友だち幻想でよみがえる記憶
友だち幻想 菅野仁 筑摩フリー新書
人と人のつながりを考える
読み始めて直ぐに、娘がいじめに悩んでいた頃を懐かしく思い出す。
加害者と被害者の役どころを繰り返す不思議な子供世界の様子を理解できず困っていたとき「折れない心の作り方」という本が目にとまった。当時、次々ベストセラーを出す斎藤孝教授の本と言うこともありすぐ買い求めた。
イジメはダメと学校では指導しても、社会へ出れば何がしかのイジメの類はある。イジメの無い人間社会はあり得ないのだから、書名に共感を得たのも理由だ。疲弊した本人にも読んでほしい気持ちもあった。
内容はほとんど忘れたが、処方箋としての安易な期待は満たされなかった。ある時、彼女の部屋にその本があったから、いつしか読んだのだろうと思う。
「友だち幻想」は同じ2008年出版だった。
「こちらを読むべきだった」。
読み始めて直ぐの感想である。
一例だが前書は「人と深く関わること」を説き、「友だち幻想」は「距離をとれ」と説く。この差こそが大きな違いであり、本書は21刷のロングセラーになっている。
有名人というだけで本を選んではいけない、という教訓だ。
そもそもはこの本をなぜ自分が予約したのか思い出せない。ネットサーフィンの中で見つけて予約したと思うが、待ち行列が長いために忘れた。
読み終えて、良い本に出会えたというのが感想である。若者向けを超えた普遍性のある内容だ。
つづく
« 逆転サヨナラを呼び起こした珍しいエラーの後の物足りなさ | トップページ | 友だち幻想の普遍性で今の時代を考える »
「本・読書感想等」カテゴリの記事
- スタンフォード監獄実験の茶番を受け売りした右京サン(2024.02.11)
- 日本がウクライナになる日(2022.06.14)
- ぼくはイエローで描かれた多様性社会への躊躇(2021.09.04)
- メイドの手帖…掃除婦は書いた(2021.02.12)
- トランプはソシオパスである(2020.11.04)
« 逆転サヨナラを呼び起こした珍しいエラーの後の物足りなさ | トップページ | 友だち幻想の普遍性で今の時代を考える »
コメント