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2017年3月 1日 (水)

開架面積という新語で弥縫するハコモノ依存症

数字にすると市民をだませない…in開架面積out開架率
追記。表組み換えと自動書庫
 
開架面積をgoogle検索しても無い(ここ)。
"開架面積"でないとヒットしない(ここ)。・・・すでに本稿が1番な理由は文末へ。
その多くは地方の図書館建設に関するドキュメントだが、文中に「開架面積」の定義は見当たらない(上尾市がトップじゃお里が知れるか…)。
図書館建築設計の面積指標ならば簡単に見つかるはずだが、書棚の床面積でも、書庫面積でもない。
 
イメージするのは、200海里線を描いてその内側面積を求める感じだが、床面積から開架書棚とは無関係な面積を引いて算出するのか、とも想像する。
現本館の図面にも無い面積定義なので、新しい概念だと思うが、曖昧さはぬぐえない。さらにその重要度はどうなのか、役人視点で考えられた指標ではないのかな。
 
迷走の姿  本館単独   構想案   新館案  比率
開架比率 * 40% 60% 41.9% 2%  
延べ床面積m2 2,337 5,000 2,130 -207 -9%
開架面積m2 878 必要ない 1,300 422 48%
蔵書数 (万冊) 30 ** 47 43 13 # 43%
開架冊数 12 28.2 18 6 50%
閉架冊数 18 18.8 25 7 39%
自動化書庫 なし 不要 導入 2億円+α  
 
*開架比率=開架冊数÷全蔵書数
本館開架面積は市説明会資料(h28/4)では800だが、(本館図面より)子供室275+2F一般603=878となり1割も違う。開架と閲覧席の面積という説明では粗すぎる
**蔵書数は34万冊(h28/3)だが、開閉不明のため同資料のまま。
#増分冊数は8年前後で達成予定。
 
上尾市が「開架面積」を言い出したのは、当初の巨大単館を複合館に切り替えてから。建物面積は同じでも1Fのみが図書館、2Fが青少年センター(一般には馴染みのない施設)とその他になった。
構想案は「図書館に行かない市民」にも延べ床面積「5000m2大図書館」を大義名分としてPRできた。だから開架面積という概念など必要ない。
が、計画変転した。
『面積は今より狭いです』では島村市長肝いり案件の面目丸つぶれ。いや、詐欺に近い。
 
『いえいえ、開架本が置いてあるスペースとしては現本館よりも広いですよ』と目先を変えるために探してきたのがこの用語。
入れ替わるようにフェードアウトしたのが「開架率60%」。構想案(p2,8)を見るがいい。建設動機の錦の御旗にしていたのに、複合館になってからは捨てた。当たり前だ、現本館と同レベルの42%だから。
さらに追加されたのが自動書庫。床面積が半減ではどうにも閉架冊数が入らない。これまた困ったら税金使えば済むというお気楽な弥縫策。だが専門家が見ればすぐわかる、「なんで郊外なのに集密度の高い自動書庫なんだよ」。
でも多くの人は「さすがシマムラ」と感嘆する。
 
図書館マネジメントで普遍的な「開架率」と新しくて曖昧な「開架面積」が、上尾市の教育行政ではご都合主義で使われた。広く大きいを求めるために使われた開架率、床面積では狭くても実質は広いですよと開架面積。
これが「知の発信」拠点の原点であり、それを推進したのが…
 
上平新図書館の早期実現を目指す人たちや議員は、こんな指標や数字には関心ないだろうが、「ホンネはハコモノ(または利益の恩売り)」という分かりやすいストーリーとして、カネは払うが図書館利用しない多数派市民には知らせる価値があるだろう。
そして、こんなバカげたことが、行政でまかり通るのは、広く弱い公よりも、狭く強い私の力が働くから、としか説明しようがない。
 
上尾市は、開架面積を恣意性の入る余地のない建築用語で説明し、現本館と新図書館の開架面積を図面で示して説明する義務がある。
でないと、またウソの上塗りになる。
そして現本館の面積や蔵書不足を指摘したところで、本館稼働率の低さを弥縫することはできない。
 
 
おまけ
暫くして、グーグル「開架面積」のトップに来るのが本稿である限り、専門用語としては危うい証拠だと想う。 トップを取るのはhtml構文だけじゃあない、やはり「質」なんだ。 (^-^?)
 
 
関連
こんな幹部は辞表をかけ…自動書庫の意味について
 

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コメント

床面積が狭くなるなら、開架面積だ。あれがだめなら次はこれと、
新たなネタを考える職員には感心します。自動書庫も作って売りにしようとは。
収蔵能力13万冊増だって、知らない人はすぐに増えると
思っているかもしれないが、7年から10年近くかかります。

良い指摘に深謝。
表下の文中に入れました。
年間の図書購入予算は変わらないからね。
感心は皮肉でしょう。
民間でこのようなへ理屈が通るとしたら、中小のオーナー企業くらいですよ。

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