上尾市介護保険-3 団塊とジュニア世代が後期高齢者となる頃の持続可能性
前記事のつづき 上尾市の「不都合な未来」への私的処方箋
(1) 2025年の介護認定者数が予想よりも二割も増える
介護事業計画書p15には認定人数の推移グラフがある。その2025年の値を下の2列目に入れた。
2025年 | 年齢認定率 | 統計あげお | 増加 | |
---|---|---|---|---|
認定者数の計 | 11,996 |
14,505 |
2,509 (21%) | |
1号前期 65- | 1,077 | 4% | 1,012 | -65 |
1号後期 75- | 10,623 | 28% | 13,196 | 2,573 (24%) |
2号(40-64) | 296 | 296 | 0 | |
p10_65歳以上人口 | 62,601 | 70,380 | 7,779 (12%) | |
認定率 | 18.7% |
20.2% |
認定率18.7%と認定者数の予測根拠は分からないが、年齢別の前期/後期の認定率は4%や28%と計算できる(認定者数÷当該人口、端数省略)。4列目は「統計あげお28」の人口予測値に年齢認定率(4と28)を掛けて求めた。2号の人は少ないのでそのままとした。
結局、全体の認定率は20%へ微増だが、認定者人数は21%増えた。「1号後期」の人口予測が大きく違うためだ。
(2) 真に迫る年齢別の認定率
同書p17には年齢別の認定率がある。若い人は見向きもしないが、体力の衰えを感じる人には真に迫る値である。
65~69は2.6%
70~74は5.6%
75~79は11.1%・・・十人に一人
80~84は25.3%・・・●○○○
85~89は48.1%・・・●〇
90以上は72.5%・・・●●●〇
これはh29/9の実績値であり将来推計値は無い。認定率は政策的に変るだろう。高齢者向けの体力増強プログラムの浸透とか。そして政治的にも変わるだろう。とめどない財政負担増を嫌うとか、認定されたい人や家族は等級をあげて欲しがる傾向が強まれば、「まだ歩けるでしょう」と敷居を高くするかもしれない。
その年齢別認定率を2025年人口(統計あげお28)に当てはめたら…
年齢(1号) | 2017年の認定率 | 2025年の人口予測 | その認定者数 |
---|---|---|---|
65-69 | 2.6% | 9,663 | 247 |
70-74 | 5.6% | 13,298 | 746 |
75-79 | 11.1% | 16,112 | 1,792 |
80-84 | 25.3% | 16,139 | 4,088 |
85-89 | 48.1% | 10,479 | 5,041 |
90歳~ | 72.5% | 4,689 | 3,398 |
合計 | 70,380 | 15,312 |
|
全体認定率 | 13.9% | 21.8% |
この計算でも認定率は21.8%へ、人数は15,300人へ上昇した。計画書の2025年の認定率18.7%が根拠なき楽観に見えてしまうわけだ。高齢人口数と認定率は財政負担に直結するから、その持続可能性には不安がある。
(3) 認定率を下げないと団塊と団塊ジュニアの山を越えられない
人口統計をただの数字の羅列で事足りるように、行政は未来への責任を持たない。上尾市の人口ピラミッドを見ればわかるはず。団塊世代がみんな昇天あそばせ、暫く施設が休業になるが20年後には団塊ジュニアの特需がやってくる。しかしその下の先細るグラフを見れば、一体、誰が支える?。「誰もいないじゃん」。
まず腰掛的な短期の人事異動は辞めたほうがよい。60歳まで担当しろとは言わないが、長期的視野が無いと保険事業には向かない。問題解決能力も身に付かない。事業計画書を自ら作れて、その後の検証という洗礼を受けて一人前になるのだ。
さて、認定者数が増加していくと、生活保護申請を抑制する政策に通じる気がする。そうならないためには、高齢者の体力作りに「数値目標」をもって取り組むべきだ。その一環が、アッピー体操ではガッカリする。
商売には常に浮沈があるが、今も根強いのはフィットネスジム。風呂付の総合型は"元気な高齢者のデイサービス"と見まがうほどだ。市内には公営2か所、民間の大型施設も複数ある。カーブス(既に5店)のように女性限定や都内では24時間型とか暗闇式もある。本ブログでは長く図書館問題を扱ってきたが、図書館やジムが当節もてはやされるのは、どちらもグループではなく個人向けであるからだ。
上尾はスポーツ宣言都市と自慢するも、県営スポーツ施設の立地に恵まれただけで、それを除いたら大したことはない。また、スポーツは団体競技が多いため組織化された人たちの声が市政に届きやすく、とかく群れた市民を意識しがちだが、群れていない市民のニーズに応えるには聞いて待つ姿勢ではムリ。
市民の筋力や体力アップは医療や介護費用の削減効果へと直結するから、市営体育館の中だけでなく街中にジム施設があっても良いはずだ。最近浮上したPAPA賃貸計画で実験したらどうだろうか。あるいは民間ジムへのトライアル受講企画でもよい。自転車レーンがあるならば、ウォーキングレーンがあってもおかしくない。毎月、1のつく日を「階段の日」に制定してもいい。スポーツ宣言なんて曖昧過ぎる。筋トレ宣言市へバージョンアップし、「いつでもどこでも筋トレできる街」を目指したらどうか。
また、病院通いをした人に「こんなにカネかかった」なんてハガキを送る暇があるのに、住民健診のメタボ判定や生活習慣病の人をスポーツ指導やジム通いへと誘導する仕組みをしてきただろうか。中央病院と連携してプログラムを作ってみたらどうか。
と、ムカーシから思っていたことを書けたので、この項おわり。ジムで転んで介護になりませんように (^^♪
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