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2020年1月19日 (日)

上尾市の給食費無償化に反対-2

フリーランチは無い。

前記事-1では、給食費のコスト、無償化(無料化)の実施自治体や就学援助などの事例を示した。ここからは反対意見を展開しよう。

1 上尾市の財政力指数0.91は大都市圏のベットタウン市としては一般的なのだが、収支の余裕のなさを示す経常収支比率97%は県下4位と高い。内訳の義務的経費比率59%(歳出に占める、人件費・扶助費・借金返済等)に至ってはダントツ一位である。特に職員人件費(歳入の18%)と扶助費30%が高い。しかも扶助費は年々対象者が増える。(2018年度県資料)Photo_20200118232301

 しかし、このような比率では理解しがたい人もいるので、世間との比較で示すと、市民一人当たりに使う
実質歳入額(27万6千円)は全国で下から6位である(814市区、2017年度)。

 隣のさいたま市民より約14万円も少ない。以前に書いたが、上尾市だけの値をのせる広報記事からは街の姿を見誤る。(なお、一人歳入額が単に多ければよいというものではないが、当市の歳入構造は弱すぎ。その辺りは別の機会に)

 だから中学校に限定しても三億円の支出は重い。このような大型で経常支出(毎年支出)する独自政策を掲げるならば、他の予算を減らすなどの財源提案をしないと、素人政策である。つまり、何かを減らして、何かを増やせという「配分論争を避けていては」政治にならない。

2 中学生一人で年5万円の支給となる(私立や他市へ通う世帯にも同額を払う)。同じ「義務教育」なのに隣市に住む人からは不公平に感じないだろうか。つまり義務教育における給付とは全国公平であるべきだから、これは国政テーマなのだ。国が小中学校の給食無償化をするには5,100億円位と言われる。

前記事に上げた全国実施率4.4%のうち、人口一万人以下が7割もあり、最多でも7万人市なのだ(小学校だけなら11万市がある)。また生徒数は200人以下が大半という。著しい少子化に追い込まれた町村が国の交付税を原資にしてタダにしても、不公平だと思う人はいないだろう。人口の多い市は躊躇するようにみえる。なお、未納率の高さと無償化の関係は分からない。

3 最大の反対理由は、『この街の教育に欠けていることは"給食費負担"では無い』ということ。毎年3億円の給食費より、『もっと教育の質を高めて欲しい親の方が多いはず』と思う。やるべきことは他にあるだろう、という意見だ。

 ところが、やれ英語教育だ、ロボットプログラミングだ、IT教育だと国からはダボハゼ的なメニューが押し付けられており、子供や先生は給食よりも"未消化"だろう。だからメシ代よりも、教員強化に重点を置くことで質の向上を狙う方が好まれる。
その街の教育水準の高さ」は給付型の子育て支援策よりも教育熱心層や高所得層にはプラスの転入動機となり、市税増収にもつながるという構想力が欠けている。Kyusyokuhi_harawanai_20200115170401

4 強いて検討すべきは(保護者が学校に直納する)私会計を改め、行政システムに組込む公会計化だろう。導入と維持
コストが必要だが、当節、先生の働き方改革の面で望まれている。幸い上尾市の未納率は0.3%ほどと全国値0.9%より低いから督促は比較的楽かも(つまり今のまま)。 

5 政治家は選挙になると負担の減るバラマキ政策を連呼しやすい。負担を負わない人はバラマキをフリーランチと誤解しやすいが、第三者または未出生の次世代へのツケ回しなのだ。食べた子供が大人になって市民税を納めれば"後払い"として帳尻は合うが、他市へ引っ越したら食い逃げだよ (ジョークね)。

中学の給食費 合計 納付生徒 準要保護 要保護(生活保護)
人数 約6000   656 ※1  
食材費 29,600万円   支援 支援
構成比 100% 約85%? % %

※1 h31.3/6文教経済委員会

 議会はデータで議論しないから上表を埋められないが、前記事のように"学習支援制度"がある。しかも、全体で十数億円の給食コストのうち、材料費負担のみで済むものを"文字通り"のフリーランチ政策にするわけだから選挙目当てに見えてしまう。

「そんな言い方は無いだろう」と怒る人は国政レベルで主張すればよい。

これは、限られた資金に対する価値観の問題でもある。

 例えば

   米百俵の精神みたいな。

追記の記事 食事代より学力代

 

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コメント

こうした鋭い指摘は、blogだけでなく、主張してきた議員や会派に直接主張してみては如何?
彼らがこのblogを読む確率は保証がないのだから。
ぶつけてみれば会話が生まれ、新しい展開が開けるかもしれませんよ。
これまでの議員や市の職員を呼んで勉強会等を行う試みは、大変素晴らしく再開してほしいし、また見識、勇気、人脈などがないと出来ないことです。

(落首は喝采を受けるかもしれないが、付和雷同やヘイトスピーチをも生み出す温床と思うから。)

給食無償化を提案する議員は、学がなさそうなので、貴殿とは議論にならない。
逃げちゃいそう。市民討論会から逃げたハタ坊みたいに。
その時の理由が嘘つき元知事との面会だっていうから、笑わせてくれるよね。
宗教党は現世利益(自分たちの)しか考えないから、言っても無駄です。たぶん。

埼玉県内で給食費を完全無償化しているのは、ご指摘のように3自治体(滑川町・小鹿野町・神川町)であり、一部減免措置等を行っている自治体は行田市ほか13自治体となっていますね。
また、昨年12月の糟谷質問で、今年の4月から給食費無償化が実施される兵庫県明石市の例が紹介されました。明石市は人口30万人弱。市長のパワハラ発言で注目されましたが、随分思い切った施策だと思います。近県では群馬県渋川市も無償化自治体です。

上尾では、給食費無償化を自らの政策に掲げているか、または賛成するだろうと思われる議員(会派)の合計人員が12人、あと4人賛成すれば、予算原案を修正することもあり得ます。財源については、毎年のことなので、当然どこからかひねりださなければなりませんが、それは市民・議員・市の行政当局が考えれば良いこと。みんなで考えることも必要だと思います。ただし、第3子以降無償とか、そんな中途半端なことはやめたほうがいいですね。
また、給食費の「公会計化」は、さしたるインセンティブも無しに給食費の督促を担当する教職員の負担減にはなりますが、その代わりに実務を担当する部署としての市教委、とりわけ学校保健課が難色を示すでしょう。市議会でも従来から「検討します(=つまり、すぐには導入しない)」という答弁です。

W逮捕やブロック塀で地に落ちた上尾市行政。これを打開する策としては、「子育てなら上尾」「給食費は無償です」というキャッチコピーは有効かもしれません。その場合には、学校給食法よりも上位の憲法第26条「義務教育はこれを無償とする」をその根拠とすることになると思われます。

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