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関連 畠山市長の見直し案の議会答弁
議事録ソース(こちら)からテキスト抽出して再掲。レイアウトと文字修飾を施してある。急ぐ方は市長発言(赤)のみの拾い読みをどうぞ。会議内の資料は省略。末尾に寸評。
1 日時 平成30年6月4日(月)16時30分~ 17時30分
2 場所 庁議室
3
出席者 畠山市長、松澤副市長、池野教育長、中島市長政策室長、粟野行政経営部長、須田総務部長、小林教育総務部長 (事務局) 秋山秘書政策課長、藤波秘書政策課主査
4 議題 新図書館複合施設整備事業の今後の方向性について
5 議事録
市長政策室長:
新図書館複合施設建設に関する政策会議を開会します。限られた時間ですので、スムースな会議運営にご協力をお願い申し上げます。初めに、市長からご挨拶をお願いいたします。
市長:
おはようございます。私が市長に就任し、早くも5か月が経過しました。
新図書館複合施設建設につきましては、「見直しを含めた検討をする」と選挙公役で掲げさせていただきましたことから、これまで、建設に関して過去の経緯や課題などについて教育総務部のヒアリングを行うとともに、建設賛成・反対の市民団体の方々からもご意見を、お聞きしてきたところでございます。また、県外・県内の図書館、本市の本館・分館を視察し様々な視点から検討をしてきたところでございます。さらに4月1日からは松澤副市長が就任し、私同様、ヒアリングや市民団体との面会を行うとともに、様々な図書館を視察していただきました。
私としては、市民にとって、またこれからの上尾市にとって、誤りのない判断をしたいと考えておりますことから、この政策会議において忌憚のない意見をいただき、一定の方向性を出したいと思っています。本日はよろしくお願いいたします。
市長政策室長:
ありがとうございました。それでは、この政策会議の開催依頼をしました小林教育総務部長から、「政策会議提出事項様式1」に基づき、その趣旨を説明願います。
教育総務部長:
それでは説明いたします。【趣旨説明 政策会議提出事項(様式1)】
新図書館複合施設整備事業につきましては、平成29年9月議会において、工事請負契約の議決を経て、契約を締結し、着工したところですが、同年10月30日、前市長・前議長の逮捕を受け、11月6日に工事中止の通知を請負業者に送付し、一時中止としたところでございます。
そして、12月の市長選挙において畠山市長が新市長に就任し、新たな体制のもと判断をすることとなりましたが、平成30年2月の定例記者会見におきまして、市長は5月か6月頃には一定の方向性を示したいとの意向を発表したところでございます。また、先日の記者会見では、「検討中」と説明がありました。そこで、上尾市として最終的な意思決定をするこの政策会議において、検討し、上尾市としての方向性を示すため市長に開催のご依頼をさせていただいたところでございます。以上です。
市長政策室長:
それでは、初めにこれまでの経緯と課題について教育総務部から説明をお願いします。事前に皆さんに資料は配布してありますので、説明は簡潔にお願いします。
教育総務部長:
資料につきましては、過日市長より、指示がございまして、この政策会議で検討するため作成したものでございます。それではこれまでの経緯について説明をいたします。
【資料説明 新図書館複合施設のこれまでの経過】
市長政策室長:
説明は終わりました。質疑・意見等ございましたら挙手をお願いします。はい副市長。
副市長:
私がこれまで教育総務部からヒアリングを受け、議会の会議録など様々な資料を読み込んできた中から感じてきたこととして、新図書館建設には3つのターニングポイントがあつたと考えております。
一つ目は、平成26年1月22日の政策会議において、4つの図書館建設候補地の中から上平公園西側に場所が決定したとき。
二つ目は、平成27年4月に単館構想だったものが、公共施設最適化事業債を活用するため複合化へ方針転換したとき。
三つ目は、平成29年11月に前市長・前議長の逮捕を受け、建設を一時中止したとき。
これら3つのターニングポイントを意識しつつ、この事業の課題は何なのか明確にする必要があると考えております。
そして当然ですが、建設するとした場合のランニングコストを明確に示す必要も意識するべきだと感じております。以上です。
市長政策室長:
副市長から3つのターニングポイントが示されました。本日出席されている方々には、様々な角度から資料に基づき検証していただいていることと思います。
そこで、3つのターニングポイントを念頭に置きつつ、テーマをまずは「建設再開」「建設中止」「計画の見直し」の3つの方向性が、選択肢として考えられるかと思いますが、意見を伺いたいと思います。それでは、はじめに「建設再開」とした場合に想定されることについて意見を伺います。
総務部長:
現在の新図書館複合施設の工事を再開した場合、総事業費につきまして、現状の金額のままで行けるのかどうか教えてください。
行政経営部長:
設計に関係することなので、私からお答えいたします。再開後に改めて工事の一時中止期間に生じた経費及び物価や人件費の上昇分に対し、増額の変更契約が必要となりますので、現状の金額では工事再開は難しいと考えております。それに伴い、なるべく早い時期に、増額の変更契約と継続費の補正を議会に提出し、議決を得る必要がございます。
総務部長:
具体的にいくら位上がるのか分かりますか。
行政経営部長: 1億円程度かと見込んでおります。
総務部長:
するとすでに議会承認を得ている契約、現在契約済み額合計約23億6千万円の契約額に対し、さらに1億円が上乗せになるということを議会だけでなく、市民にも良く理解を得る必要がありますね。それと再開を決定したとして、いつ頃から工事は再開できるのでしょうか。
行政経営部長:
建設再開の決定後に、工事業者は人員確保等の調整や資機材の調達に入りますので、工事の再開は、再開決定からは最短でも6か月後と考えております。当初の予定が、31年秋ごろ運用開始としておりましたので、12か月、1年程度は工期がずれ込むことになります。
総務部長:
9月議会に提案するとして、8月中には業者と協議し仮契約を締結しなければならない訳ですよね。それまで業者の方々は待てますか。場合によっては業者側から契約解除を求めることもありうるのではないでしょうか。
行政経営部長:
業者の方々に対しましては、3月定例会終了後に説明会を開催し、5月から6月に一定の方向性が示されることの報告を行いました。工事再開の具体的な時期が示され、増額変更も対応されることになれば業者側からの解除はないものと考えております。
総務部長:
すると今のままの金額で工事を進めてくれという内容の場合は、対応できないということで、契約解除もありうるのでしょうか。
行政経営部長: はい、その可能性はあると思います:
総務部長:
工事再開を進めるためには、工事費の増額と工期の大幅な遅れが前提ということになる訳ですね。私からは以上です。
副市長:
建設再開する場合、これまでランニングコストが公式に示されていませんが、新複合施設全体としてはどの程度を見込んでいますか。
教育総務部長:
試算した資料がございますので、配布し説明をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【資料配布 現本館と新複合施設のランニングコスト比較表】
あくまでもランニングコストのみの比較となっており、試算ですので、大まかな数字となってしまいますが、現本館では、人件費、施設管理費、関連機器の保守管理・リース料、図書資料購入費等もろもろで、平成28年度決算ベースのランニングコストが年間約2.3憶円となっております。
3月議会の時点では、施設の維持管理費、人件費、図書館運営システム使用料、図書館カウンター業務委託料等で約3.2億と合わせて、これ以外に主催事業等の経費やそれに伴う人件費等は別途経費として計上されるものがあるとの報告をしておりました。
これに対し、現段階での新複合施設のランニングコストは年間約3.9億円を見込んでいます。これは現本館と比較して年約1.6億円の増額となります。増額の主な要因ですが、①建物の容積が増大すること②青少年センターとの複合化により、開所日数、開所時間が現状に比較し増えることなどにより、施設に対する管理料、光熱水費、新たなシステムに対する保守・リース料等が上がると分析しております。
また、この約3.9億円という数字の中には、現本館に分館機能を残した場合の数字は含まれておりません。現本館の延床面積が2,337㎡ですので、現本館に残せる面積が240㎡と認識しておりますので、約10分の1で、単純に面積案分いたしますと、約2,300万円上乗せとなります。
新施設の耐用年数は55年となりますので、55年間のランニングコストは約210億円となり、建物のライフサイクルコストは、総事業費約39億を加算しますと、約250億円と計算上、算出されることとなります。なお、この計算には修繕料や、委託料等の値上がり分は含まれておりません。
副市長:
よくわかりました。今回ようやく、ランニングコストがある程度見えてきました。これは次の市議会6月定例会の一般質問でも聞かれるでしょうし、しっかりと試算をして答弁できるよう準備をしておいてくださぃ。それと同時に我々も、この金額をどう考えるか。毎年3.9億円もの市民負担を良しとするのか、しっかりと検証する必要があると思います。
市長政策室長: 市長いかがですか。
市長:
私は、工事請負金額の増額、またランニングコストの増額といった事実については、市民感情として受け入れがたいものがあるのではないかと思います。また、議会も同意が得られるか、疑間が残ると思います。
また、新図書館建設にあたり、来館者数を90万人と見込んできたことへの疑問点も、多くの方々から指摘されていますし、議会でも取り上げられてきました。この点も含め、皆さんの率直な意見を伺わせてください。
行政経営部長:
確認ですが、現在の図書館本館の貸出状況、利用状況はどうなっていますか。
教育総務部長:
平成29年度の本館の貸出状況ですが、年間約20万人、利用状況は、来館者数となりますが、年間約40万人という状況です。
行政経営部長:
新図書館建設当初、つまり単館構想の時点では、駅近隣の立地状況にある川口、浦和で従前に比べ、3倍程度の利用者があったということで、当市の場合、駅からの距離を考え、2倍の年間約90万人という見込みを立てていたと理解しています。これについては、希望的な試算ではなかったかと感じています。
たとえば、その後の答弁にもありましたが、上平公園や、アッピーランドなどの利用者を算出根拠としたことは、かなり厳しい予測であったのだろうなあと感じています。
副市長:
90万人の来館者見込みを今後も維持するならば、これは、畠山市長の決断となります。再開するのであれば、少なくとも来館者数見込みは見直しをかける必要性があります。
市長:
そうですね。90万人は厳しいでしょう。また工事中止期間が延びたため、契約金額が上がります。新しい図書館だからランニングコストも上がります。というのも、厳しいですね。
市長政策室長:
ここで、建設再開について、ここまで現れた課題を整理したいと思います。建設再開に向けては、4つの課題が出ました。まず第1点は、工事費の増額。第2点は、工期の大幅な遅れ。ここまでは、市が工事を中断したことにより生じた課題だと思います。
次に、これまであまり検証されて来なかったことによる課題です。第3点は、ランニングコストの問題。第4点は、来館者数見込みの問題。建設の再開を判断するためには、これらの課題をクリアにし、議会と市民への理解を得るため相当の覚悟が必要となると思われます。
市長: このまま「建設再開」という選択肢はかなり厳しいという認識を持ちます。
市長政策室長: それでは「建設再開は、なし」という考えについては、いかがですか。
(特に意見なし)
では、そろそろ時間になりますので、本日の段階では、「建設再開」はないものと仮置きします。残る二つの選択肢、「中止」、「見直し」についてですが、委員ごとに、意見を整理いただき、本日仮置きした判断も含め、後日、改めて、協議することとしたいのですが、いかがですか。
(特に意見なし)
それでは、委員ごとに、考えを整理いただき、日程を調整し後日、会議を再開したいと思います。
以上
6 結論
○新図書館複合施設については、「建設再開」の選択肢はないものと仮置きし、後日政策会議を再開する。
○次の政策会議では、「中止」、「見直し」について検討を進め、結論を得る予定とする。
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