前川喜平氏と寺脇研氏の対談、さいたまカフェ主催
折れない心の育て方
この講演会を見つけ、聴けたのはネットの効果だと思う。
ゆとり教育の提唱者とも揶揄された寺脇氏は、子供の能力を低下させた張本人みたいな言われ方をされるが、テレビに出ることも多く、その話はなかなか面白く官僚とは思えない。マルチな文化人だ。
彼以上に元高級官僚として有名なのが前川氏。
『公平・公正であるべき行政のあり方が歪められた』
『極めて薄弱な根拠のもとで規制緩和が行われた』
あまりにも有名であり、地方自治体にも言える普遍性のある言葉としてスキだ。
教育問題を自分の言葉で語れる人達だが、先輩の寺脇氏が僕はツッコミ役、前川さんはボケの漫談コンビと紹介をして笑いを誘ったように仲が良いらしい。
子供の不登校やいじめの問題を扱うのかと思ったが、それに限定せず幅広い内容だった。前川氏は初めに生い立ちを語った。東京に転居した小学生の頃一時期不登校だったという。フロムの自由からの逃走を愛読したり、高校時代は学校が無秩序状態だったから「自分で考え、自分で見出したものしか信じられない」と10代で悟ったと言う。
意味もなく丸暗記させられることは大嫌いと言う寺脇氏は「自ら学び、自ら考える」を目的に「主体的・対話的・深い学び」の教育の転換を熱く語っていた。実はそれこそがゆとり教育だとも言う。
最近、森友問題で佐川長官が注目され、"高級官僚とはどんな人達"みたいな話がテレビで面白おかしく伝えられていたが、”自分の無い人、自分の言葉で語れない人”が官僚の中に結構いると前川氏は嘆いていた。だから使い捨てになるとも。
道徳教育がスタートするらしい。折れない心のためには、心を鍛える=道徳として行われるようだが、「柳に雪折れなし」の喩えとして、硬さではなく柔軟性が必要であり、それには自分の中に如何に豊かなものを持っているかが大切だと言う。
前川氏は子供の夜間学校支援をしている。川口市に公立の夜間中学校が開校予定らしい。公立としては何十年ぶりかの事と言うと会場から拍手がおきた。潜在的に必要な人は日本人だけでなく外国人も含まれ、100万人以上いるから政令市に一つは必要だと言う。
退官後は遠慮なく政治に物申して注目されるためか講演が多いようだ。でも本日は参加500円、500人弱で満席だから総額でも25万円にしかならない。集客力あるタレント性と比べたら破格の講演料で請けているから、”おカネじゃないよ”という両氏の志が伝わる。ネットで見たら前川製作所の親族とあった。ユニークな経営のため80年代に工場見学をし社長さんと会った記憶もあるが、お顔は似てないと思う。
会場の8割は女性かな。子育て世代と高齢世代が多かったが、賑やかだった。市外からも来ていると思うが、わが街の雰囲気とは明らかに違った…浦和市らしさがあった。スマホを持っている人が”FBに上げるわ”とか、そんな会話が当たり前のように耳に入ってきた。
記念として「これからの日本、これからの教育」(前川喜平、寺脇研/ちくま新書)を買って二人の署名をもらって帰った。その前に読まなくてはならない本があるし、教育も我が家は必要ないので、いつ読むか分からないな・・・。
そもそも本日は、ネットで知り合ってメールでしか知らなかった方とようやく対面でき、お茶を飲んで帰ったことも大きかった。
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