↑はパクリですが、相応しいのは↓。
「チチになるなら、チチブ市」
首都圏でシティセールスのキャッチコピーとして最も評価されるのは「母になるなら、流山市。」でしょう。
冗談抜きで、初めは、流産と誤読しましたが…
決して歯の浮くような宣伝文句ではありません。10年間で人口2万人増、とりわけ30-40歳代で急増、と流山市は胸をはります。
最近、図書館問題で知ることとなった神奈川県・海老名市は、郊外都市としてただ今人気上昇中とのこと。「子育てにやさしい海老名市」とテレビで(売り込みかな?)紹介されていました。
遅ればせながら、上尾市も2016/1月に「
上尾市シティセールス戦略 」を発表しました。目的は「他市との差別化をはかり、人や企業に選ばれる街づくり」です。
首都圏近郊の自治体は、定住促進、子育て世代の流入促進がネライです。ようは人口減少時代の生き残りです。「今いる人は引っ越さないで、来る人は子育て世代大歓迎」ということです。
シティセールス概念がなかった昔は工場や企業誘致でしたが、今は『人間誘致』つまり『移住促進』。昔からある宅地の区画販売はその典型と思いますが、シティセールスはもっと広い意味のようです。職業柄、本来はシティ・マーケティングだろうと思うのですが・・・。
ところで、その本気度には市町村で差があります。ヨソもやっているからというお役所レベルから、深刻に受け止めている所、果てはあきらめに近い自治体すらあるかもしれません。
上尾市のシティセールスの内容を(分かりずらい)市役所HPから探すのは大変です。
このページを見ても、まだ片手間仕事みたいです。 まぁ、PJ組織や計画書を作っただけで満足っていうのは企業でもありがちですからね。まずは感想を・・・
1 公務員にできますか? という違和感
公務員を志す人に、営業はきらい、ノルマとか成果測定や競争のある仕事はイヤという人は多くいませんか?。そんな営業やマーケティングとは縁遠い人達が「市」を商品として売り込めますか。という本質的な疑問です。
流山市の例は外様の市長が職員の大反対の中で始めた苦節10年の難産物語です。
シティセールスを本気でやるなら、民業に携わる市民から知恵を集めましょう。営業やマーケティング・ブランディング実務の経験者をサポーターとして参加させるべきです(タダですから。行政と親和性の高い団体との協業はやや疑問です)。
市職員は20-30歳代で固めましょう。住民票のある職員が半分以上、40代以上は数名以内で十分でしょう。中高年職員が多い組織なら、悪いことは言いません
解散しましょう。
2. 郊外住宅都市は都心への好アクセスがキモ
スローガン「家族の夢はあげおで叶う」という50頁の文書をざっと見ですが、既存の政策テンコ盛りで、「散漫としている」が読後感です。ケチばかりでは失礼なので思いつきの指摘もしますけど…
●スローガンはハード(例、住環境等)とソフト(例、暮らし方)の2フレーズ用意し、PR場面で使い分ける方がイイと思います。
●P24の都心郊外へのアクセス関係。鉄道のメリット訴求が酷すぎです。上司の目は節穴か、新宿方面がないよ!
① 鉄道のアクセス性は郊外市では訴求点として最優先すべきです。
② 3都心へ良アクセスという視点。
高崎線の「東京・横浜」と湘南新宿ラインの「新宿・横浜」への直通、三つ目はさいたま市/大宮へのアクセスです。
③ 遠・短豊富な鉄道アクセスという視点。
5つの新幹線を束ねる大宮へ10分の近さ、遠距離アクセスの良さです。長引く不況と地方新幹線のおかげで長野や高崎、前橋などの営業所を撤退し、北関東圏の営業体制を大宮に集約化する企業があります。
上尾はさいたま市(浦和や大宮)のベットタウン都市としても最適。地形的中心にJR上尾駅があるのはメリットですが、西側では東北線/東大宮駅やシャトル線/沼南駅もあり、複数路線は選択の幅が広いです。
●上尾市の強み、差別化ってなに?
シンプルで納得感あるものがイイですが・・・分かれば苦労しませんね。
個人的に、多様なスポーツ施設が比較的狭いエリアに集積しているのが特徴かなと思ってます(さいたま市や熊谷市と比して)。まぁ県営施設が多いけど。 逆立ちしても文教では浦和にかないませんから、今以上にスポーツ施設を強化して突っ張るのもイイかな。健康推進にもつながります。
新図書館建設ではなく、上平に今風の新競技やダンス系を優先した第二体育館構想とかね。
市民の方は何が上尾の強みと思いますか・・・
●無用なぶ厚さと戦略と名付けられた「上尾市シティセールス戦略」
お役所言葉を削ぎ、「文書は薄いほうがエエ」という価値観で作って欲しいものです。いくら競争がテーマとは言え、タイトルの「戦略」には違和感があります。 書いてある推進目標は「子供の作文並み」。納期も目標数値もありませんから、評価できないようにしています。これで「戦略」とは、作っていて恥ずかしくないのでしょうか。
3 最大の違和感は、トップは違う考え
きっかけは、2016年1月の広報あげおの巻頭記事を思い出したことにあります。島村市長と友好市の本宮市長との対談。
二人とも「近隣市町村と住民を取り合うなんて・・・」、「過度の競争は良い結果を生まない・・・」、「競い合うのではなく高め合う」と言って、意気投合です。
ところが、過度どころかほとんど競争をしてこなかったのが行政です。選挙という競争で勝った人が、一たびその座に着くと、団体戦を拒否しているようなものです。
競争して衰退するのではなく、競争しなかったから衰退するというのが現代の見方です。シティセールスの建前と市長の本音、この矛盾こそ市政の本気度が透けて見えるのです。
「住民の奪い合い」は品の無い表現ですが、その裏返しは「選ばれる」です。最後に、童謡を一つ・・・
こー こー こ育て こい
あっちの 市は にーがいぞ
こっちの 市は あーまいぞ
4 蓮田市シティセールスにみる本気度の差は何か
ところで、立地性が同じ隣接(競合)する蓮田市シティセールスを読めば、現状分析は深刻、対策はリアルです。それは、高齢化率が上尾市よりも3%ポイントも高く、16年連続の人口社会増減がマイナス、つまり歯止めのきかない転出超過の危機感・恐怖から来ていると感じます。
「学力状況調査で蓮田市の小中学校は県内でトップクラス」とか犯罪発生率の低さを訴求するように、なりふり構わずの感も見えます。そして、現在の他市区町への転出超過から転入超過へ逆転させることは可能だ、と言うあたりには志の高さも見られます(難しいですがチャレンジ精神が伝わります)。
数年内に大型プロジェクト(蓮田駅西口再開発事業、総合文化会館)が完成するようですから、今後の大小さまざまな政策を連続的に投入する成果が(他市民としては)見ものです。
(上尾市職員も)まずは蓮田市のシティセールスを見ることをお勧めします。ターゲットが同じなら、やるべきことはほとんど同じですから。
モノクロの簡素なドキュメントですが、行政の質は予算や人口の多寡ではないということもわかります。その差が何かは、知っての通り・・・。
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ある高齢世帯の会話。
「どの市も判で押したように、子育て支援ばかりじゃのー。ワシらの面倒はどうするつもりかねー、婆さんや…」
「ほな、お爺さん。どんな世代にも使えるキャッチコピーはどうですか?」
『揺りかごから墓場まで、上尾市。』
「ほー、婆さん、そりゃーホントのコピーだよ。 ワシならこうだ…」
『歳をとったら、姨捨山』
「まー、いやだこと。もっと優しいのにしますよ」
『シングルに優しい、上尾市。』
後家さんになっても安心。お爺さん、お先にお逝き・・・
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