前記事のつづき
政治家は言葉で説明する専門家のはずですが、日本の首相は「はぐらかす言葉」のみを使い、本音を隠します。それで通ってしまうのは、問題に向き合わないで曖昧なままやり過ごしたい日本人の体質に合うのだろうと思います。
8/17日の民主党大会でバイデン候補を応援したミシェル・オバマ前大統領夫人のスピーチが評判です。政治家ではありませんがスピーチ達者としても有名です。下のタイトルに「激烈」とありますが、やさしい言葉で静かに警告しています。長いので部分引用です。
●全訳 ミシェル・オバマが放った冷静かつ激烈なスピーチ
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私は大統領という職業の計り知れない重さと畏怖を起こさせるような力を直接知っている一握りの中の1人です。ですから改めてこう言わせてください。この仕事はとても大変なものです。明晰な頭で判断し、複雑かつ矛盾することに精通し、事実と歴史に目を向けること。道徳的規範と人の話に耳を傾ける能力、この国の3億3000万人の命には意味と価値があるという不変の信念。これらがすべて必要なのです。
大統領の言葉には市場を動かす力があります。戦争を引き起こす力がある一方で、平和をもたらす力もあります。大統領の言葉は私たちの中の善良な天使を呼び集めることもできれば、最悪の衝動を目覚めさせることもできるのです。ごまかしながらこの仕事を乗り切ることはできないのです。
●一般投票では300万票の差で負けた人物
・・・(四年前の)結果がこんなに接戦だとは思わなかったのかもしれません。・・・原因はなんであれ、その選択が一般投票では300万票の差で負けた人物を大統領執務室に送ることになったのです。
大統領選の結果を左右した州の1つでは、勝敗を決めた得票数の差が1選挙区当たり平均2票でした。2票です。私たちはこの2票がもたらした結果を耐えて生きているのです。
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●権力が「強欲は善だ」口にするのを見ている
子どもたちは食料品店で大声でわめいている人たち、みんなの安全のためにマスクをつけるのを拒む人たちを見てきました。自分のことをしているだけの人たちを肌の色を理由に警察に通報する人を見てきました。
権力が「一部の人だけがここに属している」「強欲は善だ」「自分がトップにいる以上、勝つことがすべてだ。他の人たちに何が起きようと関係ない」と口にするのを見ているのです。そして共感の欠落があからさまな侮蔑へと勢いを増したときに何が起きるのかを見ています。
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人種や年齢、宗教、支持政党に関わらず、騒音や恐怖を締め出し、真に心を開いたとき、この国で今起きていることは正しくないと認識できるのです。これは自分たちのなりたい姿ではないと。
●ドナルド・トランプは私たちの国に相応しくない大統領
この4年間、私は多くの人から聞かれました。「相手のレベルがこんなにも低俗なとき、それでもまだ高いレベルで立ち向かうのが有効なのか?」と。
私の答えはこうです。「高いレベルで立ち向かうことが唯一のやり方です」。もし私たちも低いレベルに落ち、相手を貶め非人間的に扱うという同じ戦術を取れば、私たちもすべてのものを消し去る醜い騒音の一部になってしまうから。私たちは自分を、そして私たちが戦っている大義そのものを貶めることになるのです。
でもここで明らかにしておきましょう。高いレベルで立ち向かうということは悪意や残酷さに直面したとき、笑顔を浮かべて親切な言葉を口にすることではありません。高いレベルで立ち向かうというのはより困難な道を行くことです。・・・・・神の下の一つの国であることを心に留めながら憎悪に断固として立ち向かうこと。・・・・
高いレベルで行くということは、私たちを真の意味で自由にしてくれるもの、つまり冷徹な事実によって嘘と不信という足かせを外すことなのです。
ここで正直に、そしてはっきりと言わせてください。ドナルド・トランプは私たちの国に相応しくない大統領です。・・・・
●私たちを投票させまいとしている
・・・・・公正でごまかしのない手段では勝つことができないとわかっている人たちが、できる限りの手段を講じて私たちを投票させまいとしているからです。彼らはマイノリティの人々が住む地域で投票所を閉鎖しています。有権者名簿を処分しています。有権者たちを威圧するための人を送り出し、投票のセキュリティに関して嘘をついています。こういった戦術は今に始まったものではありません。
・・・・・中略
歩きやすい靴を選び、マスクをし、夕食を、もしかしたら朝食も紙袋に入れて持って投票所に出かけなくてはなりません。なぜなら、私たちは必要なら一晩中並ぶこともいとわないからです。
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