損害賠償の解釈に関する訂正
工事請負契約書における解除権の項目
こちらの記事あるいはそれ以前の関連記事において、図書館建設の中止決定が半年内なら免責があるらしいような解釈を書きましたが、それは間違いでしたので訂正しておきます。元の契約書は非公開ですが、ひな型は市サイトから見られました。
その中から、工事中止や解除につての項目のみを下にコピーしました。
本件は、「発注者の任意解除権」によるものとするならシンプルに損害賠償を負うとありました。特に免責条件は有りません。
従って、畠山市長が2018年の6月議会よりも早い3月議会で見直し表明しても賠償義務は同じでした。結局、新図書館計画は誰が中止決定しても必ず損害賠償という出血は発生します。問題は個々の業者との損害額の調整という事です。
そして、7社中5社とは話し合いがつき、2社とは法廷で、となっています。
判例等では契約額の5%とか言うものあるそうです。例えば栄電業社の例ですと2億3千万円ですから、1千万円強ですが、一律に決められるものでも無いようです。多分、未着工案件でも7千万円という値になったのは、逸失利益が採用されたのでしょう。賠償額の見積もりの考え方が争点なのでしょう。
●地裁判決文の公開について
前の住民訴訟の場合は、住民側が控訴しなかったので判決が確定して公開されました。今回は市が月末までに控訴するので、一審判決文が公開されるのかは分かりません。
●コストのあらまし
栄電業の分を一審の7千万円とすると今の所、賠償額合計は1億3千万円です(さらにアサヒ住建の分が加わります)。総事業費は約38億円と言われていたので、主な費用項目は下のようになります(単位、百万円。設備費は総額から逆算した)。なお図書購入費は含まれません。
土地関係 | 298 |
設計料 | 111 |
建設費 | 2,144 |
設備費 | 1,246 |
総額 | 3,800 |
年間維持費は、複合施設全体は見積られず、新図書館部門だけなら3億2千万円となり現本館の2億3千万円より9千万円、4割増でした。
工 事 請 負 契 約 書 のひな型から引用
(工事の中止)
第20条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ、若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(発注者の任意解除権)
第46条 発注者は、工事が完成するまでの間は、次条又は第48条の規定によるほか、必要があるときは、この契約を解除することができる。
2 発注者は、前項の規定によりこの契約を解除した場合において、受注者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならない。
(受注者の催告によらない解除権)
第51条 受注者は、次の各号のいずれかに該当するときは、直ちにこの契約を解除することができる。
(1) 第19条の規定により設計図書を変更したため請負代金額が3分の2以上減少したとき。
(2) 第20条の規定による工事の施工の中止期間が工期の10分の5(工期の10分の5が6月を超えるときは、6月)を超えたとき。ただし、中止が工事の一部のみの場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後3月を経過しても、なおその中止が解除されないとき。
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