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2020年11月 8日 (日)

トランプ大統領が善戦したとは思えない理由

そもそも現職大統領は初めから優位なのに、善戦ってヘン。

前記事 パイデンが306人、トランプが232人

 一国内だけの争点ならどうでも良い選挙なのだが、アメリカは世界に口も金も軍も出す国だから、気になるわけだ。世論調査ではいつもバイデン氏がトランプ氏を上回っていた。差が逆転することはなく概ね5~8ポイント位あった。

 バイデン当選確実後(279)の得票シェアは50.6%47.7%だった。世論調査の差を半分に詰めている。この点からはトランプ氏は善戦していると評する人がいる。でも、彼はチャレンジャーではない。現職が善戦ってヘンだろう

 他にも、なかなか結果が判明しないことや、(民主と共和に毎回揺れる)スイング州と呼ぶ複数州でトランプ票が先に開いて優勢に見えたことや接戦になったことも健闘を印象付ける(NHK、他の多くの州では政党地盤が固定化している) 。でも、それらは開票に手間のかかる郵便投票の多さによる影響もある。

 ちなみに、(州によると思うが)開票作業の人たちはボランティアらしい。この際、民主主義のエッセンシャルワーカーだと言いたいが、開票を止めろと煽るトランプ氏と仲間はダークサイドに堕ちている。

アメリカの大統領選挙では現職が圧倒的に優位である。

最近はクリントン、ブッシュ子、オバマの三人が再選をしている。どこの選挙でも現職が優位なのに、トランプ氏は世論調査からして劣勢だった。それを選挙で半分埋めたことを健闘と言うのだが、今回は共和党に有利な選挙制度で負けた。

Wikiより 当選者 選挙人 得票率  敗者 選挙人 得票率
2016 トランプ 306 46.0% ヒラリー 232 48.1% -2.1%
2012 オバマ再選 332 51.1% ロムニー 206 47.2% 3.9%
2008 オバマ 365 52.9% マケイン 173 45.7% 7.2%
2004 ブッシュ子再選 286 50.7% ケリー 251 48.3% 2.5%
2000 ブッシュ子 271 47.9% ゴア 266 48.4% -0.5%
1996 クリントン再選 379 49.2% ドール 159 40.7% 8.5%
1992 クリントン 370 43.0% ブッシュ父 168 37.5% 5.5%
1988 ブッシュ父 426 53.4% デュカキス 111 45.6% 7.8%
  • 誰が見てもヘンな選挙制度のまま

 民主党は二回も大統領の椅子をフイにしている。トランプ氏で二回も続けたら暴動ものだろう(郵便投票は不正、選挙制度は正しいというのがトランプ氏だ)。

州ごとの選挙人の数も昔の奴隷を3/5人で数えた名残とし、人口比で選挙人を配分するとカルフォルニアやニューヨークのような民主党が圧倒する大人口州が飛びぬけるようだ。選挙制度を直したら共和党から永遠に大統領は生まれないとさえ言われる。そして人口比例にすれば、一部の州の接戦が全体を左右することもない。それなのに、民主党が選挙制度を変えようとしないのは、相当なパワーが必要になるのかもしれない。

 ・人口動態による変化

 全国的な出口調査がアメリカのニュースサイトで見られる。人種、宗教、学歴、収入など日本では考えらない多くの個人情報で有権者をプロファイリングする。

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 地方の衰退と都市への人口移動、非白人の増加による白人人口が長期的にマイノリティ化するのは分ってる。それ以上に、若者がバイデン支持に傾いたように、彼ら世代の広がりと世代交代が共和党には不利だ。

 こういう環境下なら、共和党は穏健な保守政党としてすそ野を広げればよいのに、白人層の将来不安に付け込んだトランプ的な人間観を丸出しにすることで溜飲を下げている。

 本日バイデン氏の勝利宣言を見た。77歳の老人が、暗がりをスーツ姿で壇上まで走ったのには驚いた。一方のトランプ氏は前から「負けを認めない」と言っていた。から元気も男らしさのうちなのだ。法定闘争も予想通りだが、一月まで任期中に外交で「とんでもない事」をしでかさないだろうか。

 なお再集計のコストは依頼側が負担する(州による) というのは流石、アメリカらしい。

菅首相がトランプに気兼ねせずに早々にバイデン氏に祝意を表したのは意外だった。

安倍さんならどうしただろう…

バイデン氏なら首相訪米は見送り トランプ氏なら早期にお祝い

12/21 4.5%ポイント差だった 81,283,098票(51.3%)、74,222,958票(46.8%) 

 

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コメント

お変わりないですか。
標題の人数、貴兄がblogに書かれたようになりましたね。確かに結果的にこの数字は、とても接戦とはいえないのでは?
ただ、これだけの得票を何と考えたらいいのか。家内の末弟は外交官(すでに退職)でロスにも赴任したことがあり、当時麻生さんのように「アメリカ人の民度が低い」ことをさかんに言っていました。銃規制のない国で、貧富の差が極大化して暴動が起こるのでは?一方中国は焦りすぎ
ではないのかと思うのです。
アメリカ社会の実態は、トランプやサンダースが代表していて、足して2で割るようなわけにはいかないところまできてしまっていると想像します。
菅総理は、あるいは安倍さんより明確に縮小均衡の意志を持っていそうに思います。しかし、政治は企業ではありません(切り捨てて均衡を図るのでは政治ではない)。共産党をはじめ革新系は、自民党とその応援団に比べて研究不足で、もっと地に足の着いた対抗策を研究すべきです。
ひと昔前、10年先の日本は今のアメリカを見れば分かる、と言われました。

教育の質の低下が今の政治に反映していると思います。
自分の小・中・高の学生時代は、現在の学生以上に、学習量があり、プラスアルファで塾で勉強していたと思います。
中学で高校の範囲を教える教諭もいました。今じゃありえないね。陸士学校卒の経歴の教諭もいて、PTAの役員は校長より尊敬してたよ。
校舎まで右翼の街宣車が来た時代です。
かつて、女性は短大まででいい。大学いっても屁理屈学ぶだけ(という訳ではないでしょうが)だから、4大卒は就職に不利なんて時代、今じゃ就職差別もいいところですが。
学術会議の在り方の議員のメンバーを見てください。
教養のある代議士はあまりいなさそう。
そういうとりまきに支えられる、菅さんの学識ってどのくらいかな。
大学の成績表みせてくれないうかな。Aとか優、いくつあるんだろう。
学識会議のメンバーに喧嘩を売るくらいだから、相当勉強してるんじゃないでしょうか。

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