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2017年10月12日 (木)

日経の総括:アベノミクス5年、「安倍1強」生かせずに想うこと

アベイズムという思想対策に偏る政治家

1. 経済や社会保障より安保に偏り・・・本稿

2. 世間のホンネは憲法や安全保障でもない(NHK世論調査)

3.野口悠紀雄先生のアベノミクス選挙への嘆き

4.テレビに映されるリーダーと今年のノーベル賞

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記事の引用をしているために長いです。

1.経済や社会保障より安保に偏り

6/10に日本経済新聞はアベノミクス5年の評価記事 を出しました。サブタイトルは「社会保障・財政は落第」です。大企業寄りの日経にしては厳しい評価です。Web版には更に「経済の力低下」が加えられていたのには驚きました。

記事より

・・・経済の体温を示す潜在成長率は上向かない。規制改革などを武器とした成長力のエンジンは不完全燃焼のままといえ、政権が掲げる経済最優先の看板はかすんで見える。・・・

あれから4年。日銀の推計は、日本経済の姿を冷徹に映している。足元の潜在成長率は0.69%。経済の実力は上がるどころか、14年度下期(0.84%)からむしろ下がっているのだ。

この間、3本の矢のうち、政府・日銀が注力したのが金融と財政だった。日銀の総資産は500兆円を超え、長期金利は0%付近に張り付いたままだ。財政は5年間で7度の補正予算を編成。投じた国のお金は約25兆円に上った。

 金融緩和、財政出動、成長戦略の三つをアベノミクスと言い、成果として株価2万円や有効求人倍率(1.5)の数字があげられます。

 しかし前者は公的資金(日銀/GPIF)による買い上げ効果(企業業績とは関係ない需給)が二~三千円と言われます。後者はたんなる人口問題(団塊の大量退職と少ない若年者流入)によるものと、離職率が高い3K系職場(接客、宿泊、介護)が倍率を高くしていると言われます。いつも人気のある事務職系は数十倍と聞きます。他よりもマシと思う仕事は当人も辞めません。

注目は10人のエコノミストによる五段階評価です。

Photo

訪日観光客の二千四百万人超えは文句なしです。内需に寄与して外国人との交流が深まるのは良いことです。ただし円安効果もあるため、その分は必ずしも良いとは言えません。

法人実効税率7%超下げたことを評価するのは経済界の立場ですが、その結果が安倍政権下で内部留保が4割も増えて390兆円、企業はカネをため込んだといい、「内部留保解消の有効策はみえない。と評しています。

大幅賃上げや国内設備投資にはつながらず恩恵は限られるということです。そんなことが知れ渡っているためか、最近はトリクルダウン(富者から貧者へおこぼれ)を耳にしません。そこを突いたのが希望の党の「内部留保課税」公約ですが、大衆受け狙いなのか企業をけん制する「賃上げ圧力」なのかは分かりません。

記事より

改革の「サボタージュ」も見逃せない。政府は働く時間でなく成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」を創設する労働基準法改正案を15年の通常国会に提出。16年春にも制度導入としていたが、2年たった17年の通常国会でも、成立を見送られる。

 与党は衆院で3分の2の議席を確保。参院でも自民党が27年ぶりの単独過半数を占める。「安倍1強」の中で与党が同法案に高い優先度を付ければ、法案は確実に成立するはずだ。先送りは政府・与党に「やる気」がないことの表れだ。

 ほぼ落第点に近い評価が社会保障改革(2.2点)と財政健全化(2.1点)だ。選挙を前に増税を先送りしたり、社会保障の充実を約束したりする「選挙優先」で取り組みが遅れている。

中略

 年金、医療などの社会保障給付費は16年度で118.3兆円。個人や企業の納める税や保険料で賄っているが、給付を抑える手立てはいまひとつみえてこない。現役世代の負担を増やさないためにも、高齢者の負担を増やしたり、医療費を受け取る日本医師会の岩盤に鋭く切り込んだりする姿勢が必要だ。

中略

 一方、政府が通常国会に提出した法案の数を数えると、小泉政権の平均106本に比べ、安倍政権は70本と約7割にとどまる。法案の内容も郵政民営化など経済分野が多かった小泉政権に比べ、安倍政権は特定秘密法など安全保障分野に偏っているのも特徴だ。

高い支持率と議席数があるのだから、もっと政策をやれるはずなのに、おなじ「保障」でも安全保障に偏っていると日経がクールに断じます。

 「アベノミクス」とは金融政策(ゼロ金利/円安誘導)に偏り、経済対策をしっかりやっているという風に思いこませる便利語になっています。成熟した日本が、発展途上国みたいに通貨安に依存すること自体が相変わらずの無策です。株価が上がっても、個人投資家の保有比率はずーと減り続けているのです。恩恵は限られます。

 また日本が円安を望んでもアメリカの通貨政策(ドル高)で容認されないと成り立たないのですから、ゼロ金利政策がもたらす将来の副作用までも加味して評価すべきです。美味しい所だけ自分、後の混乱は次の人では無責任です。例えば、実需なき賃貸アパート建設融資と地銀の問題があります。

 7月のIMF報告では、「日本経済の実質成長率が17年は1.3%に加速すると予測。海外経済の改善などが主因で「賃金の伸びは弱く、インフレ率は引き続き目標を下回っている」とあります。

好景気は世界景気の好調によるものであり、外需で潤う輸出産業には大企業/製造業が多いために、広くは実感できないわけです。製造業で働く人は25%くらいで大企業勤務はもっと少ないです。

サービス業人口は67%もおりますが、人の集まる所で成立する産業ですから、製造業は海外移転し人口減少でサービス業も成り立ちにくい地方は介護ビジネスで持っているイメージです。最大流通業イオンが黒田氏に反して値下げ戦略を緩めないのが、ミクロの国民生活の実態なのです。

以上が第一項目です。

安倍政治とは社会保障よりも自らの思想信条を押し付けるための政治です。だからアベノミクスではなくアベイズムです。 (前から安倍イズムという呼び方はあったようですね)

私が遠くから応援している若手の論客政治家、山内康一さんも本日このテーマで書いています(下)。もっと長いです…。安倍政治は「国家資本主義」的な面もあると書いています。 国家資本主義の典型は中国ですから皮肉ですが、要は似ているのです。 

蟷螂の斧 ポストアベノミクスを考える

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