コロナ不況と上尾市経済-5 UD
1.危機感の伝え方
先日トヨタ自動車の社長が業績発表で、「コロナ危機はリーマン・ショック以上」と語り、その言葉がたびたび放送されていた。確かに、12年前のリーマンショック時は、1950年以来の(単体)赤字転落として大ニュースになっていた(こちら)。しかし、先の発表会では今期予測を、営業利益は8割減の5千億円なのである。
つまり、「あれから"耐力"を付けたウチなら営業利益位は黒を出せますよ」がホンネで、内外向けの同調かもしれない。別格トヨタを除けば、他はもっと厳しいと思っていたら「ルノーは消滅する可能性ある」と遠慮ない警告がでた。
経済財務相のルメール氏は「新型コロナウイルスによる経済危機に際し国民に真実を伝えなければならず、ルノーの経営状態がどれほど深刻かを隠すつもりはない」 。
ポストコロナという今後の世界のあり様が議論されるが、そんな先のことを考えられるのは余裕のある人で、多くは足元の資金繰りや家計のことで頭いっぱい。そこで、上尾市で一番気になるのは、昨年末にボルボからいすゞ傘下に移る提携が発表されたUDトラックスのこと。過去記事 いすゞの買収_UDトラックスの行方
2.UDトラックス2019/12月期決算
産業のすそ野が広く地域経済への影響はどこよりも大きい同社の前年決算はやや改善されていた。決算公告はこちら
売上高 2592億1900万円 (+1.06%)
営業利益 32億4600万円 (+193.49%)
経常利益 29億円 (黒字回復)
純資産 215億円(+103億円)
数年ぶりに売上高が増え、営業利益は三倍の33億円、経常利益は二年ぶりに黒字回復した。ただし、増収幅は1%(27億円)と少なく、原価率を0.8ポイント下げたことで営業利益の増益につながっている。その営業利益率が1.3%と低いままなのは売上高(販売)の低迷だろう。逆に、今の売上水準をノーマルとするならば販管費の一層の削減は避けられない。
自己資本比率が2~3%台から7%へ跳ねたのは特別利益によるところが大きく、収益力の大きな改善がないままでは総資産の80%を短期負債に依存する状態からは抜けられない。この決算では売上が10%減ったら厳しい。
同業他社も 東南アジアで生産停止になって大変らしい。HPによれば、バンコク工場は5/4から再開。上尾工場は操業していたが5/27~6/12を停止する。
受注生産の場合はしばらく受注残をこなせば良いものの、世界的大混乱で今と先の両方が読めない(いすゞは決算発表を1カ月も遅らせた)。バスは観光需要が消えたが、トラックは物流に不可欠なのでマイカーと違って需要の落ち込みは低いと思う。テレワーク化により物流が社会的インフラとして再認識されたが、そのニーズはUDが得意な大型よりも中小型市場なのではと思う。
運送業の収益性やドライバー不足は解決されないので、中長期ではトラックの自動運転化という市場が期待されるが、今は目先の仕事とカネの確保が優先だ。なにせ製造業の固定費負担は小売業の比ではないのだから、その借入には資本の信頼性が必要になる。
予期せぬパンデミックで当事者の三社がみんな大変になってしまった。5/26にいすゞの決算発表があるので年内子会社化について触れるだろうか。中長期的視点で実行されると思うが、資産査定の厳格化をすれば犠牲もでる。
ボルボが中国資本に売るなんて話はごめんだ・・・。
追記 決算発表資料より
つづく 再び丸広へ
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