トランプはソシオパスである
世界で最も危険な男(メアリー・トランプ著)
トランプ大統領の兄の娘、臨床心理学の博士号を持つメアリー・トランプ女史によるトランプ一族の精神構造を告発した本だ。ドナルド・トランプを反社会性人格障害であると断言し、その生い立ちから今をクールに綴る。
(本書p30-31) 彼は反社会性人格障害の判断基準にも当てはまっている。この障害が重度の場合、通常は社会病質者(ソシオパス)として判断されるが、別のケースでは犯罪常習者や、傲岸で他者の権利を無視する人の場合もある。依存質感はあるのか? おらそくあるだろう。ドナルドは依存性人格障害の診断基準のいくつかにも該当しそうだ。・・・・
日本だと名誉棄損になりそうだ。トランプ氏は出版停止を申し入れたが裁判所は出版許可をだした。
大学の替え玉受験とか父親の汚れ仕事を手伝っていたことなど、身内でしか知り得ない事も赤裸々にあるが、惜しいかな家系図が無いので人間関係の所が??となりやすい。(主要人物名には注釈付きだが)
父フレッド・・・長女マリアン、長男フレディ(著者の父)、エリザベス、次男ドナルド(大統領)、三男ロバート、もう一人?。多分こんな感じだ。さらに親戚や友人、政治家名もでてくる。
全ては、父親フッド(住宅建築王)から始まる。共感力が無く、平気で嘘をつくとか他人の人権を無視するなどのソシオパスだと書く。完全な父権主義らしく、「女は生まれつき男より劣っていると決めつける性差別主義者」ともある。その影響から子供を守るべき母親は病弱であったために守れなかったという難しい家庭だ。
身内の悪口を綴った本ではない。専門家らしく冷静で心理分析に長けた内容である。最後ではコロナ対策にも批判をしている。なお、著者の父はトランプ一族の長男だったが跡取りになれなかったことや早死にし、ドナルド氏とは相続争いの関係もあった。
政治的なアンチ本と見なされると価値が落ちてしまう。「トランプ本」というジャンルがあれば一番傑出した本かもしれない。今後、トランプ大統領の伝記本は出版されるのか? 引退後にゴーストライターに書かせればできるし、元大統領として一回数千万円の講演生活もできるだろう。
分厚い本なので、日めくりカレンダーみたいに眺めただけだった。
今更読んでも仕方ないことを願っている・・・。
●日本人でトランプを推す人が多い理由
安倍さん支持者はトランプ支持である。一番の理由は人柄には目をつぶり、中国にケンカ腰をとる姿に惚れている。でも国内求心力や選挙目当てで中国を敵視しているから、通商交渉なんて結局はカネで買える次元だ。理念や長期視点はなく目先の損得だけ、というのはこの本にもある。
防衛装備を拡大したい人達はトランプが好きだ。危機を煽り武器を買えと言うから。
人種差別主義者だから彼の脳内での序列は黒人も黄色日本人も似たようなものなのに、大阪なおみさんの抗議姿を批判する日本人の脳内は、白人、日本人の順で心地よいのだろう。相変わらず日本は属国向きである。
ところが中国はトランプとバイデンのどっちが良いと思っているかは非常に難しい。
トランプ大統領は西側同盟を弱体化し、国内も混乱させることで世界におけるアメリカの地位を衰退させるから、中国には都合が良いという日本の中国問題アナリストもかなりいる。
コロナ禍の日本はサービス業が干上がっており、製造業が相対的にマシだ。その製造業で業績が良い会社は中国経済依存で飯を食っている。
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