行政サービスの持続可能性に想うこと
昨夜、市民からの長文投稿があったため、記事が連投になりました。時間があれば前記事もどうぞ。
1.上尾市水道事業会計から
昨年末に水道民営化の法案が出た時は話題になりましたが、議論を深めることなく数の力であっさり可決、そしてニュースからも消えました。その水道事業は企業みたいに損益を測る会計制度となっているため、老朽設備の維持費と人口減による売上減少により早晩、料金値上げは必須でしょう。
管理権まで売り渡すコンセッション方式は困りますが、現場レベルでは民営化は進むはず。そんな時、上尾市の水道料金の原単位を知りました。
1m3の 供給単価167円-給水原価158円=販売利益9円(5%)
売価ベースでペットボトル500ccは8銭!。飲み水は一人一日、最低2Lですから33銭です。三人家族なら一日・1円、一か月33円。水道管から出てくるあのきれいな水は、トイレ、風呂、台所の"洗い物用"だと今さら気が付きました。
そもそも、蛇口からそのまま飲めるのは世界で15か国位と言うから、飲み水はボトルで確保するのが普通のようです。昭和の時代、日本の台所にも水ガメが有りました・・・。
平成29年度上尾市水道事業会計の決算状況の要約です。
水道事業収益 4,155百万円
水道事業費用 3,639
当年度純利益 515(12%)

2.介護保険の決算をみる
最近「上尾の人口は外国人の増加で持ち応えているからいいね」という呑気な話を某サイトで目にしましたが、前から「税金投入とサービス受益者との関係性」に関心があったので、暫くその記事が多くなるかもしれません…。
先ずは介護保険。
ここにも、またまたお粗末データがあって呆れたのですが(それは後日へ)、とりあえず決算を読みました。幼稚園バスよりも介護サービスの車をよく目にするのは、幼児よりも老人の方が多いから当然ですが、デイサービスを含めた居宅介護は常時5000人位が利用し、市民生活に溶け込んでいます。
普通は本人か家族が利用者として料金表しかみませんが、「イザ自分が」という時に「もう定員です」なんて言われたら、それこそ悔悟保険になってしまいます。
図は上尾市介護保険決算書(こちらのp119)からの引用。2017年度の歳入154億円の内訳グラフですが、直ぐ意味が分かる人は少ないはず。
行政は難しい表現を使いますから、下図に意訳しました。保険加入者の65歳以上を一号被保険者、40~64歳の人を二号被保険者と呼びます。歳入(つまり収入)のメインは加入者が払う保険料ですが、"支払基金交付金"とは二号保険者が払った保険料のこと、次の単なる”保険料”とは一号者のそれです。
続く公的負担として国・県があり、市からは一般会計(メインの会計)が払う”繰入金”が市の負担になります(一般会計の方では繰出金と呼ぶ)。繰越金は前年決算からのもの。このような平易な解説を決算書に入れている自治体もあります(上尾市も倣えと言う意味)。
平成29年度 介護保険特別会計決算を億円単位で簡略化しました。支出の87%を占めるのが保険給付金129億円です。
収入 | 支出 | ||
---|---|---|---|
2号の保険料 | 37 | 保険給付金 | 129 |
1号の保険料 | 34 | ||
国の負担 | 29 | ||
県の負担 | 20 | その他 | 19 |
市(繰入金) | 24 | ||
繰越金 | 10 | ||
その他 | 0 | 支出合計 |
148.3 |
収入合計 | 153.7 | 次期繰越 | 5 |
なお、支出の給付の50%を公費(国県市)、残り50%を保険料で負担する仕組みです。1号被保険者が23%、2号が27%です(全国の人口比率で国が設定)。
二号(45~64歳)の人は、医療保険と一緒に徴収されるために実感が薄いはず。彼らも条件に合うと介護サービスを受けられますが、現役世代では約230人ほどと稀です。本来、保険とは掛け金で安心を買うわけですが、この場合は財源負担として強制加入させた印象を受けます。
そして、この介護保険が団塊世代が後期高齢者になってからも持続可能なのか気になります。
つづく・・・
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