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2020年1月12日 (日)

学校給食の無償化の是非-1

上尾市の学校給食はハウマッチ?

次記事 反対する理由

市議選時に政策テーマについてリクエストされていたので漸く書く(当時は敢えてアップしなかった)。

共産党は前から小中学校の給食無償化を主張していたが(公明党も同じかもしれないが詳細不明)、昨秋「市民の声」がチラシで取り上げていた。不正な無駄使い(新図書館関係で4億円)したことへの反論の一つに中学校の給食無償化2.9億円をPRしていた。ちなみに一回の無駄使いに対して、毎年支出する政策を充てるのは可笑しい。

さて、「わぁラッキー」と当該世帯は喜ぶべきなのだろうか。一般世帯には、「そこまで必要?」と思いつつも、非寛容的な人と思われたくないからスルーしがちだ。しかし大衆受けしやすい政策は、何かのはずみで政治的多数派になって実現する可能性もある。だが、その前にデータで紹介しよう。上尾市の給食費のデータである。

上尾市 年間(万円 材料単価(円 月額 推定市価 人数
小学校 49,000 250 4,300 625円 11000
中学校 29,600 310 5,200 775円 6000
合計 78,600       17000人

今は年間総額を11カ月で割り、日割り等で加減している。そもそも、(学校給食法11条)学校給食は、施設整備運営費は自治体が負担し、食材費は保護者の負担というように、前から労務費と設備や水光熱費は税金で負担している。上尾市は各家庭が各学校口座に振り込み、各校がそのカネで材料費に充てる仕組みをとる(私会計と呼ぶ)。

一般に飲食店の材料費比率は30%なので、学校給食だから利益分は無しとして(仮定の)利益10%をのせて40%で逆算すると、一食775円のランチである。その6割が補助されているわけだ。街の定食屋と比べてこの価格が高すぎるのかは給食の実態を知らないので分からない…(50%なら500~600円だ)。

ようするに無償化と言うと食材費の無償化という意味になる。埼玉県では次の三町のみ。滑川町0.92、小鹿野町0.34、神川町0.52 参考:上尾市0.92

値は自力でカネを集められているかを示す財政力指数だ。滑川町の指数0.92は町としては県下トップクラスである。東武東上線駅前の宅地開発が盛んで出生率も県下一位と好循環であるが、非常に稀な例である。こちらのグラフ小鹿野町は2015年より完全無料化。16年度決算では生徒数866人分で約4100万。神川町は2019年度からで、4小学校の630人と1中学校の320人で約4000万円。

2017年度の文科省調査でも全1740市区町村のうち小中学校無償化は76で4.4%しかない。多くが人口一万人以下の町村という。つまり少子化対策・定住促進の面が強いのだが、財政力指数が低い場合は自前の町村税ではなく、地方交付税が原資と言えるかもしれない。

上の3町は人口二万人以下であるが、上尾市の児童生徒数は17,000人いる。仮に、困窮対策が目的ならば、既に就学援助制度で保護されている。古いデータだが、下は要保護(生活保護)児童と準要保護児童数と給食費支給額だ。就学援助対象は1600人、7000万円近くである。

H25年度の人数(2013) 要保護と準保護人数、比率 給食費支給額
小学校 12,238 985 8.0% 3900万円
中学校 6382 656 10.3% 2900万円
18,620 1,641 8.8% 6800万円

国の「生活保護法」以外に、学校教育法第25条は経済的に就学困難である者に、市町村が必要な援助をしなければならないとあり、準保護制度が自治体ごとにあり、学用品や旅行代、給食費などを支えている。上のデータ、就学援助対象人数の比率8.8%だけでは、上尾市は多いのか少ないのか分からないが、実は全国の小中学生の16%が対象であり、6人に一人は給食費無償と言われる(2012年度)。

それでも冒頭の政策は、所得に関係なく対象全員を無償にするのだから、選別主義から普遍主義(誰でも給付される)へというわけである。中学校に限れば、10人中9人もタダにしますということだ。

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コメント

従姉が神奈川県の教員でした。川崎の小学校でクラス担任をしていた時、給食費の払えない生徒が数名いて、返済は全く期待できないけど、自腹で払っていたとのことです。嫁ぎ先が企業経営者ということで、適切な表現ではないですが、クラスの雰囲気とか和とかが壊れるよりまし意見でした。
だって、給食食べなくいいって親が言うもんですから。パンか何か少し食べるみたいな。
極論を言えば、給食費が払えないくらい困窮していれば生活保護申請という手もあります。
ただ、子供のいる世代はなかなか世間体からしないでしょう。
昔の学園もののドラマ「熱中時代」で、給食費を払えない親が、給食時間、女子児童を自宅に帰らせるという話がありました。たしか男親役は、有名になる前の橋爪功、泣いて申請を頼む担任が志穂美悦子。説得を引き受けて殴られるのが水谷豊。
就職氷河期が10年以上、企業のリストラ、デフレで、状況は昔より悪くなっているのでしょう。
給食を無償化にしたところで根本的な問題は解決しないと思います。
某党も人気取りなのかどうか知りませんが、もっと深く、考えて欲しいものです。
旧Sクラブの隠れみのの政策グループとべったりじゃね。頭の程度も知れたのものです。
犯罪者の元市長の選挙応援した自己反省をまだ市民(支援者の会員)はどうでもいい)に発表してないし。

次回「給食費 無償化の是非-2」 以降の記事を最後まで読んでからあらためてコメントするつもりですが、上尾の学校給食はツッコミどころ満載ですね。
小学校と中学校の給食の運営主体の違い(自校 or セントラル&サテライト)、1食単価で比較すると県内で最も高い上尾の中学校の給食費、とりわけ中学校では、タイトな日課表の中で、「食育」としての給食が成り立つのか、無償化の前に「公会計」化のほうが先ではないか、給食費をめぐる市議会での論議 etc....

拙ブログ「上尾オンブズマンの館」でも近いうちに上尾の学校給食の問題点を指摘するつもりです。
続編を期待します。

市役所(幹部職員?・議員?)と給食業者の癒着があるに決まってる。やはり、隠蔽体質の市役所は信用できません。
元市長が職員を脅したり、市長室で、しかも、職員が見てるところで、現金50万を受け取るj自治体。
今、関係部署が総出で、まずい資料を廃棄していると思います。
20年以上前ですが、知り合いの納入業者はいい生活してました。学校給食は「おいしい」って。
図書館問題の次は給食問題で。ハタ坊のクビが飛ぶかもしれませんね。
俺は知らない関係ないっていうでしょうけど。
レッドカードの前に引退した方がいいですよ。

昔々、大学進学率が一けたの時代、教師の地位(給与)が高く、先生が立替えたという話は耳にしましたね。今は振込式なので払う払わないは子供には見えないようですが、無償化とは今払っている世帯への無償ですから貧困対策ではないね。

さて、セントラル方式だと低コスト追及なので、材料費率50%ならば中学校は620円です。現物知りませんが、ランチ定食に近づきますな (^-^?)

某市議は給食業者関係団体の得票のため、奮闘中でしょうね。
癒着がばれて、次回、落選しても知らないよ。

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