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2021年2月21日 (日)

上尾市2021予算-1 労使交渉という名の無観客芝居

全職員2%カットで1億6千万円の削減を求めたが、二労組の反対で管理職のみ3千万円削減へ

予算-0の続き 予算削減の第一波 上尾市年収は1788自治体中で446位(東洋経済へリンク付) 公務員年収のトップ100・ワースト100(プレジデント) 文末に追記。


 昨秋には新年度予算編成のための支出見直し方針が作られ、人件費の見直しもあった。しかし、結果は年末記事の予想通りだった。交渉結果を伝える1/28日の機関紙から以下に要約した。交渉は二労組の各代表者、総務部長、次長、職員課長である。文中の( )内は当方加筆。

削減額 対象1496人 管理職201人
給料 -111,730,296  
地域手当 -6,695,385  
期末勤勉手当 -47,252,189  
合計 -165,677,870 -30,000,000

27日夜、「コロナ禍を理由にした全国に例を見ない賃下げ」問題をめぐって、自治労連と自治労は合同で市当局と3回目の団体交渉を行い、当初の提案を見送って前回交渉で新たに出された「全職員(現業職を含み、会計年度任用職員は除く)、給料2%減額、1年間」を押し戻し、「対象を管理職のみ」とすることで最終的に決着し、労使合意としました

●労組の主張

1回目の交渉では「給料表の切替え、期末勤勉手当等」の提案があった。2回目では全職員2%案が出されたが、今3回目の冒頭で市から「管理職のみの案」がでた。なお一回目の提案は継続交渉とする。

人事院勧告と無関係に全国に例を見ない人件費削減の必要性がどの程度あるのか当局に説明を求めたが示されなかった。一切の削減を認めない立場であるが、新提案が過大な削減だとして縮小するよう求めた論拠は次の二つである。

1 リーマンショック後ですら人勧の基本給は(民間並みに)▲0.22%であった。つまりあの時ですら民間でも基本給減は小幅だった。業績悪化はボーナス削減でやるのが通常だろう(当時▲0.35月だった)。だから今度のコロナ禍でも▲2%の勧告は出ないだろうから、(市案は)下げ過ぎなのだ。(人事院勧告 2009年は▲863円 (▲0.22%)で賞与は▲0.35だった)

2 上尾市の2007年(リーマン前)と2011年の比較では、税収▲26.5億円でも歳入は+56億円である。地方交付税が+28.5億円、臨時財政対策債+13.1億円。災害により地方財政が落ち込んでも国が補てんする。来年度も交付税で補てんが予算化されているから、市財政への影響は抑えられるだろう。よって市案は下げ過ぎである。

●当局の言い分

「市民サービスをカットする以上、職員が何もしないわけにはいかない」。「この状況を打破するには人件費の削減をしないと予算が組めない」と主張し、何らかの人件費削減を4月から実施することは変えていない(何を意味するか不明)。

もし人勧が2%超カットになれば、新年度の給与改定は2%との差のみにするのかは、勧告後に交渉するとし、本案の議会提案期限が迫っているため、ここで労使合意とした。


 

冒頭囲み欄に自治労連の名前が先にあるので上尾市役所は共産系労組の支配が強いのだろうか。さて、組合の論拠1は、リーマン時ですら民間は簡単にカットしなかった(0.22%)じゃないか、だから2%はオーバーという理屈だ。

まず、人事院勧告とは民間の4月度の月給を調べて官民の給与差を国家公務員給与に反映させるもので、地方公務員にも影響する。しかし調査対象は50人以上の事業所なので規模的には上位5%以下になる。企業名は非公開だが大企業や優良企業がある程度含まれるため、『家庭の金融資産1,139万円』という統計みたいに高い方へ引き上げられる効果がある。だから、厚労省の「賃金構造基本統計調査」とか国税庁の「民間給与実態統計調査」とかけ離れた給与水準と言われる。

 参考【公務員給与】民間準拠の大ウソ

実は、上尾市職員の年収は市が公開しないのでこちらに示してある。再掲すると、2018/4時点の職員平均は40.1歳で617万円、うち一般行政職641人は平均40.4歳、630万円である。上尾に本社のある一部上場企業の平均年収はベルーナやスーパーバリューが515万円位、自動車部品のフコクは577万円、高い方ではアイチコーポレーションの653万円(41.7歳)がいる。つまり市役所は地場の一部上場企業として高い方なのだ。

なお、東日本大震災の復興財源のため、2012、13年度に国家公務員給与を特例で平均7.8%減額し、政府は自治体にも地方公務員給与の減額要請をした。しかし、都道府県は87%、政令市は60%の12市、市区町村は57%の985団体が応じただけで、下げても数%程度!。上尾市の態度はネットでは分からなかった…。

論拠2は災害による財政悪化は交付税をもらえるから今回も影響は抑えられるかも、というものだ。こんな呑気な話しは論拠とは言えない、というか親方日の丸である。わざわざリーマン前と震災年までの4年間の差額で説明していたので、コロナ禍には経済事変と災害の二面性があるという慧眼かと思ったが、そうでは無かった。

事実を確認しよう。2009年は市税総額が▲5%の16億減だ。翌年の個人市民税はもっと悪化して▲7%、法人税は少し回復したが市税総額は▲2%の5.7億円減と二年連続のマイナス。今度のコロナ禍はもっと中期的に続くだろう。人々が消費を再拡大することは慎重となり、中小サービス業者と雇用者には耐えがたいものだろう。

読んでいて、労組だから量出制入の考えが強いと思った。その支出優先の考えが、今の日本では支出が固定費化している。特に少子高齢化で増える一方であり、固定化が続くと既得権益化になってしまうから経常収支比率が95%の異常値がフツーになっている。量出制入の考えなら財源は赤字国債でイイじゃんだろう。だって労組は増税反対だから。そのうちMMTまで言い出すかもしれない…。

赤字国債により地方交付税を増やせば地方財政は健全に見えるが市民と国民は同一人物であることに変わりない。

●本気の交渉には見えない

まず当局は二回目に2%カットを提示しながら、三回目の冒頭で引っ込めたとある。なんじゃこれは!ですよね。それを労組は「押し戻した」と誇張する。しかも一切の削減を認めないと言いつつ、削減幅を縮小するよう求めるなど腰が引けている。両者が気がかりなのは、人勧がどんなマイナス幅を提示するかだろう。それまでは、

潰れて失業になるリスクは無いのだから、安心して交渉劇をすればいいのにね。

●ラスパイレス指数の100以下へ、道半ば

職員課はHPでラスパイレスについて二年前から書くようになった。他部門でもここまできちんと書く例はない。細かく分析的に書いている理由は、全国や県内での高さが目立ちすぎて風当たりが強まったためだ。遅ればせながらの言い訳である。

下げる対策と言えば、一般行政職55歳昇給停止(30/4/1実施)、一般行政職全職員の昇給延伸(31/4/1実施)だった。外から睨まれるまで当節当たり前のことをしなかった。今まで(今も)指数を高めているのは、高卒の50歳以上の存在であることは既知だったが、ようやく市も認めて上の対策になったわけだ(但し経過措置中)。

本市では高卒の職員であっても職務遂行能力が高い職員は課長職以上の管理職に登用しています。

昇進テストは無いらしいので「仲間うちの評判」で職務遂行能力を計ったら離れ業になる。ぜひ考課表を公開請求したいものだ。国家公務員と市職員の採用テストの難易度が違うだろうから、指数100以下を求めるのは市民としては自然だと思う。

つづく

過去記事 職員給与のラスパイレス指数など

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コメント

秋闘でないと予算計画に間に合わないので春闘は経営者と労組代表の芝居。
我が町の場合、児童劇レベル。おそ松兄弟が沢山いそうだ。
見せかけの挨拶で市民をだますHが企業で言えば経営者だもの。
まちがいなく共産党系の労組でしょ。友光市政からづっと。
まじめな職員もいるのだろうけど、全体のレベルが低いから、市民税が奴らの給料になると思うと腹が立つ。

議員に行政の監視役としての資質が無いから、ぬるま湯が続くわけだよね。また、職員から嫌われたくないという理由もありそう。

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