野口悠紀雄先生のアベノミクス選挙への嘆き
前記事(安保より社保)のつづき。
例えばハコモノや道路などの公共事業は無駄だ、と多くの人から批判されますが、国民の半分が建設業で飯を食っているなら、一概にムダとは言えません。彼らがその政治家に投票し、その政策が続くことは止められません。
でも、今は無駄だと断言され、止まる時代です。
久しぶりに超整理法・エコノミストで有名な野口悠紀雄氏の記事を読みました。働く人を貧しくしたアベノミクスが総選挙で争われない理由(ダイヤモンドオンライン)
以下は見出しですが、分りやすくメリハリある内容なのでお勧めします。
- 働く人の立場からの評価基準は消費支出が増えているか?
- 主婦がパートで働きに出るが消費は伸びず
- 「金融資産ゼロ世帯」と富裕層世帯が増えている
- 豊かな人はますます豊かになり二極化が進んだ
- 企業利益は大幅に増えた
- 産業構造を変えられないなら法人税引き上げが必要
キモは最後にあります。以下引用・・・
単純な数で言えば、株式の保有者や大企業の経営者に比べて、一般労働者のほうがはるかに多い。そして、上で見たように、アベノミクスは前者の人々に恩恵を与え、後者の人々の生活を貧しくした。
本来は多数決によってアベノミクスは否定されるはずなのに、そうならないのは国民が自分の生活と政策の関係を理解していないのではなく、政治制度にバイアスがあるからだろうといいます。働く人の立場の政治勢力が選択肢として無いからだと言います。
なんとなく昔の総評や社会党のような労働者一般を代表する政治勢力が無くなったからだろう、のように読めました。確かに、今の労働組合は昔より弱いだけでなく特権的です。でも「バイアス(偏り?)があるから」というのは違和感があります。
一つは選挙制度のテクニカルな面から。
小選挙区制は、三者で争うと得票率34%程度の政党でも過半数以上をとれます。前回の衆議院選挙がそうであり、今回も予想されています。
もう一つは、野口先生は遠慮したのかもしれませんが「自分の生活と政策の関係を理解していないのではない」と言い切れるだろうか、ということです。
それを示す理論を最近改めて目にしました。
つづく
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