武雄市ツタヤ図書館の5年間-3 他市を笑えない
図書館の満足度はフツー、高いのが当たり前だよね。
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武雄市におけるCCCの指定管理の契約が更新されたのは、満足度アンケートで安定的に高かったのが理由らしい(80~85%とか)。2016と2017年のアンケート集計がネットで見られる。少し疑問なのは有効回答数が554件ということ。募集期間が短いとも思えないし、来館が70万人もいるのに少なすぎると思う。
図は2017年度から引用
グラフを見ると、高満足の理由は年中無休、夜九時まで等々、商業施設的なサービス視点で高評価し、不満点はその裏返しのように見える。
しかしそもそも図書館の満足度は高いのが当たり前だと思う。利用が(直接的に)タダなので不満を先に述べる人は少ない。当市にもいるが「借りたい本が無い」という人は広域利用を知らない(ネットスキルの無い)少数意見だろう。
空調が効いて清潔に保たれ、新聞・雑誌までタダで読める施設は図書館をおいて他にない。そして高齢人口の増加、長いデフレ、単身者(世帯)の増加などを背景に時代の需給が噛み合う施設だと思う。そこで飲食までできたら・・・
人口5万人の武雄市より4倍の我が市でも、本館は築37年超で二千㎡の単館で自販機も喫茶もなく、イスも粗末だ。学習室も会議室にあるような長机とイスで他の目的と兼用型である(が利用度は高い)。地方と違ってレールサイドで発展した首都圏郊外市なので駅歩5分の市中心部にあり45万人の来館だ。中小の分館が8つあり満足度は92%と高く、回答数は2300人だった。
なのに38億円で新図書館を市長の地元(郊外)に建てると決めたもんで街中が騒動化した。最近その計画は中止となった(火種は残る…笑)。
●目標の無い仕事では成長できない
武雄市図書館は来館者数を公式目標にしているわけではないと思うのに、来館者数が注目されて評価されるのはヘンだ。多分どの自治体の図書館行政も人数や貸出数を目標にしていない。正しくは「したくない」と思う。
今の図書館利用は滞在型・リピート客利用の多さに依存しているから、貸出以外の新指標として「椅子や席の数」が良いと思う。文教だけではなく、社会的居場所の提供である。だから今の新図書館はイスを増やす傾向にある。
その成果を測るため、職員は日に数回、施設内を巡回して座っている人、学習している人を数えるとよい。10分でできる仕事だ。このように施設の活動量を定量的に捉える努力くらいはすべきだと思う。ということで最後に言いたいのは
① 実利用者数の把握
一年に一冊以上借りた人の数のこと。ほとんどの自治体は利用者カード登録人数の多さを上げるが、それは名目数であり死蔵退蔵カード市民が多い(つまり粉飾決算みたいなもの)。本当に借りた人数を明らかにして人口比率を出すべきだ。埼玉県ではさいたま市はそれを公開している。
ぜひ実利用者数を把握すべきだ。たぶん市人口の15%前後が普通かも知れない。少ないと思われるが、それでも二番の公共施設(たぶん体育館)の利用者数をグンと引き離しているだろう。貸出総数よりも、この値を1ポイントでも増やした方が「みんなの図書館」に近づくと思う
② セグメントごとのURB分析もお勧め
一年間に何人(Uユーザー)が、何回来て(Rリピート)、一回当り何冊(Bブック)借りるか、という分析だ。これを年代セグメントでやることで利用実態が分かる。この考えは商売における、客数や平均客単価、買い上げ点数、来店頻度と同じことである。
オシマイ。
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