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2021年10月 4日 (月)

こたつ記事を使う礼賛広報の危うさ

「ここがイチ押し」という手前味噌特集に隠れたネライ

島村時代に「23万人都市にふさわしい図書館を」という推進文句があった。実際は22万8千位だったので、粉飾だと批判したことを思い出した。

で、とうとう23万人を超え、広報あげお8月号が取り上げた。役所にしてはキャッチーな「(上尾市)ここがイチ押し!」 という特集がこれから9回も続くようだ。


ここは余談。 行政がこんな自画自賛したから、下火になりつつあるニッポン礼賛本とか「Youは何しに日本へ」みたいな礼賛番組を連想したので少し書いてみる。礼賛モノが受けたのは、「失われた三十年」で自信を失い(アベノミクスで日本の国際賃金は韓国より低い)、中韓台頭により優越感が凹んだ日本人への精神安定剤みたいなものだった。

その頃から、「取り戻す」というフレーズは、安倍さん以来の自民党が好む言葉なのだが、失った責任は長期間、日本の舵を取った自民党にあるにも拘わらず別な意味に使っていた。それがここに来て、高市さんの発言で「昔の日本へ戻す」の意味だと見えてきた。既に礼賛モノは精神安定剤の役目を終え、隣国との相互憎悪を焚きつける興奮剤になっているが、実は『売れるから・票が取れるから』という損得目的こそが動機だと思う。

 広報は上尾の良い面だけを拾い集める積りのようなので、自信喪失なのは市民ではなく上尾行政なのだろう、と思って読めば良いだろう。但し、上っ面の良さだけ取り上げる宣伝はタイミング的に畠山再選への提灯広報になるということだ。公平公正を目指したいなら、クールに「(上尾市)ここがダメ出し」と課題発掘も忘れるな、と言いたい。

 

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1.先ず、上尾市人口が23万人の件から…

 実は228千人から千人増までは39カ月かかった。日本人の減少を外国人の増加で補い、年間、数百人の微増を続けた。それは大宮以北が軒並み減少に陥る中で、かろうじて踏みとどまる姿だった(過去記事 人口減少の臨界線が南下中)

 しかし、次の千人の増加を16カ月で達成した。(7年前、県の推計ツールで23万人乗せはムリと予測したのは外れた)

 2020年は日本人が608人も増えた。出生数はマイナス続きでも、転入-転出が1372人と急増した。この人数は平成バブルの余熱が残る90年代前半に近く、27年ぶり位だ。世帯数が12%も伸びており、コロナ直前年の住宅着工が多かったためかも知れないが(10%消費税直前)、本当はよく分からない。

 仮に、持ち家転入としたら19年に計画された結果になるから、コロナ禍による東京脱出効果では無い。今年も10/1現在で450人と堅調らしい。

2.ネットの怪しい記事を拾う広報広聴課

 自分の主張のためにネットのアンケート結果を引用することがある。ソースが公的機関ならともかく、民間どころか、どこの馬の骨が書いたか分からない記事がネットには溢れている。それを使って我が意を得たと喜ぶ人もいるが、サクラがいることを忘れてはいけない。

 広報8月号は「ねとらぼ調査隊住みたい駅ランキング」を引用した(そもそも駅に住みたいはヘンなのだが)。見に行ったら広告稼ぎのサイトだった。人は順位を気にするから、ランキング記事はクリック広告を稼ぐネタなのだ(当ブログでもランキング記事はアクセス多い)。

 その「ねとらぼ」が参考にしていた大東建託の大規模調査には出てこない上尾駅が、越谷レイクタウン、さいたま新都心駅を押しのけて三番だ (笑 ←あえて入れた)。

 「これってスゲーぜ」と無邪気に飛びついた感じがする。実はヤフーの転載記事にはコメントが付いていて、元記事のいい加減さが指摘されている。こういうのをコタツ記事と呼び、普通は相手にしないものだ。ちなみに上尾駅三位をツイートしていたのは市と取引のある不動産鑑定士というオチまであった。

3.ダマしグラフ

 上の広報図では、日本全体の人口減少と上尾の人口増加を異なる尺度(万と一)でグラフにし、さらに足を波線で省略している。このような手口は、変化を誇張するためであり、ダマしグラフとか詐欺グラフと呼ばれる。ここは、開始年を100とした変化率の折れ線グラフの方が良いだろう。

4.転入超過人数が三位(?)は凄い!

 2020年の転入-転出は1372人。なお、「統計あげお」では1430人となっている(行政データは市、県、国などで異なることが多々ある)。

 大幅な転入超過で、さいたま市、川口市についで三番になった。しかし、さいたま市は126万人の政令市だから比較対象にはならない。元の総務省「住民基本台帳人口移動報告2020」ではちゃんと区別も表示されており、下に部分引用した。転入して来る人は「さいたま市○○区」を選んでいるからこの方が正しい。年齢別は一部のみ表示。

市区町村 総数 0歳~4歳 5歳~9歳 10歳~14歳 15歳~19歳
川口市 2,383 -322 -75 -15 327
緑区 2,077 317 104 48 44
西区 1,505 152 53 30 50
岩槻区 1,476 328 61 0 42
浦和区 1,378 211 152 26 36
上尾市 1,372 229 57 30 23
越谷市 1,335 36 12 20 101
大宮区 1,220 35 52 37 -32
川越市 1,129 -1 37 31 301
草加市 1,128 32 -4 36 116
朝霞市 1,073 -38 -11 -1 131
見沼区 1,067 174 40 33 108

 本当は人口比率で見れば良かったと思うが、絶対数で浦和区や大宮区と同レベルならまぁ大したものだ。でも19年だと市順は7位、市区順は16位なので、20年が突出している。増加原因は数年単位で見ないと分からないのだが、広報は次のように書くだけである。

5.上尾市が選ばれる理由とは

 転入者アンケートをしていると書いているのに、その集計値を見せることなく月並みな理由をあげる。

 「住宅価格、家賃が適当」は当たり前だ(あえて"安い"と書かない)。住宅の割高とか割安というのは買手の所得見合いだから、サラリーマンなら勤務先の違いとなる。今年、川口市には都内から高収入世帯の若者が増えて市税が増えている。(上表で略しているが)川口市は20代が2600人も増えており、幼児がマイナスなので新婚世帯増なのだろうか。

 その川口は以前なら選ばれるような街では無かった。都心からの同距離圏の横浜方面が高くなりすぎたことと、鋳物工場跡地のマンション供給が増え、近くて安いという若者受けのコスパで選ばれたのだろう。戸田市も似ており、都内通勤の新婚世帯が増えているようだ。なお、両市のハザードマップを見れば水害リスクがそれなりにある。

 上尾は「交通の便が良い」と書くが、高崎線一本なのでそれはない。だが、転入者は都内や神奈川からではなく県内が過半であるから、都内よりも近隣市への通勤者が多いのかもしれない。上尾道路郊外住宅が増えているとしたら、近隣企業へマイカー通勤者なのだろう。

「災害が少ない」というのは近隣も同じだから、上尾が優先的に選ばれる理由にはならない。地震は広域なのでそもそも当てはまらない。災害が少ない立地を認識しながら、10月号で「災害に強い」を自慢するのはズレている。万が一に備えたらキリがないこと位分かっているのに、安心安全を唱えれば反対されない日本社会だから、過剰投資も平気になるのがこの街だ。足りない分野へ予算を補強するのが政策的合理性なのに、(財政が上尾よりマシな他市ですらやらない)エアコンで快適な避難所暮らしが出来ますよと言うわけである。まさに衆寓政策だ。

 過去記事 33体育館エアコン導入の反対理由

ちなみに、転入で選ばれたのは市サービスや福祉政策の効果だと書かなかったのは正直である。

 今の所、当市はかろうじて埼玉県南部の人口勝ち組エリアに踏みとどまる感じだ。廃業した秀月旅館の跡地に15階マンション建設が始まったようにファミリー世帯を招くには民間の宅地開発に依存する。そのための駅近のマンション用地はまだ残っているのだろうか、横浜ゴムはあの広い土地をどうするつもりなのだろうか、と思った・・・。

再び人口増加について 

ここ数年の人口増加が中期的なものか束の間の変化なのかは分からないが、この程度の増加では、国立・社人研が予測する人口減少には焼け石に水だろう。埼玉県63自治体の30年後の将来予測を近く記事化したい。

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つづく

 

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