信濃毎日新聞が社説で五輪中止と桐生悠々
参考 5/26 朝日新聞社説 夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める
信毎(しんまい)という愛称で親しまれている長野県の地方紙。社主は政治家を輩出している信越地方では有名な小坂財閥である。
その信濃毎日新聞の歴史では桐生悠々と言う主筆の軍部批判が有名だ。昭和8年、「関東防空大演習を嗤(わら)う」という社説で陸軍の大演習を酷評した。日経の「桐生悠々 軍に屈せず一人の戦い」によると・・・
「敵機を関東の空に、帝都の空に、迎え撃つということは、我軍の敗北そのものである」と断言したのだ。爆撃機は日本沿岸に来る前に防がねばならないのに、本土上空を前提にするのは敗北だと断言した。当時の編集長は「中身は悪いものでも何でもないんです。きわめて妥当な意見です。それを(あざける意味の)『嗤う』ときたからばかな兵隊、頭にきたわけです」と証言している。 信毎の反軍的論調を快く思っていなかった軍関係者はこの機を逃さず、地元の在郷軍人会幹部が同社に乗り込み、不買運動を展開すると脅した。当時の発行部数は約2万部。在郷軍人会は8万人にも及ぶ。信毎存亡の危機に悠々は社を去らざるを得なかった。 |
「嗤う」は、今の週刊誌がよく使う品の無い表現だが、当時でも、自分の頭で考える事が無く精神論に染まった兵隊が怒ったであろうことは頷ける。今に喩えると、「場当たり菅政権にワロタ」、「ワクチンが先か感染が先かハヨ Wwwwwwwwww」みたいなネット記事の見出しなのかも知れない。
そして今度は、政府方針の東京オリンピックに日本の新聞社としては初めて異議を唱えたのである。気骨さは失われていなかった。一方、朝日、読売、日経、毎日の全国紙4社はオフィシャルパートナー、産経と北海道新聞社もオフィシャルサポーターなので、カネの力の前には、お口にチャックである。週刊ポストが開催に賛成なのかと問うと、「お答えいたしかねます」だと。「社会の木鐸」というのは建前だったのだ。
で、気になるのは、まさかとは思うが、体育会系が乗り込んだり、不買運動が起きたら、昔と変わってはいないことになってしまう。まぁ、当節、新聞読まない人も多いし、そういう人ほどマスゴミと呼ぶのだから、気にしないのだろう。
〈社説〉東京五輪・パラ大会 政府は中止を決断せよ
不安と緊張が覆う祭典を、ことほぐ気にはなれない。
新型コロナウイルスの変異株が広がる。緊急事態宣言は10都道府県に、まん延防止等重点措置も8県に発令されている。
病床が不足し、適切な治療を受けられずに亡くなる人が後を絶たない。医療従事者に過重な負担がかかり、経済的に追い詰められて自ら命を絶つ人がいる。
7月23日の五輪開幕までに、感染状況が落ち着いたとしても、持てる資源は次の波への備えに充てなければならない。
東京五輪・パラリンピックの両大会は中止すべきだ。
崩壊する医療体制
今年1月以降、緊急事態宣言が出た14都道府県で、療養中や入院待機中に死亡した人は少なくとも78人に上る―。共同通信が今月17日時点の状況を集計した。
12日現在の自宅療養者は全国で3万4537人を数える。医療機関以外で亡くなる事例を、政府は把握しきれていない。
医療体制の逼迫(ひっぱく)は、8割を占める民間病院が感染者を受け入れないからだ、と指摘される。それは国が医療費の抑制を目的に政策誘導し、感染症の指定病院や病床を減らしてきた結果だ。
民間の医療機関と役割を分担し自宅療養から入院まで、容体の変化に即応できる態勢構築に、急ぎ取り組まなくてはならない。
ワクチン接種の足取りは鈍い。予防効果が高まるとされる「集団免疫」の獲得はおろか、開幕の時期までに高齢者への接種を終えるめども立っていない。
この状況で政府は、五輪・パラのコロナ対策を打ち出した。選手の健康状態や行動履歴を管理する「保健衛生支援拠点」を都内に設置。選手村には、24時間運営の発熱外来、検査機関を置く。
1万5千人の選手には毎日、8万人近くを見込む大会関係者にも定期的に検査を実施する。両大会を通じて延べ7千人の医療従事者を確保し、30カ所の大会指定病院も整備するという。
開く意義はどこに
国際オリンピック委員会(IOC)は6日、米国のファイザー製ワクチンが、各国の選手団に無償提供されると発表した。
菅義偉政権は地域医療への影響を否定するけれど、医療従事者を集められるなら、不足する地域に派遣すべきではないのか。検査も満足に受けられない国民が「五輪選手は特権階級なのか」と、憤るのも無理はない。
東京大会組織委員会などは既に海外からの観客の受け入れを断念した。選手との交流事業や事前合宿を諦めた自治体も多い。各国から集う人々が互いに理解を深め、平和推進に貢献する五輪の意義はしぼみつつある。
感染対策の確認を兼ねた各競技のテスト大会は、無観客だったり海外選手が出場しなかったりと、本番を想定したとは言い難い。五輪予選への選手団派遣を見送った国もある。「公平な大会にならない」と訴える選手がいる。
「厳しい状況だからこそ、人々をつなぐ大会には意味がある」とIOC委員は言う。海外でも高まる五輪懐疑論を打ち消そうとするのは、収入の7割を占める巨額の放送権料が懸かっているから、と見る向きは強い。
責任や求心力の低下を避けるためか、菅政権も政治の都合を最優先し、開催に突き進む。日本側から中止を求めれば、IOCやスポンサー企業から賠償を要求される可能性があるとも言われる。
分断生じる恐れも
コンパクト五輪、復興五輪、完全な形での開催、人類が新型コロナに打ち勝った証し…。安倍晋三前首相と菅首相らが強調してきたフレーズは、いずれもかけ声倒れに終わっている。
「国民みんなの五輪」をうたいながら、当初の倍以上に膨らんだ1兆6440億円の開催費用の詳細を伏せている。大会に伴うインフラ整備が、人口減少社会を迎える国の首都構想に、どう生きるのかもはっきりしない。
組織委の森喜朗前会長の女性蔑視発言に、国内外の猛烈な批判が集中した。東京大会の、あるいは五輪自体がはらむ数々のゆがみへの不信が凝縮したのだろう。
菅首相は大会を「世界の団結の象徴」とする、別の“理念”を持ち出した。何のための、誰のための大会かが見えない。反対の世論は収まらず、賛否は選手間でも割れている。開催に踏み切れば、分断を招きかねない。
再延期には、他の国際大会との日程調整に加え、競技会場や選手村、スタッフの確保など、さまざまな困難が伴い、費用もさらにかさむ。何より、再延期して安全に開ける確証はない。
国会で首相は「IOCは既に開催を決定している」と、人ごとのように述べていた。感染力の強いインド変異株がアジアで猛威をふるい始めている。コロナ対応を最優先し、出口戦略を描くこと。国民の命と暮らしを守る決断が、日本政府に求められる。
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24日、持病の薬が切れたので 「 かかりつけ医 」に行ってきました。
いつもより混んでる様子。ワクチンを申し込む老人の分だけ混雑。
整理券を窓口受け取り、待合室で待機、呼ばれたら申込書を受付で記入する方式。
列はできていません。なるほど、老人にはこの方式が一番かな、と思いました。
病院側は専任が最低1人は必要になりますが。(個人病院には過大な負担です)
でも、これは必要なことだと、共有する待合室で思いました。
それより、「え!まだワクチンあったのね!」
投稿: masa | 2021年5月24日 (月) 15時00分
<<さしたる混雑もなく>>かるがも上尾C. でワクチン接種。
年寄の大半は几帳面でまじめを良しとする傾向が強いせい
か、10時と言えばきっちり10時前に集合する。
そのための列は受付前でできていた。イオンホールの中に会
場外縁にそって20人。入口からあふれて20人。ホール内は接
種後の待機が40人(各15分待機)。
接種ポイントは問診の医者が一人、接種の看護師一人。
受付二人、接種後の管理一人。さほど混雑もなく接種が進むに
つれて人が少なくなっていく。
私が会場に滞在した時間は約1時間。その間に接種後待機で
問題のある人は出なかったようだ。
接種後は体温が0.2℃ほど上がったが、特に問題なく、まずはめでたし。でした。
投稿: masa | 2021年5月29日 (土) 12時06分
父は本日打てました。
横浜市のような大きな自治体の高齢者が気の毒と思いました。
昨日のガースーと尾身氏の会見で、免疫何パーセントで安全?みたいな質問に、
ガースー:我が国は高齢者に早く2回打つことをとにかく急がせます(自治体に)。
尾身氏(ちらりとガースーを一瞥して)
高齢者の感染後の重症化の効果があると思い、すすめたが、ワクチンは感染防止に効果が
あることがわかり、65歳以下にも接種を進めてきたい。
と意見。
思わず笑ってしまいました。この記者会見。おばかさんぶりを世間に公表する機会です。
投稿: 本好き | 2021年5月29日 (土) 16時54分
参加選手に「自己責任の同意書」を書かせるのだとか。
そのくらいしないと、オリンピック貴族さんたちの持ち出
しの心配をカバーできないのでしょうね。大変ですね。
オリンピックどころか経済の先行きこそが心配なのですが。
ワクチン接種をどのくらいのスピードでやれるかにかかっている
のではないかと思います。(実は順番とか言ってられないのだと思います)
ウィルス変異との競争ですからね。
一斉にやるべきだと思います。
医療現場の皆さんは私が言うのもなんですが、もれなく大変立派です。
問題は全国規模で組織する力(政治なんでしょうが)がボトルネック
でしょうね。有事でも、有事でなくても。
投稿: masa | 2021年5月29日 (土) 18時35分