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2020年11月 1日 (日)

人口減少の悪いニュースと良いニュース

来年は出生数80万人割れへ加速し、今後も三年間で十万人減か

追記 下表の2020年欄。  前記事 上尾市の少子化推移 のつづき

2019年の赤ちゃんが前年比5・8%減の865千人と急減した。大きな社会事変も無いのに、あっさり90万人を割った。

データ 出生数 合計特殊出生率 減少人数 減少率
2017 946,146 1.43 -31,096 -3.2%
2018 918,400 1.42 -27,746 -2.9%
2019 865,239 1.36 -53,161 -5.8%
2020 840,835   -24,404  -2.8%

上表では三年間で11万人も減っており、ピッチは予想以上に早い。で、今年も気になるが、その先の来年の出生数80万人割れという記事があった。

読むと、妊娠届”(母子手帳交付)による推定だった。「感染不安が高まった3月ごろに妊娠した人が届ける5月~7月まで前年を1割超少ない」と伝える。出生数の先行指標というわけだ。

去年は令和婚ブームで7年ぶりに婚姻数が増えていた(+1・2万組)。それなら今年は期待できそうだが、去年の妊娠届は3万件も減っていた。果たして、年間70万人台へと落ち込むことに社会は耐えられるのだろうか。

「前門の虎、後門の狼」ではないが、日本の人口問題とは、高齢者の増加と少子化という挟み撃ちに合って立ちすくんでいる様だ。

●日本の少子化問題と対策

扇動的な安倍首相は少子化問題を「国難」と呼んだ。間違いではないが、口先だけだった。でも、日本は2003年の少子化対策基本法から始めているので、まだ日が浅い。少子化対策の手本と言われるフランスの家族手当の原型は100年前に作られている。

この間、待機児童対策、子育て両立、男の育児参加、保育無償化、児童手当増額などをやってきた。しかし日本の人口問題とは高齢者人口の増加への社会保障が先にたち、少子化への優先度は低い。だから合計特殊出生率は2005年の1.26が最低、15年の1.46が近年の最高値である。

菅首相は早々に不妊治療の保険適用を打ち出した。早くても二年後らしいが、詳細はまだ不明だ。仮にフル適用すると1120億円という。 探しても、効果としての出産の期待人数は分からなかった。そんな数字を持ち出すとリベラル勢力から「産む機械か!」と叩かれるためだろうか…。そうなら、税の使い方としては説明が必要なのに議論が窮屈な時代になっている。

少子化対策としての効果は小さいのだろう。「人に優しい政策をしてますよ」とPRし、野党の福祉政策を先取りして潰す選挙目的だったりする。かつて野党の時に、民主党の幼児教育や保育の無償化を「バラマキ」とケチ付けたのに、それを安倍さんは選挙目的でやった。

●東京からの転出超過が起きた

 もう一つの人口動態である、転入・転出には次のニュースがある。東京都が単月で転出超過となったのは5月と7〜9月である。

安倍首相は「地方創生」と囃して東京圏の人口を抑えようとしたがかえって集中した。どれだけの予算を投入したのかは知らないが、インフレ目標や少子化対策と同じく成果が出ていない。それでも失敗を認めるわけにはいかないから政策は続いている。

その関連で、東京の私立大学集中の是正や入学定員厳格化があった。前者は、都心の新設学部の容認を抑制することだった。後者は合格者を多く出して地方からの学生を吸収していることを正すものだった。

国の政策としては正しいが、国会議員の小池さんは知事になったら反対した。部分最適(東京)を優先したわけだ。

でも、この政策は効果が無かった。

既に、都内の大学は首都圏子弟のシェアが圧倒的だった。多摩地方にキャンパスを構える移転策が、通学不便となり失敗だったことに現れてる。また、地方経済の衰退は生活費まで出して東京に送り込める親を減らした。それでも上京する層は、魅力的な雇用が地方に無いためだから金を出しても来るわけだ。

今の東京からの転出現象は画期的なのだが、政策ではなくコロナによるものだ。超過数はまだ三千~五千人弱と微々たるものだから、企業の郊外移転やオフィス縮小が目に見えて起きてこないと構造的な変化にはならない。

参考 下図は、NHK 4月から半年間 一極集中に是正の動きより

Photo_20201103100901

まだ珍しいケースなので郊外移転が話題になる。引っ越し先に好まれるのは比較的近間のリゾート地である。郊外の単に地価が安いと言うだけの街は選ばれず、素通りだ。ちなみに出生率は東京都が最低で南の県ほど高い(ただし2を超す所はない)。

一方で、コロナが収束し地価やオフィス賃料が安くなっていたら、チャンスとばかりに集まる人や企業も現れる。香港からの避難富裕層のような海外勢も来るだろうから、十万や二十万人減った所で過密がもたらす危険度が減るわけでは無い。

誰が考えても、コロナより怖いのは首都直下型地震である。

新型コロナは百年に一度のパンデミックなら、首都直下地震は30年内にいつ起きても不思議の無い災害なのに、国は五輪を、都はタワマン容認の再開発で人口誘致になっている。昔言われた首都機能移転はタブー視である。

東京都は、コロナ対策で貯金9千億円のうち8千億円を使い果たした。余裕のある都市では無くなった。

長期的なことが苦手な日本である。

つづく

 

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