« 給料減額ドミノ | トップページ | 上尾市図書館の再開に向けて »

2020年5月10日 (日)

コロナ不況と上尾市経済-3

落ち着くと、感染リスクよりも減収リスクが怖くなる

前記事1 前記事2 追記 水上公園プールは今夏中止へ 

(失敗を認めたくない)政府や官僚はPCR検査の拡大を怠たりながら、国民には家から出るな、企業には休めと言います。解除目標すら示せない延長宣言は空々しく聞こえ、「何言ってるんだ5/6までだったね」と言わんばかりに世間は動き始めました。

小池都知事に至っては「家に籠もりっぱなしだったので、疲れましたね」自粛疲れのために外出が増えたと言わんばかりですが、それは固定給保障の人の感覚、働かざるを得ない人々が多いのです。まだまだ遊興施設は閉じ、飲食店やトイレも少ないのですから遊び目的は限られます。「減収被害」に耐えられないから仕事に出るのだと思います。

1.花火大会と上尾夏祭りも中止

オリンピックの警備のために今夏の上尾花火大会は中止でしたが、来年オリンピックがあれば二年連続中止です。5月の浅草三社祭りは10月に延期、関東の祇園と呼ばれる「熊谷うちわ祭」は神事のみと伝えます。「新しい生活様式」に従って担ぎ手を2m間隔にしたら神輿は担げないという理由でしょうか…上尾夏祭りも中止です。

水上公園の”塩素”プールは大丈夫と思うのですが、県が閉鎖計画を早めてしまうのか気になります。11月の上尾市民マラソンは? とキリが有りません。感染第二波しだいですが、年内の公的イベントは自治体の存在価値が問われます。

すでに公園や博物館、美術館、図書館への制限付き利用を認めると政府も言いました。そもそもスーパーで買い物ができるのですから、不可能なわけありません。アビガンは100%ではありません、閉じこもって免疫力を低下させていたら、コロナを吸い込んだ時に助かりません。

2.インバウンド消失の影響がないのが幸い

観光資源が乏しい上尾市にはインバウンド恩恵も被害も有りませんが、市民の就業者の7割はサービス業ですから、勤め先での影響は出ているはずです。

少し前に、訪日外国人が3月は92%減となり、東日本大震災後の62%減をあっさり更新というニュースが出ましたが、関心事にはなりませんでした。むしろ、渡航制限が遅すぎたと恨む声がでました。きっと4月の減少率は99%!

「そして誰もこなくなった」。

日本からの入国制限は185国地域とあるように、世界中の航空業界は危機的です。各国で政府融資を求めていますが、豪州のバージンオーストラリアという国内二位の航空会社が政府保証を受けられず破綻したと伝えます。日経では投資家バフェット氏は航空株を全部売ったと伝え、乗客は戻らないと言います。インバウンドは死語になるかもしれません。

観光公害とまで言われたので異常でしたが、地方や宿泊、ツアー会社や観光バス等は大変です。そのために政府は需要喚起策「GoToキャンペーン」に約1.7兆円を計上します。足元のコロナ対策費が少なくて、終息後の方がてんこ盛りという批判を浴びても、(メンツが潰れるので)直すつもりは無いようです。

国内でも新幹線のビジネス客は、これからはテレビ会議浸透で減るはず。そもそも「新感染」って響きが悪い…。

3.固定費という経営用語が日常語になった

飲食店の苦境が伝えられます。売上がゼロでも支払わなくてはならないのが固定費、典型は家賃と(正社員)人件費、保険料などです。家賃を払わないと大家が困り、次に銀行が困るという連鎖が発生します。生命保険や損害保険も支払わないと解約です(生保等は6カ月延長策を導入)。

一般論ですが、正社員が多いとか設備に依存する固定費型の企業は売上減が即、赤字要因となります。反対に、仕入販売業のように変動費型の企業は売上減には変動費となる仕入れを減らして対応できますから、利益は低いけど不況抵抗力があると言われてきました。

以上は、損益分岐点と稼働率の話なのですが、この理屈が通るのは稼働(売上)が15%とか20%減った場合のことであり、半減とか9割減とかは論外です。なお、小泉・竹中の構造改革後には非正規雇用がグンと増えて全労働者の38%、流通業では6~8割が非正規です。非正規を解雇して正社員の雇用を守ることができるので企業規模を問わず不況抵抗力は昔よりも増しています。

このように固定費と言う経営用語が日常語のように浸透するのは、社会を経営的に支える意識が働くので良いことだと思っています。ただ、今起きている事態は月次決算であり、通年ではありません。ようは一か月間、売上無しでも資金繰りに耐えられるかと言う局面です。

4.手元流動性…超短期の支払い能力

3月半ばから4月そして、5月も営業自粛が解除されないのでフル二か月となると大企業でもきついです(だから工場や建設現場では稼働開始)。

現金や解約可能な短期有価証券の総額(手元流動性)に対する月商(年間売上高÷12)の倍率で支払い能力を見ることがあります。手元流動性÷月商です。手元に何か月分のキャッシュを持っているかです。

公開指標では無いために昔調べたことがありますが、ファナックとか任天堂のように一年間休んでも給料が払える会社もあります。家計なら月の生活費より何倍も持つことが望ましいのですが、企業の場合は多ければ良いという指標ではなく、一般の大企業でも2カ月程度、中小企業になると1~1.5カ月程度と言われます。

その点からも今回の休業要請は一か月が限界ですから、自粛に従わない所や再開がでるのは当然です。経営的に言えば、客が少なくて赤字でも、売価-変動費としての限界利益が得られるために固定費を少しでも回収できるからです(一杯500円のラーメンでも材料費200円を引いて300円が得られます)

欧米のように感染爆発が起きれば怖くて開けられないはずですが、PCR検査を抑制したために逆効果にもなっています。他国の例を見ている暇があったのに、今頃、家賃補助額を検討しているようです。

個人的には、人を守っても企業を無分別に守ることは良くないです。新陳代謝が進まないからです。先の豪の政府保証を断られた航空会社は平時から赤字だったようです(自力再建を目指すようです)。

つづく

« 給料減額ドミノ | トップページ | 上尾市図書館の再開に向けて »

コロナ」カテゴリの記事

上尾の経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 給料減額ドミノ | トップページ | 上尾市図書館の再開に向けて »

無料ブログはココログ

上尾市政をみつめるサイト

  • 上尾オンブズマン
    市民的視座から上尾の教育行政&市政を考えよう。 (情報公開請求により市政に斬り込むサイト)
  • はるかさん_かまちょ図書館
    上尾市民として市政とりわけ図書館問題を熱く語っています。ぜひ飛んでください。 かまってちょうだいの意ね。