りるためでしょう。
- 開業前(2011年)と比べ、G蔵書数の18%増に対し、.利用人数は15万人で1.8倍、貸出は46万冊で35%(12万冊)増です。本以外の誘因が大きいことの証明です。
- 全体のG蔵書回転率は2.0なので「並み」レベルと思います。人口の少ない市町は低く目で2未満が多いです(個人的見解)。 分館政策と一館主義の違いもでます。人口の多い都市部では三回転位の値がでます(武雄市だと3倍は66万冊)。
- 利用者属性を見ると、武雄市民は全体の55%しかいません(同比率は新聞から引用。Bの構成比率として使います)。
- 市立図書館で市外利用者が45%もいるのは珍しい例と思います。一般に、図書館の利用実態を分析する時に市外利用者の多寡をさほど考慮しないと思います。せいぜい10%前後?だからと個人的に思うのですが・・・
- 結局、武雄市図書館の人数や貸出数の大幅なゲタは、周辺市民の来館が急増したものです(爆買インバウンドみたい・・・
)。 市外の人に大変喜ばれた施設となりましたが、ツタヤが45%に近い比率を事前に見積もっていたとすればたいしたものです。流通業の商圏分析と同じです。
- 車で行きやすいのか、周辺市の図書館(or書店)が貧弱なのか知りませんが、いずれにしても他市民45%は異様であり、ここに「武雄市ツタヤ図書館」の本質があるように思います。
つまり民間発想では商圏を広くして人を集めようとし、公益発想では縄張り内のみを重視する。
(追記: 地図見たら一目瞭然・・・商業施設やスポーツ施設が集積してます。)
(3) 武雄市の税金で運営されているわけですから、武雄市民に限定した利用実態を見てみます。
- E武雄市民の利用人数(年間延人数)は、Bの総人数×55%で推計。 直近の83千人は開業前より 27%も増と良好です。 新規客が増えたり、既存客のリピート回数が増えたと思われますが、その内訳は分かりません。
- 武雄市民の貸出数も同様に算出すると253千冊です(これは実データを開示してほしいです)。 開業前よりも 9%減です。既に2年目(-5.6%)から減っています。
- 武雄市民に限れば、利用人数は27%も増えたが、読書冊数は9%も減った、となります。理由は、F一回当たりの冊数が4.3から3.1へ1冊も減ったからです(他市民も同じ貸出習慣と見なす)。
- 一人一回当たり貸出冊数が3.1というのは図書館としては普通レベルと思います。一般に子供は多く、大人は少ないですが、貸出期間が限られるので概ね3~4冊(点数)と思います。
- 貸出数が二年目から減っているのは意外を通り越して深刻です。通う回数が増えると、一回当たりの冊数が減るのは自然ですが・・・理由はそれだけでしょうか。 よそ者には分かりません・・・
- 開館時間が10-18時の8時間から9-21時の12時間へ4時間延長。50%増。
- 開館日を295日から365日へ70日、24%増。 委託前換算で年14ヵ月!
- 時間数×開館日数では1.86倍の拡大。委託前換算で年22ヵ月相当。
2011 | 2015 | 改装前比 | |
---|---|---|---|
開館時間 | 8 | 12 | 1.50 |
稼働日数 | 295 | 365 | 1.24 |
K 総時間 | 2,360 | 4,380 | 1.86 |
8h換算日数 | 548日 | ||
月数換算 | 22.3カ月 | ||
E 当市民利用人数 | 65,288 | 82,762 | 1.27 |
H 当市民貸出数 | 278,679 | 253,512 | 0.91 |
当市民 利用人数/h
当市民 貸出数/h |
28人
118冊 |
19人
58冊 |
0.68 0.49 |
全体利用人数/h 全体貸出数/h |
35人
149冊 |
34人
105冊 |
0.98 0.70 |



年度別のURB | 2011 | 2013 | 2014 | 2015 |
---|---|---|---|---|
武雄市人口(1月末) |
51,479 | 50,896 | 50,675 | 50,309 |
実利用者数 U | 10,296 | 10,179 | 10,135 | 10,062 |
年間利用回数 R | 6.3 | 9.3 | 8.3 | 8.2 |
一人当り冊数 B | 4.3 | 3.2 | 3.1 | 3.1 |



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