上尾事件-3 夕方のヘトヘト帰宅、翌朝のモーレツ出勤
事件の朝、徒歩やバスで大宮へでてから都内へ出勤したと思われる上尾市民の帰りの様子を追った記事。(3/14朝日新聞 朝刊より)
帰りも混雑ヘトヘト
午後五時半、東京駅。ラッシュのピーク。大宮行きの京浜東北線に乗り込んだ。超満員。ホームでは駅員が頭をさげ
「あの騒ぎの後でこんなに混んで申し訳ありませんが我慢してください」
会社員風二人が「今日は駅員がやけにていねいだな。少し騒ぐとてきめんに効果が出てくる」 周囲で一斉に笑い声があがった。
上野駅でまだ降り終わらないうちに・・・入口が大混乱。
「出してください」と中年の婦人が悲鳴をあげた。周囲は沈黙したまま。
「お願いです。ここで降りないと大変なんです」と泣声に。
「オイ、出してやれよ」ひとりの男。
「そうだ、そうだ」あたりが同調した。ドア付近の人波が押返され婦人は外へ出た。
丸の内の保険会社に勤める上尾団地の会社員(46)は「今日の乗客は弱い者同士の連帯感みたいなものがありますね。いつもだともっと冷たいのに。今朝の騒ぎが原因になっているのかな」。
各駅で・・・停車時間が二分、三分と長くなる。「後の電車がすぐ参ります」とアナウンス・・・「後の電車なんかいつ来るかわかんないよ」赤羽駅で若い男が言った
身動きできないまま一時間、大宮駅手前・・・止まった。「大宮駅のホームがふさがっています」ぶっきらぼうな車内アナウンス
「なんだと」「本当か」「また順法を始めたんじゃないか」乗客は騒然と。
「今度我々が騒いだら今朝みたいなことですまないぞ」険悪なことばがどびかった。
初めてこの朝の上尾駅の騒ぎについて乗客たちが語り出した。
「わたしも腹が立って石を投げたんだよ」
「ボクは電車を蹴飛ばしてやった」
「非常コックを開けてやったんだ」
誰も今朝の騒ぎをやりすぎとは言わない。
「今度は本線でやるか」物騒なセリフも飛び出した・・・
午後6時45分大宮着。乗客の半分は高崎線ホームに並んだ。「今日初めての高崎線下り電車がやってきます」・・・
午後7時16分上尾駅に着いた。朝の混乱がそのままあった・・・乗客はチラッと横目で見て我が家へ小走りに・・・苦々しさを味わいながらも「スカッとしたよ」とつぶやく乗客。
電車が走れば騒がない 3/14夕刊
「どうぞあなたお先に」-けさも窓から乗車して出勤するサラリーマン 14日午前7時、上尾駅で
あの″騒ぎ″がウソのよう。十四日朝の国鉄高崎線上尾訳、大宮訳はすっかり平静。せいぜい二十~三十分の遅れ。「順法なれ」している乗客には「いつもよりすいているくらい」。上尾駅で通勤客は満員電車とふりかえ輸送バスにおとなしく乗った。列車がくれば騒がない。乗客はあたり前のことを立証してみせた。
上尾駅は徹夜の復旧作業で、朝にはどうにかキズをつくろった。午前六時二十分発上野行、一番電車の到着前から鉄道公安や管理局員が誘導・・・西口にバス二十六台を用意し大宮駅までのふりかえ輸送へ。
乗客は「超満員には慣れている。こんなのは込んでいるうちにははいらない」とつぶやきながら、黙々と満員の車内にはいっていった・・・
●上尾駅以外にも各地で乗客の怒りが高まり動労は戦術ダウン、国労は全面中止をして普段に戻った。しかし四月の春闘ではゼネストとからんで順法闘争も再開され、4/24日には都内各駅で同時多発的な暴動が発生した。上尾事件どころではない。
写真 放火された京浜東北線の電車、赤羽駅。
写真 機動隊とにらみ合う乗客達、上野駅。
つづく なぜ上尾で起きたのか。
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