上尾市の国民健康保険が値上げ? 美しい言葉を装う税金-1
病院の待合室での会話。
「おや、○○さんの姿が見えないね」
「具合が悪いんじゃないの」
昔の医療費タダ同然時代に聞いたジョークだ。
今はそんなことは無いと思いたいけど、「一割負担だから」とか「タダだから」(子供医療費)という声は、言外に『安いから行く』を感じさせる。似た現象に、救急車利用の半分は無料タクシーである、4割は要入院でも緊急性は薄い、1割が本当の急患だと言われる。
さて、ビジネスパーソンの健康保険は保険料の半分を会社や団体が負担してくれる。中には6割も負担してくれる会社もあるから、自己負担額を気にしない人も多い。しかし、退職すると国民健康保険に入ることになり、全額自己負担の請求書が市から送られ、その高さに驚く。
国保の昔の加入者は農業・自営業が7割だったが、今は少数派(15%)となり、無職40%(退職後の年金層)、非正規30%が多数。つまり低所得層が多く(所得無が1/4とも)、かつ年齢も高い(病気になりやすい)から、保険の構造としては本来成り立つわけが無いので赤字になる。図は非正規と高齢者で国保は「瀕死」より引用
上尾市の国保負担が、4月から広報あげお2月号は"変更"と伝えるように値上げか値下げかは人によるだろう。
国保は3体系からなり、医療費の分、後期高齢者支援分(75歳以上の医療費へ回す)、介護分(40~64歳が負担して介護保険に使う)。それらをまとめた新料金がつぎ。
国民健康保険 | H30まで | H31から | 金額増加率 |
---|---|---|---|
所得割 | 9.3% | 10.20% | |
資産割 | 30% | 廃止 | |
均等割り(×世帯人数) | 27,000 | 49,000 | 16.7%(平等割含めて) |
平等割(1世帯当り) | 15,000 | 廃止 | |
賦課限度額 | 850,000 | 930,000 | 9.4% |
負担計算を簡素化し、所得割で1%ポイント増、均等割り49,000円は17%増、最高上限は9%増だ。均等割りといっても実際は低所得世帯は割引があるため上の金額ではない。
都道府県が国保運営の責任主体となる今回の大きな変更は、国民皆保険を将来に渡って守り続けるためという美しい目的があるが、ようは資金源を広域単位にして裕福な市から脆弱な市への所得移転に見えてしまう(事務は市町村のまま)。或いはさらなる再編成への一歩なのだろうか?
●上尾市の国民健康保険特別会計決算(2017/h29年度)を見る
・収入258億円(前年比-6.8%)、支出253億円(-5.5%)、決算収支5.4億円(-43%)
・加入は32,613世帯、52,448人
・一人当たり収納額77,000円(92.7%収納率)
・一人当たり療養諸費252,000円(一般)
資金繰りは5億円の黒字だが、そこには一般会計より11.4億円の繰入金という仕送りが含まれている(法定外繰入金だと思うがその説明はない)。この決算書は、上尾市HPから直ぐに探せる人はいないと思う位、離れて深いところにある。そして258億円も使った決算報告はたった3枚である。もちろんなんの解説もない。
国保事業は慢性出血病だが、それを担う人達はヒトゴト病である。
もうじき3月議会、国民健康保険の予算を上尾市議会でどれだけ議論し、ヒトゴト病を少しでも治癒できる処方箋は有るのだろうか。たんなる通過儀礼ではないのかな。なお、国保加入者は5万人だから、国保以外の市民が多く、そこから選ばれた人が国保予算の承認をするのはヘンだ・・・
つづく。最高額を請求された、或る市民の嘆き
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コメント
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自分の国保税がどうなるのか、試算してみました。結果はほぼ同額でしたが、計算方法が大幅に変更されるにしては、『広報あげお』の説明では不十分だと思いました。
具体的には、
①運営主体が県になると、県内すべての自治体は同一の方法で計算するのか。
②「資産割」については、従前から疑問でしたが、なぜ今まで固定資産税を支払っている市民は国保税が高かったのか。
③「均等割」が大幅に上がっている理由が不明確ではないか。
などです。市議会でも質問が出るでしょうが、果たして市民が納得できるような、市民目線での質疑がおこなわれるか、注視する必要がありそうです。
投稿: メイプル | 2019年2月14日 (木) 09時34分
まいど。
県試算では、1人当り負担が上がる市町村数は17、下がるのは46、県平均でも下がると県議会答弁していますが、市町村名は明かさない。税率は自治体別らしいですよ。
国保は赤字だから、直接の加入者保険税が減ったとしても、実態は他の税金で補うため負担増は変わらないのでは。
議員質問は期待できませんよ。
当局の事業活動報告がたった三枚で済んでいるのですから、今まで何も問う能力が無かった証拠です。
投稿: 私役所 | 2019年2月14日 (木) 23時10分