上尾市はやっと職員人件費上昇に歯止めをかける、が
前記事で久しぶりにラスパイレス指数を扱った。二年前に初めて取り上げたが、関連の市文書を見ていたら大きな変化があったのでまとめ的に書いておく。(下記の目次タイトルは暫定)
1.本稿…人件費比率が12年間で28%→18%へは凄いか
6.参考 2018/4/1のラスパイレス指数は103.4、埼玉県一位。こちら 全国では3位
7.2019年は101.8へ急低下。2020年は101.06へ微減(市サイト)
10.
1. 人件費比率が12年間で激減は凄いか
「上尾市の給与・定員管理」にデータがある。リンクした各文書には年度表記が無いこと(上書きの悪習ではと思う)、及びデータは前年度の例もあるので注意。
直近H29年の先頭に人件費総額がある。決算値を使うため前28年分となるが110億円である。小さい町村では役場が最大産業になるが、上尾でも一大雇用産業と言う面がある。ちなみにベルーナは115億円(2018/3期の連結、1724人、平均36歳で503万円とあった)。
さて歳出額(≒予算)に占める人件費比率は18.3%である。だいぶ古いがH16年の人件費比率は28.3%なので、この12年間で10ポイントも減らした(約30億円だ)。なぜ、この成果を堂々と発表しないのだろう…
人件費とは給与×人数であるから、ここでは人数を見てみる。
図はH26年の広報から(あえて古いのを選んだのは分かり易い絵だから。例年10月に人事行政データを載せている)。H16年の上尾市職員数は1611人、H28年は1409人で13%の人数削減だが、市役所が希望退職やリストラをしたとは聞いていない。「退職等の自然減>採用人数」によるものだろう。なお最近は1420人前後で横這いだ。
ところで、行政サービスの需要量は増える一方なのに、職員人数(供給力)が減っては対応できないはずだ。民間なら少ない人数でチャレンジするが市役所はそんなスキルも無ければリスクも冒さない。だから正職員を減らした分を安価なパート労働力で補っているだろう。
それも直雇用ではなく委託管理つまり派遣だから何人働いているかは管理外になる。その費用は人件費ではなく他勘定に計上される(この例は民間企業でもある)。
よって人件費総額は減り、知っての通り分母の歳出額(≒予算)は年々増えるから(切りにくいため)、比率が下がるのは当たり前となる。外注化(非正規労働依存)が増える時代では正職員の人件費比率はたいした意味をもたないわけだ。付言すれば、委託は平易な労働業務から行われるために入札の安い企業が落札する。よって派遣元がパートに払う時給は最低賃金871円に収束しやすい。
なお職員の平均年収604万円の時給換算は3000円と推定する(780万円で3900円の企業事例から)。最賃の3.5倍だ。最賃はシルバー人材並みと思うが、正職員か管理職か派遣かはバッチや紐色で見分けを付けるのだろうが、それすら市役所内は徹底していない。
人数について遠慮なく言えば過大だろう。かつて都庁では蛍光灯の交換作業に三人来たという実話がある。これと似た光景を上尾でも目にしている。生産性や損益を問わない組織は人数が過剰にならざるを得ない。指標としている人口一万人当たりの職員数や他市比較を使うこと自体が時代の変化を無視し、聖域化していると思う。
つづく
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