上尾市の地方税収の長期推移と天井現象
上尾市の経済活動のピークは10年前、今は凪のよう?
自治体の財政問題はやれ公共事業が多いだとか福祉費用が増えているとか、つまり費用面に目がゆきますが、個人の視点ならば生活費よりも「収入額」の方が気になるでしょう。
ところが市民の間では「まぁ上尾市も税収落ちてるんでしょう」くらいの認識です。
行政に至っては、数字の多い少ないを批評することは避けますから、市民にリアルに伝わるわけがありませんね。
決算カードから簡単にコピペできたので、市税収の2001年(h13)~から2017年(h27)への17年間の推移をグラフ化してみました。
公会計は専門ではないのですが素人よりはまし、という程度です。やや割引いて読んでください。なおh28とh29は予算値です。
●上尾市の地方税収の構成比率
単位は分かりやすく億円とした。地方税(300億円)の内訳を個人市民税(均等割り含む)、法人市民税(均等割り含む)、固定資産税、たばこ税、都市計画税、軽自動車税としました。
稼ぎ(所得)に比例する市民税が約50%(個人市民税は43%)、法人は6%とかなり少ないです。固定資産税は38%。
個人市民税が固定資産税よりも多いのは健全とみます。
固定資産税の構成が多い自治体は人口減少や住民税を収める市民が少ないような経済圏(生産年齢人口の急減)、または大手企業の施設が多い所だろうと思います。これは埼玉県全市の二つの比率を別途見ての感想です。
●17年間の長期推移
まず個人市民税が税収の四割で一位です。法人市民税7%と合わせて、この二つが稼ぎ(フロー)に応じた税金です。オレンジの固定資産税は資産(ストック)に課すから安定しています。土地や建物はそう簡単に消えませんからね。
グラフ内の値はこの期間での、その税収の過去最大値です。
問題は、フローは景気の影響を受けやすいということ。個人住民税は9年前がピーク、法人住民税は11年前がピーク。住民税は前年所得に課すから翌年にずれます。ようするにリーマンショックの直前2007年(h19)が税収のピークでした。
以来、上尾市民には最高値を更新する力は無いと見えます(他市も似たようなもの…)。
以下はピーク年度と2017年の比較です。
法人住民税の落ち込みが激しく、61%減です。空きビルが目立つのでうなずけます。これでイオンモール上尾が実現したらどんな影響になるでしょうか…。
個人住民税は11%減。法人住民税に至っては60%減(税制変更の影響もあり)。
固定資産税のピークは15年前(このグラフでは)で11%減。
都市計画税のピークは16年前(〃)で14%減。
たばこ税のピークはh25年度と近く6%減。値上げの年でしょうか。
要するにずーっと昔の記録を抜けないわけ。
唯一、軽自動車税は近年税を上げたから更新していますが金額は3億円と小さいです。
●傾向が分かる折れ線グラフ

で、肝心の個人市民税、これは「生産年齢人口数」(15-64才)の影響を受けます。上尾市のピークは2000年代初めです(日本国は1995年)。給料の高い年齢は50代前半と思われるので、市民の最多年齢人口は40代・団塊ジュニア世代ですから、まだいけそうな気もしますが…、たぶんそれを打ち消すのが生産年齢人口の減少かもしれません。納税者人数に関するデータが開示されていないので分かりませんが…。
所で、税収は頭打ちであり下落リスクのが大きいのですが、市の予算規模は620億円まで上昇傾向にあります。借入金(地方債)は減らす傾向にあり、一般会計では600億円位です。税収頭打ち地方債は減らしているのになぜ予算は微増できるのでしょうか? (^-^?)
市のスライドより…目盛りカットなので極端化に注意
A 高齢者の家計と同じです・・・
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