区長の報酬額と因習制度からの決別へ
見た目は市、中身は町。その名はアゲオ。
そして、事務区長160万円は田舎伝説なの?
(訂正 紋所に有効期限表示した)
事務区という用語を知ったのは四年ほど前、図書館問題の延長で人口分析をしたときかな。人口表に事務区別というカテゴリーがあり、意味を尋ねたが屋上屋を重ねるものという印象だった。さて、先日の星野さんの質問では肝心のコストを避けていたようなので、敢えて出す。
支払項目 | 数 | 基準額(年間 | 年間総額 | 平均月額 |
区長報酬 | 114人 | 388,000円 | 4,399万円 | 32,000円 |
区長代理報酬 | 387人 | 56,000 | 2,155 | 4,600円 |
町内会振興交付金 |
114区 | 65,000 | 741 | 交付金の計 1500万円 |
80,479世帯 | 100 | 805 |
上の二つが個人へ支払われる。他に区長会連合会運営費補助金(267万円)も加えると約6800万円になる。"事務区"という大組織があれば、他にも諸々の費用が発生するはずだが、予算書では分からない(毎度おなじみの検索不能pdfで情報公開の積りらしい)。
区長個人への支払は、均等割255,200円(38.8×0.65、基本給のようなもの)と世帯割からなる。後者は次式で求める。
(38.8×0.35×114) ÷ 総世帯数80479 × 事務区ごとの世帯数
総額の35%を変動給にして区ごとの世帯数で案分する。その母数は実世帯数(市全体10万)ではないことに注目せよ!。町会自治会への加入世帯数の総合計なのだ。それは約8万世帯なので@190円となり、世帯の多い事務区長ほど高くなる。
確か、上町の加入率は70%位だったが、町会ごとの値は公開されていない。また区長個人が報酬を受け取ってから、町会に入金しそこから報酬を得ているのか否かについては市は関与しない。
かつて、「彼らは年100~200万円くらいもらう」と言う人がいたり、新聞記事にも160万円とあったので鵜呑みにしていたが、『そんなに払えない』と市は言う。
仮に月額32,000円としても、それ位ならイイじゃん、とは言えない。仕事(負荷)とのバランスなのだから(時給900円ならば4h×9日勤務だ)。そして世間は区長制の無い自治体が普通である。だから前記事の二例は貴重となる。星野議員も「好きでなったわけではない」と語ったでは無いか。はよ見習い『見た目は市、中身は町』から近代化しよう。
気付いた点など
1. 区長は市との連絡調整に関する事務に協力することとあり、その一つに「広報およびチラシの配布」と明記する(市の規定集4条へ)。広報配布対象は町会加入の有無を問わない全市民であるのに、非加入者への配布を怠る区長に均等割報酬(世帯割ではない)を払うのは、規定(ルール)違反であり公益性を否定していると思う。どうだろう、松澤副市長殿 。
2. 広報配布の労賃が含まれているが、配布しているのは班長(住民)であり、タダだ。報酬をもらう人と労働者が不一致である。市は関与しないと言うが、ピンハネまがいが起きる仕組みに公金を出す合理性を示せるのか。
3.仮に 現行を容認すると、広報配布コスト分を区長個人へ払うのではなく、町会交付金に含めるのが合理的である。
4. 区長が町会長を兼ねると報酬の二重取りになるから住民自治としては透明性が不可欠だ。各町会に決算書の提出と加入世帯数の真正を義務付け、かつ公開可能としているのか。
5. 区長制を廃止できない理由は、市長から委嘱された選民的な既得権益化し、500名とその周辺を合わせると大きな圧力団体になっているからでは無いのか、という指摘を聞くことがある。
6.法改正とは関係なく元々無理がある制度なのではないか。「固いことを言うな」という情緒的理由はもはや通用しない時代。
●参考:世帯割単価について
世帯割単価190円÷12回とすると一回16円。ポスティング相場は一枚5~8円位らしいので、8円ならば半額となる。市が配布を検討したら区長会が反対したという(下の秋山レポート)。班長に手当て払わねえくせに良く言うよ。
●まとめ
W逮捕後に、市長が代って(物足りない人もいるが)前よりはマシになった。茶坊主副市長も代わって桁違いになった。しかし議会は変わらない。市役所という組織の変化は見えにくく、職員の変化は人による。自己改革力が弱いのだから、(国からの)外圧を上手に使って事務区制廃止、そして広報誌を市責任で配るようになればよいのだが、またまた試される上尾市政だね。よかったら区長と行政の公開討論会を開いてほしい。政治屋とつながる品のないヒトが減れば、源である住民も少しずつ変われるかも…。
あの古い記事に、「向こう三軒両隣」のしきたりとあった。
今は「空き家」よ。
次は、ロクに読まれもしないモノを全世帯に配るジレンマについて。秘策がある
関連
・全戸配布すべきというレポート(元議員!)
・事務区長制度と町内会の関係などややこしい話 (元職員?)
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コメント
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区長制度の解説、誠に分かり易く少し謎が解けたように思います。
町内会は入るもんだと思い、決まり事もそのまま受け入れてきました。
しかし、昔の隣組のようは監視組織になっては困ります。
民生委員も、様々な「当て職」も、どのように選ばれ報酬があるのかも分かりません。
市の「子飼い」サークルには、自動的に助成金が支給されているようですが不透明です。
元は税金、それらが明かになるような、出前講座を開催していただけると有難いです!
投稿: ピース | 2018年12月18日 (火) 21時53分
監視組織?・・・近所の防犯カメラを集めれば出来ますぞ(笑)。
友だち幻想と言う本で、「日本人は、同質性を前提とする共同体作法から抜けよ」と語り、「群れる」ことで不安から逃れる、という無意識行動が同調圧力を生むと言ってました。下の名前でリンクします。
自助、共助、公助ってあるでしょう。実態は公助ばかり当てにしている、って村会議長が嘆き、村民に政治参加を促すために夜間・休日議会を開いているという例もあります。
投稿: 私役所 | 2018年12月18日 (火) 22時57分
広報配布を班長に依頼しているのは、どの事務区も変わらないと思いますが、
事務区によっては班長に年1万円を支払っているところもあるようです。
投稿: takao | 2018年12月19日 (水) 00時29分
千円の間違いでは
メンバー数名で一班長、どころか実は一人の班もあったようです。ってことで、一万も払ったら町会費が底をつきますから、きっと区により班の定義が違うかもしれませんよね。配布部数にもよりますが、私的には払う必要はないかと…
投稿: 私役所 | 2018年12月19日 (水) 22時47分
私役所様
説得力がないと思うので、再度情報提供元に確認した上で該当事務区を表示します。
緑丘五丁目町内会では、(もともと同地区に同時に居住を開始した人々の集落のせい?)
地域の各種のイベント活動が活発で、伝統的にこれに班長が関わるシステムになっており、
班長はそれらの業務の一つとして広報配布を行っているとのことです。
1万円はそれら全体業務の見返りということのようです。
地域の高齢化が激しいので今後どうなるかはわかりませんが、とのことです。
住民の構成や区長の人となりが、事務区制度の適、不適を左右するのではないでしょうか。
投稿: takao | 2018年12月20日 (木) 11時09分
リアルな事例に深謝です。
指摘されたように事務区の中身が違い過ぎます。Min西貝塚はMax小泉の100分の一、約40世帯、こんな差のある管理単位は情の世界ですね。
なお上尾市の町会平均加入率は80%でした。
伝説的な報酬の真偽はどうでしょうか?、最大区長ですら85万円と推定されますが。
さらに踏み込んで、事務区長制は残すべきものなのかもご意見がありましたらどうぞ。
投稿: 私役所 | 2018年12月20日 (木) 21時39分
ピース様 私役所様
小生の20年来のボランティア活動と、過去の8年間の町内会役員の経験・・・
以下長文のため、記事に格上げしてあります。
下の名前 takao をクリックすると記事へ。
投稿: takao | 2019年1月 5日 (土) 16時51分
事務区長制度が変わるという事を、恐らくほとんどの人が知らないと思うし、上尾の事務区制度がおかしいと気づいていない人が大半なんだろうなと思います。区長制度が
変わるのを嫌う人は、既得権益者や昔からの住人ではないだろうかと。
上尾は、合併前の旧町村時代をそのまま何十年も引きずっているようです。各地区(
大石、大谷、上平・・・)の有力者が仕切ってしまっている。それに事務区長制度が当て
はまっている。そして各地区に市役所の支所があるが、支所の存在が加担している
のではないかと。支所の役割として多くの人は証明書の発行や納税等の窓口だと
認識していると思うが(もちろんその役割もあるが)、その一方で支所は各地区
の事務区の取りまとめとしての役割も担っている。区長会議も支所の会議室で支所の
職員を交えて行われている。各地区毎にその中でしか主に活動していないから、合併
後から何十年(60年以上前)経っても、地区毎に縄張り争いというか。表向きは「上尾市
」として1つの市に見えるが、裏では旧町村のまま融合していないように感じる。
投稿: 犬のしっぽ | 2019年2月 5日 (火) 00時31分
自治会とか町会は行政の手足みたいなものと言われますね。
takaoさんのコメントで
「住民の構成や区長の人となりが、事務区制度の適、不適を左右する」 とありますが、そうならば事務区制は欠陥だという事です。
行政サービスを担っているのですから、報酬の多寡にかかわらず『地域間の差がなく均等であるべき』です。差が生じるなら委託から直営サービスにすべきです。
そもそも星野さんの記事に書いたように「なりたくてなっているわけではない」と代弁しているのですから、温存を求める人は既得権益それも名誉的なものではと。
個人的には地域の縄張りを感じたことはありませんが、上平新図書館の騒動では、現本館は上町のモノではない、みたいな意見を嶋田さんが口にしたのには呆れました。
ひがみっぽく聞こえて笑いましたね。
投稿: 私役所 | 2019年2月 5日 (火) 22時37分