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2019年2月12日 (火)

上尾市の凋落-埼玉県の1人当たり市町村税額ランキング

低迷と呼び替えれば慰めになるの
 
1.上尾市民の不都合なグラフ  
 (下に前記事図表をテキスト化しグラフをのせた)
 
 前記事で上尾市は規模は8番くらいでも、一人当たり税収でみると低いと伝えたが、今回は資料が届いたので更に四年前に遡って推移をみた。
 起点の2008年はリーマンショックの年、個人市民税はここがピーク140億円だった(市税ピークは2007年の325億円)。なお2016年は132億円である。
Photo_3 
 その辺りは過去記事の17年間税収推移グラフにある。法人市民税と固定資産税の低迷があり、それらが一人当たり市税(青)の順位を下げている。8年間の下落差は10800円、22万人の平均額で1万円はデカい。個人市民税(橙)は4400円(7%)の下落だ。堅調な他市がある一方で、上尾市は相対的な地盤沈下の途上にあると言えよう。遠慮なく言えば凋落である。なお、今後のランキングは横這いかもしれない。下位市も似たような環境にあると思うから。
(イオンモール上尾の建物完成は固定資産税にプラスだが人口比では微々か?)
 
 市予算の多くは人口に比例し人口が横ばいでも、サービス総額が肥大化する傾向にあることから、財政的には余裕のない道を歩んでいる。上尾市の経常収支比率が慢性的に県内トップクラスというのはそのアラームだろう。ワースト2位の記事
 予算(支出)の元となるカネは、自分で集めた自主財源と国や県からもらう依存財源に分けられる。前者のメインは市町村税であり、予算が増えながら自主財源が減ることは、給料減で生活費増にするに等しい。
 行政は比較されることを嫌うため、他市比較は都合のよい数字に限られる。もうじき成立する新年度予算の広報では市民一人当たり、一世帯当たりという数字をだし、財政や行政を身近に感じてもらう演出をするが、そんな小学生向きの数字は市民の思考停止を招くだけである。 
 今のうちに上尾市の持続可能性を探るべきなのに、なぜ市当局にその動機がないのか。答えは簡単。与野党問わず議員が支出拡大を票集めの餌にし、監視も何もあったものじゃないからだ。生活習慣病に陥っている殆どの患者は不摂生が原因と言われるが、財政についてはオール無責任。
 税金ってしょせん他人のカネだから。
 
2.埼玉県の税目別負担額の一人当たりランキング H28年度
 左側は市町村税額、右側は市町村民税である。最高額の市と最低の町村では2.4倍ほど開く
 周辺市町との合併話が起きると、企業合併と同じく相手の財務体質が精査される。特に一人当たり市税が大きい市民は、それが貧弱な市と一緒になることを躊躇し、逆の場合は渇望すると思う。奇麗ごとで合併はしないから。
 
市税 町村 市民税 町村
1 戸田市 202,671 三芳町 202,349 和光市 80,017 三芳町 58,927
2 八潮市 187,947 滑川町 166,383 さいたま市 73,739 伊奈町 56,738
3 さいたま市 179,560 川島町 158,564 朝霞市 71,035 滑川町 53,540
4 和光市 178,715 美里町 156,078 戸田市 70,948 鳩山町 52,486
5 川越市 159,890 嵐山町 151,002 志木市 68,026 杉戸町 50,952
6 朝霞市 158,022 寄居町 149,225 蕨市 65,599 宮代町 50,879
7 川口市 157,605 吉見町 140,346 所沢市 65,506 小川町 49,221
8 三郷市 154,492 横瀬町 134,662 川口市 63,284 松伏町 48,749
9 蕨市 153,624 伊奈町 128,228 富士見市 61,675 吉見町 48,471
10 所沢市 151,841 鳩山町 127,633 新座市 61,037 川島町 48,353
11 熊谷市 150,741 上里町 124,162 白岡市 60,497 越生町 47,960
12 飯能市 150,084 神川町 123,876 ふじみ野市 60,451 嵐山町 47,147
13 久喜市 144,240 小川町 120,673 越谷市 60,305 毛呂山町 46,926
14 草加市 143,928 ときがわ町 116,538 草加市 60,070 上里町 44,864
15 本庄市 143,923 杉戸町 116,338 蓮田市 59,494 長瀞町 44,485
16 志木市 143,489 越生町 114,875 川越市 58,999 ときがわ町 43,949
17 日高市 143,273 長瀞町 114,201 八潮市 58,864 寄居町 43,661
18 新座市 142,246 宮代町 109,595 鶴ヶ島市 58,638 横瀬町 43,625
19 鶴ヶ島市 142,201 皆野町 106,463 上尾市 58,278 美里町 40,797
20 東松山市 141,972 毛呂山町 104,218 狭山市 57,212 神川町 39,501
21 入間市 141,851 小鹿野町 104,211 三郷市 57,079 皆野町 39,197
22 ふじみ野市 141,633 松伏町 103,920 吉川市 57,041 小鹿野町 36,941
23 狭山市 141,475 東秩父村 84,780 入間市 56,632 東秩父村 33,251
24 越谷市 141,436   桶川市 56,405
25 北本市 138,673   北本市 56,201
26 富士見市 137,273   久喜市 55,610
27 白岡市 137,064   飯能市 55,383
28 羽生市 136,209   熊谷市 55,235
29 秩父市 134,680   鴻巣市 55,162
30 桶川市 134,564   坂戸市 53,547
31 上尾市 133,168   東松山市 53,487
32 加須市 132,998   春日部市 52,238
33 深谷市 132,641   深谷市 51,595
34 坂戸市 132,117   日高市 51,549
35 吉川市 131,278   本庄市 49,450
36 蓮田市 129,308   幸手市 49,236
37 鴻巣市 125,071   行田市 49,229
38 行田市 124,730   加須市 48,381
39 幸手市 120,172   羽生市 47,080
40 春日部市 119,381   秩父市 42,051
 
1.市町村税の40市グラフ
 
Photo
 
2.個人市町村民税
 Photo_2
 

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上尾市の財政物語」カテゴリの記事

コメント

前記事もそうですが、こうした数値を市民が目にする機会は無いように思います。
上尾市の行政(教育委員会を含む)には、まだまだ「不都合な真実」が隠れているようですね。

いつもながら鋭い分析で感服しています。
「入るを量りて出ずるを制す」のが、家計や経営のみでなく財政の鉄則ですが、小生の見る限り、「入るを量る」も「出ずるを制す」も、市議や議会の各会派(新政クラブから共産党まで)、ならびに市政の責任者から具体的な責任ある提言を今まで聞いたことがありません。このままでは、なし崩し的に上尾市は「泥船」の懸念が強いです。
「これはという方」を集め統合的な施策を検討・立案しないと。小生には、このための方策がありませんが、もし出来ることがあれば云って下さい。ブログ主さんあたりが「隗より始めよ」で動き出さないと。

↑ありがとうございます。

「出ずるを増やす」の人が、よくやったと褒められるのが日本の政治のようですよ。本日産経ニュース(下の名でリンク)でワタミ創業者の渡辺議員が「永田町では予算をたくさん使っている方がよく経営とは違った」と述懐し引退するようです。

今は局地的な地域代表者と政党人事の人間ばかりでは、「公の上尾」を利用されるだけです。他市にはそれらに組しない市民党なんてのもあります。市民が4年ごとの持ち回りで複数議員を送り込む、つまり職業政治屋ではないというアイデアは如何でしょうか。
それには無関心層の40代が振り向かないと難しいです。現役層は直接参加はできなくてもネットが有るのですから・・・。

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