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2021年2月12日 (金)

メイドの手帖…掃除婦は書いた

最低賃金でトイレを掃除し「書くことで」自らを救ったシングルマザーの物語。

2019年にオバマ元大統領が夏休みに読むべき推奨本に挙げたことでベストセラーになった本。NETFLIX化。

Photo_20210211235101現代アメリカの底辺から、白人女性が赤ん坊を抱えてホームレスになりながらも、メイドとして掃除を掛け持ちしながら逞しく生き、清掃作業の四つん這いの世界から這い上がり、学位取得へ向かった著者の実話。

生活保護制度への受給者ならではの指摘、DVのトラウマ、見放された親との愛憎、周囲からの偏見、保護を受ける側にいる葛藤、預金残高と請求書のカツカツの話し、子供への自責の念などが切々と綴られている。

著者のステファニーは、若気の至りで付き合ったパートナーからDVを受けながらも彼の子を出産。離婚した両親からの援助も得られず赤ん坊を抱えてホームレスシェルターへ避難した。福祉の助けで何とか救われるが、一人親であることの惨めさから逃れるために新しいパートナーの農家へ転げ込む。

しかし、農家の嫁のように働いても自由になるお金は得られず負い目を抱く日々から抜けるためメイド(掃除婦)の派遣会社に身を置く。最低賃金(9ドル)で働き、少しでも稼ぎたいために自らクライアントを開拓するなどハードワークの日々に埋もれていく。

本書の多くは、クライアントの家の清掃を通して、彼らが豊かそうでも内面は幸せではないと観察するなど、汚れぶりや家主らの人間模様を巧みに描いている。
個々の家には「ポルノハウス」「観葉植物の家」「シェフの家」「悲しい家」「ピエロの家」などあだ名をつけて呼んでるのは、メイドという立場が人間的な扱いを受けないためなのだろうか(自分を見えない幽霊と言う)。彼女を人として扱ってくれたクライアントもいたがそれは稀だ。

彼女の暮らしにはいろいろな困難が訪れるが、7種の複雑な福祉プログラムを申請するように賢く、粘り強く、落ち込んでも向上心があり、時には人の優しさを助けに乗り切っていく。しかし、小説のように大きな山場があるわけでは無い。黒カビが絶えない家での暮らしが愛娘ミアの病気を深刻にすることやマイカーが追突されて大破した事故(仕事を支える車を失う)の辺りが一番辛い局面に想えた。

 著者のステファニー・ランドさんは子供のころからの夢であった作家として、この本でデビューした。今は、助ける側の活動もしているという。生活保護への受け止め方は日本もアメリカも関係なく普遍的だと感じた。

---- stephanie land blog

Netflix

410頁という長い本は苦手でしたが何とか読めた(毎日50頁なんてムリ)。書かれている時期は2008年頃からの五年間位らしいです。

ところで、日本では自宅の掃除は自分でするのが当たり前です。他人に掃除を依頼することは稀。せいぜい年末のダスキン等でしょう。ですから、アメリカの習慣が理解しにくかったのですが、あとがきの渡辺由佳里氏の解説が秀逸でした。アメリカ暮らしの時に自分でトイレ掃除していたら「貧乏なの?」と言われたそうです。

アメリカではメイドを雇うことは一種のステータス、経済的に成功した女性は自分でトイレ掃除をするものではないという風潮がある。トイレ掃除は男社会が女に押し付けた汚れ仕事であり、奴隷制度や貴族社会の名残。だから、職業選択の自由度がない有色人種や移民の女性が掃除を担うことになる。ところが、白人女性達には恵まれない人を雇ってあげているという選民意識があるのだと言います。

 

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コメント

流石にオバマだと思う反面、人々がこういう英雄であることをバイデンも期待するのだろうか。表現は悪いがトランプの支持者も、サンダースの支持者も、もっともっともっと切羽詰まっているはずではないのか。民主主義が衆愚政治になりかけている、いや既になっている?

アメリカ人は、この英雄を、ロールモデルとして「大したもんだ。偉いなぁ」と感激しているばかりではないことを信じる

アメリカは広く多様な国なので、ベストセラーと言っても、日本とは相当違う扱いだと思う。苦労して這い上がる手本、アメリカンドリーム扱いされているとは思えませんね。むしろアメリカの下層社会を女性の視線で描いたことと福祉制度の瑕疵を訴えたことが評価されているのではと想像します。著者blogへのリンクでは自動翻訳されます。

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