「万引き家族」受賞と図書館の万引きに想う、不明なこと
前置き 映画の題名を知った時、これが国際最優秀作品になるのはかっこ悪い気がしたが、イタリアの『自転車泥棒』を思い出し、あれは秀作だったからリアルな名前こそ良いのだと納得した。きっと人と社会を見据えた作品なのだろう。そして偶然だが、データが有ったので佳境に入った上尾市図書館問題にも絡めて書いてみる。
折れ線グラフは五年間の上尾市図書館の本の購入数と除籍数の推移だ。緑の棒は不明本の数だ。
平均値で言うと年間2万冊買って、2万冊廃棄している。これは蔵書数の3%強に相当する。この二本の推移は図書館の新陳代謝を意味すると思うから購入数が細っているのが気がかりとなる。ちなみに上平新図書館の計画では手に取れる開架が18万冊へ5割増しだがそれは地下の古本が表に出るだけのことだ(ネット検索で探す人には大差ない)。
それにしても”不明本”とは何とも曖昧な表現だ。本に足があるわけでもなく、実態は万引が過半だと思うが行政はネガティブ表現を避ける。「無断持ち出し」という丁寧な表現もあるから笑ってしまう。そもそも資産の不明は管理者の責任である。
上尾市は年1000冊であり、増加傾向が気になる。単価1500円(前は1800円と聞いたが)で見積もると150万円の被害額となる(第一印象では少ないと感じた)。
問題はこれが他市と比べて多いのか否かだ。有名なのは横浜市の年間二万冊というトンデモ数字。「図書館での本の万引き、年間2万冊は凄いな」として2014年に書いており、それを読むと蔵書数比率で横浜市は0.5%となりそれは普通らしい。上尾市は59万蔵書数比で0.23%だから半分となる。実は前記事に書いたが、盗まれるのは開架本だから「不明本数÷開架数」が正しいと思う。仮に現本館12万冊比では0.8%となり125冊に一冊となる。
上平新図書館では防犯タグをつけて出入り口ゲートでチェックする仕掛けにする計画だ。そのためにトイレはゾーン外に配置される。
上尾駅前館は既に導入済みだが開架本に全数適用は初期コストが大きいが総費用は分からない。防犯タグ化のメリットには棚卸作業が楽になり書庫整理の休館期間を短くできる点もある。
つまり防犯の投資額と開館日数の増加数が"不明"なまま、設備投資の意思決定をしたように島村市政の計画はブービー賞である、という事を畠山市長が理解できているかも不明だ。
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