緊急事態宣言は効果なかった?
実は、第一波の感染ピークは3/28だった。
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7/16の分科会報告(資料1-3)では現状をこう見ている。
・・・東京都における新規感染者数には、接待を伴う飲食店を中心とした大規模な積極的疫学調査により把握された無症候者・軽症者が含まれており、緊急事態宣言時には診断されていなかった患者(見えなかった患者)が含まれている。従って、単純に、新規感染者数のみをもって、過去の状況との比較を行うことは妥当ではない。
5/29日に専門家会議が、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を出している。
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五月末というと、宣言解除のヤレヤレ感と「新たな日常」という戦時下的なスローガンや給付金ドタバタ劇に関心が向いていた頃だ。前記事にも少し書いたが、更にとりあげる。
スライド8の「緊急事態宣言の効果について」は、(テレビ等での)報告日ベースではなく推定感染日を求めて描いたグラフでこう述べる。
・報告日ベースでは、新規感染者数のピークは4月10日頃。
・推定感染時刻ベースでは、感染時期のピークは4月1日頃。
・緊急事態宣言前(3月末)から、市民の行動変容等により、 新規感染者は減少傾向。
・緊急事態宣言後は、実効再生産数が再反転せず、宣言期間中 を通じて1を下回り、低位で維持。
つまり、感染ピークは緊急事態宣言(4/7)を出す一週間前だった。当初から二週間くらい前に感染していると言われていたことを統計的に裏付けた。繰り返しになるが、報告日ベースの感染者数とは鮮度の落ちた魚であり、日々感染が広まっている最中では、賞味期限切れに近い。
なお、図の人数ピークは3/28日だから「感染ピークは3/28日、宣言の十日前だった」と書くほうがインパクトあるのに、本文は4/1日頃と後ろ倒しする。これは実効再生産数(曲線グラフ)が1を切った日を採用したようだ。西浦教授による分析なのだが、同氏の報告では5月初めには分かっていたよう。つまり、接触8割減が未達でもピークアウトしていたのだ。また、大阪府も独自に求めて同じ3/28日になっている。
●大阪府の感染ピークも3/28日だった (6/12日経)。
府はウイルスの潜伏期間を踏まえ、患者の「推定感染日」を集計した結果、3月28日に感染拡大のピークを迎えていたと分析。府は発症6日前を推定感染日と定義。
緊急事態を出す前に感染はピークを打っていたという事実を広めないのは、「緊急事態宣言はオーバーだった」と見なされるのを避けるためなのだろうか。
宣言前に減少していた理由らしきを、『三月末から、市民の行動変容等により』と書いている。当時は、欧米の惨劇報道や志村けんさんの死もあったり、国民の恐怖感が高まっていたから、お上が言う前に自粛し始めたのが効果あった、と言うのだろうか。
じゃあ、あの壮大な緊急事態宣言と休業で四苦八苦状態は何だったのか。接触七割減の達成はターミナル駅前くらいだろう。おまけに5/4日の期間延長なんてバカみたいなものにならないか!?
実際は、明確な理由は分からないようだ。クラスター対策が効果あったとも言うし、よく分からないから「ファクターX」を持ち出したり、三月からの外国人への水際対策という人もいる。
しかし、ハッキリしたことは日本のクラスター対策は検査拡大をすると追跡負荷が増えるために検査数を絞った。それが裏目となり、第二波のタネ火となる無症状者を温存した。冒頭に引用した一文はそれを認めている。初の自然災害として緊急事態宣言を出したのは仕方ないが、せっかく経済(企業)を休ませたのに、その期間に大規模検査をしなかったことは失敗であり、第二波の人災となった。
今、政府は、二度と宣言を出したくない立場に変わったから、「ビーク3/28日」は都合の良い事実なのに、表立って使う様子は無い。前の判断を間違いと見なされるから使わないのか。安倍政権はジレンマに陥っているのだろうか。
実はそうでも無さそうだ。
本来は感染症対策なのに、もはや政治的テーマになっている。
例えば、世界最高の疾病対策センター(CDC)があっても、アメリカは感染爆発である。
つづく
関連 新型コロナウイルス感染・・・その先には(かまちょ図書館)
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