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2020年10月 5日 (月)

大統領選のテレビ討論会にみた今のアメリカ

テレビ討論会の前に討論に勝利したと支持者にメールする男が次にやること。

10月7日には副大統領候補者のテレビ討論会、10/15と10/22にも大統候補者のテレビ討論会が予定される。


NHKの生中継は両候補者と司会者の三人に対し、三人の同時通訳がついたらしい。トランプ氏の横やり発言が酷すぎて六人の声が入り混じったトンデモナイ中継だった。

ネット(TBSテレビ)にしたが似たようなものだった。次に、Abemaテレビにしたら比較的聴き取り易かった。AIポンタという自動翻訳も流れるのだが、翻訳精度はとても悪かった。通訳者が早口で話さざるを得なかったためだろう。

 それでも面白かった。

普通はシナリオを描いて模擬演習をするはずだが、トランプ氏が人の意見を取り入れた練習をするかは疑問だ。相手の発言中に横やりを入れるのは、怒らせるためだった。その挑発的ケースを想定していたらしく、バイデン氏はカメラ目線を貫いた(キレそうになった場面もあった)。視線を交わさない姿が弱く見えるという人もいるが、対面していたら低俗な口論会、或いは場外乱闘で終わっていた。

「史上最悪の討論会」として両者を批判する意見もあるが、それは過剰な公平感だと思う。「不規則発言が多い」という見出しもあるが、それも正しくない。相手の発言を乱す妨害行為である。そもそも討論会と言っても、よい結論を得るためではなく相手をやり込める場であり、そのプロセスからいかに好感を得られるかを演じる場なのだと思う。

BBCはトランプ氏がバイデン氏の発言に割り込んだ回数を73回と伝えた。

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司会者が注意してもトランプ氏は最後まで改めなかった。『マイクをオフ』にしないのは、そうするルールが無かったためだ(次回からそうするようだ)。ようするに、今まで討論会ルールを破る候補者など一人もいなかったからだ。司会者は保守系Foxニュースの人だから、共和党の人からも恥ずべき人ということになるからこそ、隠れトランプ支持者がいるのだろう。

実は4年前のTV討論会で、ヒラリー氏の発言中にトランプ氏は壇上を歩き回り、彼女の背後に立つという行為をした。「とても気持ち悪かった」と彼女は後に述べていた。今回、ソーシャルディスタンスのルールが無ければまた繰り返したかもしれない。

喩えれば、授業中に歩き回り、大声を出して他の子の勉強を妨げるような子供なのだ。実際そう振る舞った。

Abemaテレビの中継はその後CNNスタジオでの論評に切り替わり、討論を妨害した、最初の約束を果たしていない、倫理が無い・・・・とトランプ批判が続いていた。アメリカのマスコミは意見を鮮明にするから、ニューヨークタイムスやワシントンポスト、CNNはトランプを遠慮なく批判する。しかし、FOXニュースは「驚きがなかった」、「有権者の投票に影響を与えるようなことは何も起こらなかった」と論評している(こちら)。

  • 見たいものだけを見る時代

討論会後の調査は、CBS放送がバイデン48%、トランプ41%。CNNは同60%、28%と伝えているが、2016年の第1回討論会後の調査とほぼ同じとも言われる。当時は62%がヒラリー氏、27%がトランプ氏だった。討論会の視聴者は米国民全体よりも党派色が強く、通常調査よりも民主党支持者が多く、39%が民主党、25%が共和党を自認しているという。

 ところで、野村リサーチの木内エコノミストのレポートにはこう書いてあった。

トランプ大統領は、今回のテレビ討論会の数時間前に支持者向けに、討論に勝利したとのメールを送っている。つまり選挙後には結果を待たずに支持者に向けて勝利宣言を出すかもしれないのだ。

これが今のアメリカなのかも知れないが、決して笑えない。

つづく

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