京都市が財政破綻で第二の夕張?は衝撃ではない
人口減少よりも先に襲う危機。財政規律を守らなかった自治体の行方
追記 21.5/26 「将来負担の重さ」ワースト1位 (読売新聞)
外国人が99%も減ったけど、秋に、京都市が「世界で最も魅力的な都市」に選ばれた。しかし二か月後には華々しい姿に似つかないニュースがでた。
秋口から、あちこちから来年度予算の財源不足が伝えられている。埼玉県は1475億円の財源不足で過去15年で最大とか。神奈川県は1100億円、横浜市は970億円、川崎市は今年度の税収不足200億円…キリがない。
京都市は500億円の不足と言うが、財政不安は十年前から指摘されていた。基礎疾患の人がコロナで危ないように、自治体も同じになっている。このままだと、どうやら1400億円ある基金(各種貯金)も底をつき、2028年には企業の倒産に例えられる財政再生団体に転落する。そうなると予算編成権は総務省になり、市独自の政策は止められるだろう。

かの夕張市は職員260人を100人へ、議員は18人を9人へ減らし報酬は40%カットしたという。水道代も値上げ。軽自動車税は1.5倍になるなど、税は法的な上限値まで高く設定されるらしい。それでも先行きは分からない。最近、マルハニチロの工場閉鎖が伝えられた。
京都の件で驚いたのは、トンデモナイ資金繰りだった。
どの自治体も不測に備えるための貯金として財政調整基金を持っている。京都市は去年、全額取り崩していた。それは39億円と市の規模にしては少ないので、毎年のように取り崩してきたのだろうと思う。ちなみに、5月頃に各地で休業補償が支払われたが、京都市はカネが無いから協力金はゼロで、京都府の分しか出なかったらしい。
話は東京都になるが、一兆円もあったものを小池都知事は後先考えずに大盤振る舞いして残りは一千億円もないらしい。これでは首都直下地震の時はムリだわ。
でも、驚いたのはそれじゃない。米櫃の底が見えるように財調基金が少ない例は他にもあるからだ。京都市は、それでも足りないとして「公債償還基金」まで取り崩していた。それは借金返済用の貯金である。つまり、住宅ローンの返済資金を生活費に回していた。新聞では「禁じ手」と書くが、麻薬みたいにやっていたのだ。

●京都市が財政悪化となった原因とは
夕張市は産業衰退で財政が弱いにもかかわらずテーマパークを造るという放漫行政と粉飾決算をした。そんな田舎の行政レベルと比べて、京都は文化芸術と伝統、大学も集積して市民の知的水準も高い。国際的な優良企業が多いことでも有名だから、どうしてこうなったのか不思議だ(ロームや京セラは各50億円でネーミングライツを得ている)。
左派が強いためラスパイレス指数103という高さから職員人件費や扶助費拡大が原因かと思ったが、それだけでは無いようだ。総工費600億円の中央市場、350億円の市役所建て替え、100億円の美術館、250億円の芸術大学移転などが指摘されていた。もっと前から市営地下鉄事業もある。
その結果、借金が標準収入の2倍もあり夕張市を先頭にしたワースト常連だった(将来負担比率)。行政の投資事業は収益を生むわけでは無いから、いくら現市民に喜ばれても、返済が出来なければ後世市民にしわ寄せがいく。
前からあった問題なのに一部の人しか関心を寄せなかったが、コロナが世間に認知を迫ったようなものだ。京都市も、「収入の不足を負担の先送りで穴埋めし、歳入を上回る歳出を維持(社会福祉の充実,防災減災対策の推進等)」と認める。そうした歳出の成果は、民間の「日本の都市特性評価」や「SDGs先進度調査」で首位になるなど,まちづくりは高く評価されたとも書いているが、SDGs推進で財政破綻じゃ矛盾する。SDGsが理念的すぎることが伝わる。
しかし、文書タイトルに「本市の財政状況が非常に厳しい状況に至った要因」と書くように、行政が決して「悪化」と認めない姿は、コロナ対策の政府にも通じると思う。どこか、責任逃れ感があるのだ。
4期目の京都市長は改革として、▽国の水準を上回る事業の見直し▽若い世代への財源の再配分▽公共施設の最適な管理▽投資的経費の計画的な執行▽人件費削減▽繰り出し金の見直しを挙げている。
たしか、ネットでは「神社仏閣から税をとれ」が支持を集めていた(笑)。固定資産はタダ同然かな?
●コロナ禍による一時的か、慢性的なものかで違う。
財政再建には収入を増やすか支出を減らすかの二つしか無い。収入増の近道は増税、支出減とは行政サービスカットである。
各自治体が直面する財源不足が一時的な原因なら、大型事業の一時凍結や時限的な議員報酬や職員給与のカット、市民サービスでは付加部分をカットなどだろう。慢性的な不足なら本格的な自治体リストラが必要だ。市資産の売却、人件費は給与テーブルから見直す、公共事業も削減、受益者負担の徹底など市民サービスも聖域扱いしない、ハズだ?
当然、役に立たなかった議員達は報酬大幅減だ。
つづく 上尾の資金繰り財政
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どこで我が町の内容に転じるかと興味深く最後まで読みました。
次号に期待。残額数円の通帳の記帳記録が知りたいです。
京都市といえば、共産系の教育・福祉・同和に予算大盤振る舞いのイメージです。
私の京都も思い出も高校の修学旅行。京都宿泊で行先自由のグループ別自由行動です。
バスガイドの実家に下宿目的で大学を京都に決めた先輩もいたらしい。
昔の我が町も「教育」の町。友光市政は、「15の春を泣かせるな運動」を推進し高校を濫造しました。そのため、しまむら・たなか元市長・議長並みに勉強しない生徒以外はどこかの公立に入れる幸せな街でした。高校の数半端じゃなかった記憶あり。
京都市は最後は府が、国が、お寺が助けてくれるかもしれませんが、
我が町は在来種の市有力者が悪事を働き、イオン、アマゾン、ハタ坊はあてにできないことから、
まじめに勉強して、市外の学校に進学し、正しい政治判断をできる市長が誕生後、
市役所のクソ職員の処分、コネ就職禁止をするまで改革は無理だと思います。
投稿: 本好き | 2020年12月29日 (火) 15時16分