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2017年1月21日 (土)

FCしまむら図書館の自動書庫からみえた真相

前記事 こんな幹部は辞表を書け の続き。
 
日本ファイリングの自動書庫例が二つあります。上尾市より巨大な自治体です。
  • 川口中央図書館(キュポラ6F、h18年、能力30万冊、1冊3~5分で出庫)
  • さいたま市中央図書館(コムナーレ8F、h19年、能力50万冊、3~4分で出庫)
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閉架本の受取時間は、本館地下2Fまで降りる手作業時間(2-3分)よりも長そうです。パートさんの作業の方が早いのです。つまりコストはバカ高くて、時間は待たせる、という民間では誰も思いつかない投資です。
上尾市の自動書庫導入からは迷走計画の真相というか経緯が見えてきます。見立てが間違いだというならば定量的に指摘してほしいものです。
 
 初期構想案、蔵書47万冊= 開架28.2 閉架18.8 開閉比率6対4
単館構想なので二階全床図書館のはずでしたが、事業債利用に飛びついたために1Fのみとなり、床面積は1/2となる複合館案です。
 
大風呂敷を広げた開架面積(28万冊分)はムリです。少しでも開架面積を確保するために閉架分を減らざるをえません。また学習室を二階へ移して「そこは図書館専用とは呼びません」といって面積制限から除外するような脱法もどきです。
 
当初の閉架19万冊は現本館と同レベル。そのまま移転可能ですし、広い面積を前提とした構想案には「自動書庫」の言葉すらありません。
 
腐心したのは蔵書数ではなく(見た目に分かり易い)開架数と開架面積です。
修正後は18万冊(10万冊減)とし、閉架19万冊と合わせて合計37万冊です。現状30万冊と比べてもたった2割増です。ショボすぎて建設大義が成り立ちません。
 
その政策的ミス(メンツとも呼ぶ)を隠すのが、収納力の高い自動書庫です。なんと25万冊に膨れました。閉架書庫のために図書館を作るような話です。
ですから「10分もかかる受付時間が短縮(ウソ)」とか「蔵書効率が高い(数字をださない)」を理由にしています(前記事参照)。
現本館 構想案  複合館 
開架面積m2878 1,300
蔵書数 (万冊)30 47 43
開架冊数12 28.2 18
閉架冊数18 18.8 25
開架比率40% 60% 41.9%
延べ床面積m22,337 5,000 2,130

< 本館開架面積は市発表よりも広く計上(1F子ども室275+2F一般603)。最新蔵書は31.9万なので上平2.5を加えて34.3万冊。蔵書の定義があいまいですが雑誌AV含めると36.3万点。新図書館43万は25%増しに過ぎない >

 
川口市とさいたま市のように、坪賃料が最高の立地では導入大義が成り立つのかもしれません。
しかし上尾市は(表向き)広い面積を求めて郊外(安い土地)へ行きながら、文教政策の一貫性が無いから変更して面積を失い、自動書庫で蔵書数だけは体裁を整えたのです。力説した開架比率60%や28万冊開架を平気で切り捨てました。
このような当初企画とその後の変更迷走ぶりは、上尾市長が「文教」を本気で考えていなかったことの証拠なのです。
ハコモノさ、とハナから分かっている人も多いでしょうが、それでは悪口レベルなので文教の矛盾として数字で説明した分けです。
 
オープン後に自慢装備で他市見学を募っても、専門家なら矛盾に気付いて笑うでしょう。『何で郊外の広いとこで(人が入れない)自動書庫なんだよ』って。地価の安い郊外こそ広いスペースを強みにして開架を増やしてブラウジングしやすい環境にするのが、当たり前だろうって(構想案はそうだったのです…)。
 
ガチャ風に出てきた本を見て、喜んで帰るのはメーカーと小学生くらいです。でも大人になった頃、メンテナンス費用が請求されます。
本も借りてねーのに、なんで請求だよーって言っても後の祭り。
差出人はFCしまむら図書館。
そこまで教えるのが本当の社会科教育です。
 
 
パブリックコメントは構想案から大幅削減された時点でやり直すのが誠意ある人の道です。理由は図書館は市職員や議員が使う施設ではないからです。市民がよく使う施設は市民の意見を尊重するのが当然ですし、責任を負わされるのも市民だからです。
それをしないのは、最近書いた無謬性に通ずるものです。間違っても『間違いを認めない』という特権意識です。
公共施設最適化事業債という難解かつもっともらしい名前が問題の蓋をしていますが、分かったふりをするだけで、よく理解している人は少ないようですね。
 
さいたま市のH27年度は5年ぶりに貸出減少が止まったようです。
でもh19から9年経つのに自動書庫には14万冊収納で空きが70%もあるんです。浦和駅前一等地の民間商業ビル内に「倉庫」を作ること自体が個人的には理解できません。
いっそ貸金庫にして稼ぐべきです。
 
川口市の図書館利用も微減傾向を続けている。蔵書数は増えざるを得ないが、そもそも(需要としての)利用者数と貸出数が漸増している市立図書館など今の時代には稀だろう。あったら教えてほしい。
蔵書は税金で買えるが、人は買えないのだ…
 
自動化書庫は閉架用だから、それを増やすほど人目に付かなくなり貸出本の回転率は下がり死蔵品化するという見方もあるらしい。 検索→「100万冊の蔵書で60万冊が死蔵」。
そんな馬鹿なと思う人は、自分の家の中を思い出せばいいよね。
 

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